軽自動車唯一のキャブオーバーワゴンモデル「スズキ・エブリイワゴン」【最新軽自動車 車種別解説 SUZUKI EVERY WAGON】

商用バンを乗用ワゴンにアレンジした「スズキ・エブリイワゴン」。バンにはない後席のスライド機能で足元も広く乗り心地も良い。前列、後列とも倒すとフルフラットになり、後列を格納すればバン並みのフラットで奥行きのある荷室になる。ただ、燃費や高速道路などでの静粛性はストレスフリーとは言い難い。近場でオートキャンプなど、少人数での気軽なレジャーにマッチする。
REPORT:岡島裕二(本文)/小林秀雄(写真解説) PHOTO:平野 陽

後席快適性にシートアレンジ 荷室の広さや積載能力も別格

エブリイワゴンはエンジンを前席下に積むキャブオーバータイプの商用バンを乗用ワゴンにアレンジしたモデル。最大のライバルであったアトレーがフルモデルチェンジを機に商用バンになったので、エブリイワゴンが唯一のワゴンモデルとなった。

エクステリア

ワゴンとバンの最大の違いは後席の快適性。バンは荷室寸法を確保するために後席スライドやリクライニングが付かないが、エブリイワゴンには18㎝もの後席スライド機構が付くから足元が広く、後席の座り心地も良い。

インストルメントパネル

写真は2022年4月の一部変更前のもので、「PZターボスペシャル」には上質な本革巻きステアリングが備わる。7インチディスプレイオーディオもオプションとして追加され、ハイルーフ仕様はオーバーヘッドシェルフを装備。

前席と後席を倒してフルフラットにもできる。その上で後席を使用した状態でも広々とした荷室が確保できるのが最大の魅力。後席を格納すればバンと同等のフラットで奥行きのある荷室がつくれるので、オートキャンプにも最適だ。

居住性

ただし、パワートレインや先進安全装備はアトレーに差をつけられてしまった。エブリイワゴンのエンジンはターボ付きなので力不足は感じないが、4速ATを組み合わせているためにCVTのアトレーよりも滑らかさで劣り、燃費でも負けてしまう。高速道路を走る際も回転が高くなり、静粛性の面でも不利。自動ブレーキなどの安全装備はエブリイワゴンにも付くものの、ACCなどの運転支援機能がないから長距離走行でも劣勢だ。

うれしい装備

月間販売台数    1567台(22年7月〜12月平均値)
現行型発表     15年2月(一部仕様変更 22年4月)
WLTCモード燃費   13.3km/l 

ラゲッジルーム

とはいえ、このあたりは高速道路で効果を発揮するもの。高速走行よりも後席の快適性やシートアレンジを重視する人なら、エブリイワゴンを選ぶ意味は十分にある。

※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.148「2023 軽自動車のすべて」の再構成です。

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