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「レガシィ」は戦争を想起させるのでNG!
LIBERTY[リバティ]
スバルのフラッグシップモデルとして、国内では「レガシィ」の名前でお馴染みのモデル。海外ではオーストラリアでレガシィという名前が戦争を想起させるとして、「リバティ(=自由)」という名称を採用した。
BC/BF型と呼ばれる初代モデルからBN型と呼ばれる六代目まで販売されていたが、北米で販売されている七代目レガシィセダンに該当するBW型は豪州では販売されていない。
国内と同じくオーストラリアもセダン市場縮小に伴い、SUVであるアウトバック(現行BT型)のみが継続して販売されている。ちなみに、国内では「レガシィ・アウトバック」という車名だが、北米やオーストラリアなどの海外では「スバル ・アウトバック」という車名で販売されている。
2008年から2018年まで国内で販売されていたエクシーガも「リバティ・エクシーガ」として、リバティの派生モデルという位置づけでラインアップされていたが、残念ながら現時点ではスバル リバティという車名は完全に消滅している。
日本では「グランドワゴン」から「ランカスター」を経て統一
OUTBACK[アウトバック]
二代目(BD型/BG型)レガシィから設定された、ツーリングワゴンをベースとしたSUVスタイルのモデルがレガシィグランドワゴンだ。年次改良でグランドワゴン ランカスターというサブネームが与えられ、三代目(BH型)レガシィシリーズでは、レガシィ・ランカスターとしてレガシィシリーズの一角を担うようになる。
実はこのグランドワゴン、ランカスターは、海外ではアウトバックという名称で販売され、後に国内外統一の車名として四代目レガシィからはアウトバックとなった。ちなみにグランドワゴンはその名の通り、ツーリングワゴンがベースとなっていたのだが、海外では4ドアのアウトバックセダンも販売。呼称がアウトバックとして統一されたBL/BP型まで海外ではセダンが設定されていた。
アウトバックは北米や豪州以外にも欧州や中国など様々な国で販売されているグローバル車として展開されているのだが、興味深いのは同じアウトバックでも仕向け地によってエンジンラインナップが大幅に異なる点。特に先代アウトバック(BS型)では、国内はFB25型水平対向4気筒2.5L自然吸気 エンジンのみのラインアップであったのに対し、北米やオーストラリアにはEZ36型水平対向6気筒自然吸気エンジンの設定があったほか、ヨーロッパではEE20型水平対向4気筒ディーゼルターボエンジン、中国仕様にはFA20型水平対向4気筒直噴ターボエンジンが設定され、アウトバックだけで4種類ものパワーユニットが世界中に存在したのだ。もちろんトランスミッションもリニアトロニックだけでなく、国によっては6MT仕様も設定されていた。
インプレッサにもアウトバック? 国内では特別仕様車の「グラベルEX」
OUTBACK SPORT[アウトバックスポーツ]
ちなみに、海外ではインプレッサをベースとしたアウトバックスポーツというモデルも販売されており、初代(GF型)は国内でもグラベルEX(エックス)という名称の特別仕様車として登場したことも覚えている方は多いだろう。
海外では二代目(GG型)、三代目(GH型)と三世代にわたり設定されていたが、GP型からはXV(海外ではXVクロストレック)へとバトンタッチした。
インプレッサの派生モデルから「XV」として独立し世界共通名称へ
CROSSTREK[クロストレック]
2022年9月にワールドプレミアされたクロストレックは、現在国内でも人気の高いコンパクトSUVだ。前述のとおり、GP型「SUBARU XV」の輸出名は、当初「XV COSSTREK」であり、改良時に「SUBARU CROSSTREK」となり、二代目SUBARU XVも海外ではCROSSTREKとして販売されていた。
現行クロストレックが国内登場時に世界共通の名称として統一化が図られたことも話題となった。国内ではSUBARU XV登場前に、三代目インプレッサ5ドアをベースとした「インプレッサXV」が存在したが、この時の国外の名称はアウトバックの章でも紹介した通り、アウトバックスポーツとなっており、独立した車種というよりは、まだ小型のアウトバックといった印象が海外では強かった。
なぜか頑なに「アルシオーネ」の名前は使わない
XT[エックスティー]/VORTEX[ヴォーテックス]
1985年に国内でスバル初のスペシャルティクーペとして誕生した「アルシオーネ」は、海外では「SUBARU XT(Coupe)」として発売。国内モデルでVRターボと呼ばれたEA82型1.8L水平対向4気筒ターボエンジンに4WDを組み合わせたモデルは「XT(Coupe) 4WD TURBO」の名で販売された。
1987年のマイナーチェンジで国内でアルシオーネVXとして設定されたER27型2.7L水平対向6気筒エンジンを搭載したモデルがXT6として登場している。XTというネーミングはアルシオーネの輸出名で初めて使われたものだが、のちに国内仕様のターボエンジンを搭載したSUVモデル(フォレスターXT、レガシィアウトバック2.5XT)として使用されていることの方が耳にした人も多いだろう。なお、1987年のマイナーチェンジで名称からクーペがなくなりXTのみになっている。
また、オーストラリアとニュージーランドではXTではなく「SUBARU VORTEX(ヴォーテックス)」の名称で販売された。
ちなみに、後継モデルのアルシオーネSVXの輸出名は「SUBARU SVX」となっていた。二世代とも海外では「アルシオーネ」の名称を使っていないのが面白い。
早すぎたミニマム7シーター「ドミンゴ」は海外でも売っていた!
SUMO[スモー]/LIBERO[リベロ]/COLUMBUSS[コロンブス]
変わりダネの輸出名といえば、イギリスで販売されていた「SUBARU SUMO(スバル・スモー)」。国内ではドミンゴの名前で知られる、軽自動車のサンバーをベースとした7人乗り1BOXだ。
イギリスでは相撲を想起させるSUMOのネーミングが与えられていたが、ヨーロッパの大陸側では「SUBARU LIBERO(リベロ)」、スウェーデンでは「SUBARU COLUMBUSS(コロンブス)」と、様々な名称を得たモデルである。
特にヨーロッパ名(イギリスを除く)のリベロはイタリア語で自由を意味する名前で、冒頭で紹介したリバティと同じ意味合いであることも面白い。
また、当時WRCではライバル関係であった三菱が国内で販売していたステーションワゴン「三菱リベロ」と同じ名称であったことも偶然とはいえ面白いポイントだ。
最近では世界で車名を統一する傾向にあるものの、まだまだ国内外で異なる名前を持つモデルも多く存在する。愛車のルーツをたどる際に、海外事情にも目を向けてみてはいかがだろう。