ホンダが新型小型ビジネスジェット機の製品化を決定。2028年頃にアメリカ連邦航空局の型式証明取得を目指す

新型小型ビジネスジェット機(飛行イメージ)
ホンダの航空機事業子会社であるホンダ エアクラフト カンパニー(Honda Aircraft Company/以下HACI)はこのほど、2021年に発表したコンセプト機、「HondaJet 2600 Concept」をベースにした新型小型ビジネスジェット機の2028年に向けた製品化を決定したことを明らかにした。

燃費向上により、ライトジェット機として世界で初めてノンストップでのアメリカ大陸横断が可能に

HACIは2021年に米ラスベガスにて開催された世界最大のビジネス航空機ショー「ナショナル ビジネス アビエーション アソシエーション(NBAA)」にて、新たな移動の価値をもたらす小型ビジネスジェットコンセプト機として「HondaJet 2600 Concept」を参考展示。顧客から高い評価を得るとともに、市場におけるニーズの高さを確信したことから、このたび製品化の決定に至った。

また、この決定に伴い、エンジン、アビオニクス、胴体などの主要サプライヤーとの契約を締結した。新型小型ビジネスジェット機は、HACIとして現在生産・販売しているベリーライトジェット機のHondaJet Elite IIに続く製品となり、1クラス上のライトジェット機カテゴリーへの参入となる。同社は2028年頃のFAA(アメリカ連邦航空局)の型式証明取得に向け、今後開発を進めていく。

新型小型ビジネスジェット機は、ホンダ独自の技術である主翼上面エンジン配置、自然層流翼型・ノーズ、コンポジット胴体をさらに進化させたことで、最大11名の乗員・乗客が搭乗できる。また、通常のライトジェット機(※1)より20%、中型ジェット機(※2)に対しては40%(※3)以上燃費を向上させることで、ライトジェット機として世界で初めてノンストップでのアメリカ大陸横断を可能とする。さらに、パイロット1名での運用を想定しているほか、長距離飛行にも適した広いキャビン空間と優れた静粛性も実現する。
※1:最大離陸重量が1万2500ポンド(約5.7トン)以上、2万ポンド(約9トン)以下の双発エンジンを搭載した機体。HondaJet Elite II(ベリーライトジェット)のひとつ上のクラス
※2:最大離陸重量が2万ポンド以上、3万5000ポンド(約15.9トン)以下の双発エンジンを搭載した機体
※3:ニューヨーク – ロサンゼルス間の飛行距離

HACIの山﨑英人取締役社長はこのようにコメントしている。
「新型小型ビジネスジェット機の製品化によるライトジェット機カテゴリーへの参入はホンダの新領域である『空のモビリティ』への新たなチャレンジです。これまでに培ってきたホンダ独自の航空機向け先進技術のノウハウを生かし、持続可能な社会の実現と人々の生活の可能性を拡げる喜びを提供していきたいと思います」

ホンダ公式サイト「HondaJet」

●新型ビジネスジェット機の仕様
・エンジン:Williams FJ44-4C
・アビオニクス:Garmin G3000
・最大定員:乗員1名+乗客10名または乗員2名+乗客9名
・航続距離(NBAA IFR Range, 1乗員+4乗客)※:2625ノーティカルマイル(約4862km)
・最大巡航速度※:450ノット(約833km/h)
・最大運用高度※:4万7000フィート(約1万4326m)
※目標性能

キーワードで検索する

著者プロフィール

細田 靖 近影

細田 靖