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ボルボの最新電気自動車(以下、EV)にして、最小のコンパクトSUV「EX30」がイタリア・ミラノで発表されたのが2023年6月7日。その1週間後の6月14日、Volvo Studio Tokyo(ボルボ・スタジオ・トーキョー/港区青山)で実車が披露された。実車の公開は日本初であり、ひいてはアジア初にもなった。
展示された車両はヨーロッパ仕様のプロトタイプとのことで、インテリアやエクステリアの一部は今回はまだ非公開。給電口なども日本仕様に変更されることになっている。
今回は非公開になっているインテリアなどヨーロッパ仕様の詳細はについてはワールドプレミアの際に映像や画像が公開されている。気になるならそちらもチェックしてみてほしい。
コンパクトながら存在感のあるフォルムは空力性能も良好
ラインナップ的にはボルボのボトムレンジに位置するEX30だが、サイズ的には全長4233mm×全幅1837mm×全高1549mmと堂々としたもの。近いサイズで言えばVW T-RocかBMW X2、あるいは発表されたばかりのレクサスLBXもこのサイズ感だ。全長を抑えつつ十分な幅を持たせるのがヨーロッパ的コンパクトSUVの手法なのかもしれない。
ボルボEX30 主要諸元 全長:4233mm 全幅:1837mm 全高:1549mm 座席数:5 総電力量;69kWh
また、空力性能にも力を入れており、空力的なフォルムはもちろん、ボディから離れたサイドミラーやボディ裏側のフラッシュサーフェイス化など細部に至るまで手を入れている。特にボディ裏側については、エンジン搭載車と異なりマフラーやシャフト類を通すトンネルを持たないことからかなりフラットに設計されているだけでなく、サスペンションのロワアームの一部が露出していた以外はほぼ完全にカバーに覆われていたのが印象的だ。
また、ホイールも昨今のSUVテイストに沿ったデザインだが、凹凸が少ないフラットな形状になっている。センターキャップやホイールナットを見せない処理にとブラックカラーを広くすることで大径感を高めている。
展示車両に装着されたタイヤとホイールのサイズも、20インチホイールに245/40R20とかなり大径だ。装着タイヤはグッドイヤーの「エフィシエントグリップSUV」だった。
グリルレスフェイスでEVらしい先進性をアピール
冷却風をラジエーターに当てる必要にないEVは、EVらしさの演出という点も含めフロントマスクをグリルレスデザインにするのが主流だ。その流れに違わずボルボもC40、XC40からさらに進んだグリルレスデザインになっている。
発表会ではエクステリアデザイン責任者であるT・ジョン・メイヤー氏が「SF作品のヘルメットをモチーフにした」と語るフロントマスクは、ホワイトボディカラーとブラックのラインと合わせて確かに『スターウォーズ』のストームトルーパーを思い起こさせる。
正面から見るとボルボらしいストレートな線で構成されたフラットなデザインに見えるが、ノーズはかなりスラントしており、ヘッドランプも大きくサイドに回り込んでいる。
また、ヘッドランプの後端がボンネットフードとフェンダーの分割線になっていたり、トールハンマーシグネチャーの下側がブラックのラインと連続していたり、実にスッキリした処理になっている。
ちなみに、トールハンマーの下側の黒い縦ラインにはホイールハウスに空気を通すインテークになっていた。
スモールランプはトールハンマー型に点灯するのは現代ボルボの伝統だが、ウインカーも色違いで同様に点灯。ハイビームはもちろんオートアダプティブだ。
テールランプは上下二段になっており、ブレーキランプ、ウインカー、バックランプは下段のコの字部分に集約されている。コの字の内側には全部で7本のLEDランプがあり、ブレーキランプは上下の2本ずつ合計4本が点灯。内側2本がウインカーウインカーにはさまれた中央の1本がバックランプだ。
ボルボらしい安全思想を細部まで
ボルボのブランドイメージのおそらくトップに挙がるであろう「安全」は、もちろんEX30でも細部に至るまで考慮されている。カメラ、レーダー、超音波(センサー)による先進安全機能は先だってのワールドプレミアでもアピールされたところだが、実車を見てわかることもあった。
フロントウインドウの中央上端に前方監視用のカメラを配置するのは常道ではあるのだが、そのカメラの作動が雨や窓の汚れで左右されないように、ワイパーがカメラの位置が効果範囲に入るように作動するだけでなく、ウォッシャー液の噴射はにも同様の気遣いがなされているという。
ボルボではミラーの視角をなるべく広く取るためにバックミラーもサイドミラーもフレームレスを採用しており、それはEX30でも同様だ。
加えて、ミラーの外側1/3は鏡面に曲率を加えた広角ミラーになっており、視角をさらに広げている。その境界には点線を配して、切り替わる部分を明確にしているのもポイントだ。
さらに、ミラーには後方からの接近警告ランプも組み込まれている。この接近警告ランプは、ワールドプレミアでセーフティ・センター責任者オーサ・ハグランド氏が紹介したように、ドアを開ける際の後方警告機能も備えている。
気になる価格と発売時期、そしてスペックは?
ワールドプレミアではヨーロッパでは予約開始と2023年末のデリバリー開始が伝えられたが、日本での予約開始は未定。とはいえ、日本でも2023年末のデリバリー開始とのことで、おそらく近いうちに正式な発表があるだろう。
価格はヨーロッパで3万6000ユーロとされており、日本円に換算すると約556万円ほど。XC40の679万円〜という価格に比べるとかなり戦略的な設定と言えるだろう。
もちろん3万6000ユーロはLFPバッテリーのシングルモーターモデルの価格。NMCバッテリーモデルや、さらにツインモーターになるとさらに価格は上がるだろう。
ツインモーターはかなりのハイスペックなのだが、シングルでも十分な性能を備えており、バッテリーのタイプと合わせて選択できるのもポイントになってくる。
シングルモーター | シングルモーター エクステンデッドレンジ | ツインモーター パフォーマンス | |
最高出力 | 272ps | 272ps | 428ps |
最大トルク | 343Nm | 343Nm | 543Nm |
加速(0-100km/h) | 5.4秒 | 5.3秒 | 3.6秒 |