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2015年に発売された三代目から、マイナーチェンジを挟みつつ8年。ついにアルファードとヴェルファイアがフルモデルチェンジを果たした。今回のモデルチェンジではトヨタの「最高級ミニバン」の枠から抜け出し「大空間高級サルーン」へと進化を遂げ、多様なライフスタイルでの快適な移動の幸せを提供するモデルとなった。
フルモデルチェンジの内容やデザイン、メカニズムはこれから詳細に追っていくとして、まずは気になった点をピックアップしてみよう。
Bピラーの角度がさらに強まり、デザインとしてのピラーは消滅
アルヴェルのデザイン上の特徴であり、他車にフォロワーも生まれるほどだった、通称「アルヴェルピラー」。Bピラーの後側を前傾させるこのデザインは、世代を追うごとに角度が大きくなっていた。しかし、今回のモデルチェンジではついに見えなくなった。ピラー自体はほぼ垂直になり、ブラックアウトすることでグラスエリアを連続的に見せるデザインになっている。
その代わり、Bピラーのリヤドア側には車種エンブレムを配した鋭角的なキャラクターラインを持たせている。このラインの角度こそがアルヴェルピラーのさらに鋭角化したデザインなのだ。
ピラーの角度については、前席と後席の関係性を表した物であり、初代においてはまだ後席は「荷室」的な位置付けのデザインだった。それが二代目、三代目と徐々に荷室からキャビンへと変わってゆき、新型ではドライバーと後席が融合した形になったというわけだ。
形こそ消えたが、その精神性は引き継がれ、新たなスタイルに昇華されたと言えるだろう。
廃止の危機から一転! ドライバーズカーへと転身したヴェルファイア
ヴェルファイアはモデル末期の販売台数がアルファード比で5%程度まで落ち込んでおり、モデルの存続が危ぶまれ、一時期はモデルチェンジでアルファードに一本化されるのでは?という噂もあった。しかし、発表されてみればヴェルファイアは、ある意味アルファード以上に変化していた。
ルックスこそ先代モデルのアルファード・ヴェルファイアと同程度の違いしかないが、大きく異なるのはガソリンエンジン車の設定だ。
アルファードのガソリンエンジン車は2.5LエンジンにCVTを組みわせるのに対し、ヴェルファイアのガソリンエンジン車は2.4Lのターボエンジンに8速ATを組み合わせる。前者が182ps/24.0kgm、後者が279ps/43.8kgmというスペックで、明らかにヴェルファイアは“走り”志向だ。
今回のモデルチェンジではTNGAプラットフォームはGA-Kをミニバン用に最適化。構造用接着剤の使用拡大、環状構造の徹底、高張力鋼の最適な配置、各部にブレースを追加するなどして、従来型の50%増しのボディ剛性を実現。乗り心地や快適性だけでなく、走りの質も高めている。
さらにヴェルファイアではラジエーター左右にフロントパフォーマンスブレースを追加し、アルファードを上回る剛性を確保。
サスペンションもTNGA用マクファーソンストラット式をフロントに、従来型をベースに新開発したダブルウィッシュボーン式を装着。ヴェルファイアではこのサスペンションも専用セッティングが施されている。
ドライバーが運転する喜びを味わえることを目指したヴェルファイアは、後席でくつろぐショーファードリブンというだけでなくドライバーズカーでもあるのだ。