2004年式のBMW Z4 2.2iが走行距離2.7万キロの車検1年付きで98万円!? コンディションは良好だが……これは買いなのか?【BMW Z4オーナーレポート vol.3】

BMWの直6にMTで乗る! モータージャーナリストの大音安弘氏が中古車探しを続けるなかで出会ったのは、中古車ブローカーが紹介するZ4。オープンカーはノーマークだったが、条件には合致するクルマということで実車を確認することに……。果たしてブローカーはどんな人だったのか? Z4の状態は?

まるであやしい取り引き?
実車確認のためにコインパーキングでブローカーと待ち合わせ

気になるBMWを発見した私は、早速、お店にコンタクトを取った。今回は、メールで連絡をして実車の確認の日程を決めた。ここまでは、どの中古車店とも同じ流れだろう。通常ならば約束の日に店舗へ……となるが、今回の中古車店は展示場を持たない。一体どうするのかと思ったら、とある駅にあるコインパーキングを指定された。まるで怪しい取引である(汗)。

迷走するBMW探しの旅……そこに現れた中古車“ブローカー”が持ってきたのは、ノーマークのオープンカーだった!【BMW Z4オーナーレポート vol.2】

BMWの直6にMTで乗る! モータージャーナリストの大音安弘氏はそんな夢を叶えるべく、中古車情報サイトを巡る……しかし、なかなか「これだ!」というクルマに巡り合うことができない。そんな時、店舗を持たない中古車ブローカーに紹介されたのBMWはZ4だった。はたして、アメリカ製の2シーターオープンはアリか? ナシか?

約束の当日、待ち合わせの駅に向かう。既に指定された駐車場には、鮮やかなモルディブブルーのZ4が駐車されていた。一体どんな店主さんなのだろうか? 派手なスーツ姿にグラサンとクラッチバッグ(当時風に言うならセカンドバッグ)なんて、いかにも昭和風ブローカーが現れるわけもないだろうだが、初対面となれば緊張はするもの。

Z4に近づくと運転席からは穏やかで優しそうな男性が現れた(当たり前である)。その店主に話を伺うと、以前は、顧客に自社在庫の保管場所で販売車両の確認してもらっていたそう。しかし、WEBサイトに掲載した中古車を昼夜問わず勝手に見に来る人が出てきたため、住宅地という場所柄もあり、近所への迷惑を考えて止めたことを教えてくれた。
気になるクルマを見てみたいと逸る気持ちはわかるが、同じクルマ好きとしては残念な話である。

仕様は? 状態は? 気になる実車チェック!

早速、実車チェックだ。2004年式のZ4 2.2iで、走行距離はなんと2.7万km! 車検も1年くらい残っている。残念ながら、記録簿はなし。ただし、フロントガラスには車検時の点検整備済みステッカーが貼られており、プロによる定期点検を受けていたことがわかる。

年式の割に低走行で、内装の状態が良かったのが印象に残った。歴代オーナーが丁寧に扱ってきたことを感じさせる。

最初に感じたのは、内外装のキレイさ。特にゴムモールとソフトトップの状態の良さが好印象。屋外保管ではこの状態を維持することは難しい。
より細部を見ていくと、フロントバンパー下部の擦り傷や一部アルミホイールのガリ傷などはあるものの、目立つほどではない。うっかり傷はあっても、歴代オーナーは大切に扱ってきた感じがある。
しかし、クルマは動いてナンボ。試乗もさせてもらった。

オープンカーのポイントになるソフトトップとその周りのゴムモールの状態も良さそうだった。屋内保管では?と思わせる。
2.2iのホイールは16インチもあったが、こちらは純正の17インチを装着していた。一部にはガリ傷はあったが程度は悪くない。

試乗で動的状態をチェック! 気になるところは事前に確認しておきたい

操作系のフィーリングに違和感はないか? 気になる異音はないか? 中古車は試乗でのチェックも重要だ。

「自由に乗ってください」と言われたものの、土地勘もない場所。さらに駅周辺とあって交通量や人通りも多いので、運転には気を遣う。事前に、周辺道路を簡単にでもチェックして置けばよかったと反省した。ただエンジンの吹け上がりやATのシフトフィールに違和感はなく、気になる音もなかったので問題なしと判断した。

エンジンやシフトに問題はなさそう。

しかし、本番はこれから。稼働箇所は、出来るだけチェックすることが大切だ。何しろ、今回の店は、保証無しが前提のお手頃価格。販売後の修理は、有償となるからだ。例えば、認定中古車ならば、かなり手厚いサービスが期待できるが、すべてが保証されるとも限らない。さらに言えば、一般的な中古車店の保証だ、保証箇所が限定的なことも多い。とにかく、気になる箇所があれば担当者に尋ねるべきだ。

エンジンとミッションだけでなく、ユーティリティの動作も要チェック

純正ナビゲーションが装着されていた。
オーディオは純正ナビとセットのMDプレイヤー。

エアコン、オーディオシステム、ライト、パワーウィンドウ、ドアロックなどの電動式の部分はもちろんのこと。収納の蓋やボンネットなども忘れなく。
また後付け用品にも注意。Z4にはワイドルームミラーが装着されていたので外してみた。すると、自動防眩ルームミラーが液漏れし、故障していることを発見した。

後付けのワイドルームミラーが装着されていた。
自動防眩ルームミラーが液漏れで故障していた。

しかし、難しいのは相手が新車じゃなく、中古車であることだ。完璧を求めるならば新車を選ぶしかない。ただ誤解してはならないのは、欲しいクルマだからと、不調のものを買ってはトラブルの種となる。不具合や気になる箇所は、現状販売なのか、何らかの対応が可能なのか、店側に尋ねるべきだろう。

買うべきか、買わざるべきか……その決断は!?

概ねZ4の状態には満足していたのだが、即決はしなかった。店主に数日の猶予を願うと快く了承してくれたので、帰路に着いた。私が即決しなかった理由については、また次回に。

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著者プロフィール

大音安弘 近影

大音安弘

1980年生まれ、埼玉県出身。幼き頃からのクルマ好きが高じて、エンジニアから自動車雑誌編集者へ。その後…