あの複合リゾートの送迎シャトルバスがかわいいラッピング仕様で登場だ! トミカ × リアルカー オールカタログ / No.109 しまじろう シーパーク シャトルバス

発売から50年以上、半世紀を超えて支持される国産ダイキャストミニカーのスタンダードである『トミカ』と、自動車メディアとして戦前からの長い歴史を持つ『モーターファン』とのコラボレーションでお届けするトミカと実車の連載オールカタログ。あの『トミカ』の実車はどんなクルマ?
No.109 しまじろう シーパーク シャトルバス (希望小売価格550円・税込)

No.109 しまじろう シーパーク シャトルバス (希望小売価格550円・税込)

『トミカ』のNo.109には、それまでの『DHLトラック』に代わり『しまじろう シーパーク シャトルバス』の登場です。これは2020年6月、愛知県蒲郡市の複合リゾート施設『ラグーナテンボス』の中にある海のテーマパーク『ラグナシア』に、全天候型キッズ・パーク『しまじろうシーパーク』が開業したことを記念して、“しまじろう”と仲間たちの可愛らしい姿がラッピング装飾された『ラグーナテンボス』の送迎シャトルバスです。

三菱ふそう エアロスター 『ラグーナテンボス』送迎シャトルバス『しまじろうシーパーク』ラッピング車両 実車フロントビュー(イメージ)
『ラグーナテンボス』送迎シャトルバス(ノン・ラッピング)実車フロントビュー

『ラグーナテンボス』は自然豊かな三河湾を望む複合型リゾートで、夏にはプールも楽しめる海のテーマパーク『ラグナシア』、リゾート気分が満喫できるショッピングモール&レストラン『フェスティバルマーケット』、日々変化・進化を続けるロボットホテル『変なホテル』から成ります。

自然豊かな三河湾を望む複合型リゾート『ラグーナテンボス』にある、夏にはプールも楽しめる海のテーマパーク『ラグナシア』。この中に『しまじろうシーパーク』がある。
『しまじろうシーパーク』は全天候型キッズ・パーク。場内は3つのエリアに分かれており、子どもたちが様々な体験が出来る。また、楽しいキャラクターショーも開催されている。

このうちの『ラグナシア』にある『しまじろうシーパーク』はベネッセコーポレーションの幼児向け通信教育教材『こどもちゃれんじ』のメインキャラクター、アムールトラをモチーフにした“しまじろう”とその仲間たちをフィーチャーし、“しまじろう”と一緒に楽しく遊んで学べることをコンセプトにした全天候型キッズ・パークです。施設内は“はじめましてのうみエリア”、“あわあわラグーンエリア”、“かいていガーデンエリア”の3つのエリアに分けられ、アトラクション体験や巨大ネット遊具、なぞなぞ体験、お寿司屋さんごっこなどが楽しめます。

『トミカ』の『No.109 しまじろう シーパーク シャトルバス』は、この『しまじろうシーパーク』をフィーチャーした『ラグーナテンボス』の送迎シャトルバスをモデル化したものです。実際に送迎バスに使用されている三菱ふそうのエアロスターや日野自動車のレインボーなどのバスのうち、KL-MP35JM型のエアロスターをイメージしたと思われ、以前に販売されていたエコハイブリッド仕様車がベースに用いられているようです。

現行型エアロスター実車フロントビュー(『トミカ』のモデル車両とは同一規格ではありません)

エアロスターは三菱ふそうが製造販売している大型路線バス車両で、初代モデルは1984年にデビューしました。1996年には、当初はニューエアロスターと呼ばれた2代目モデルが登場、以後、規制対応などのマイナーチェンジを繰り返して進化を続け、現行最新は2017年に登場した2PG-/2KG-MP系と呼ばれるモデルになります。この一つ前、2014年に登場したQKG-MP38系/35系と呼ばれるモデルでは、18年ぶりにフロントデザインを一新したため、それ以前のモデルとは顔つきが大きく異なっています。『トミカ』の『No.109 しまじろう シーパーク シャトルバス』は、顔つきが変わる前の型の車両を再現しています。

さて、この2代目エアロスターは、国産初の本格的ノンステップバスをラインアップするなど話題が尽きませんが、中でもノンステップバスとして初のハイブリッド車となった2002年のエアロスターノステップHEVおよび2004年のエアロノステップHEVの後継として、新しいシリーズ式ハイブリッドシステムを搭載して2007年に登場したエアロスター エコハイブリッドは、人と環境に優しく、低エネルギーで走行し静粛性に優れた、新世代の大型ノンステップ路線バス新型として大きな話題となりました。

三菱ふそう エアロスター エコハイブリッド 実車フロントビュー(『トミカ』のモデル車両とは同一規格ではありません)。
三菱ふそう エアロスター エコハイブリッド 実車リヤビュー(『トミカ』のモデル車両とは同一規格ではありません)。

三菱ふそうは1990年代初頭に “MBECS”という、油圧とエンジンとの両方で駆動力を生み出すパラレル方式のハイブリッドバスを作りましたが、その時の経験から、パラレル方式はパワートレーンのレイアウトに制約が多いことや、駆動系のトルク特性のマッチングが難しいことが判りました。そこで次々と変わる排ガス規制でエンジンのトルク特性が変わっても影響を受けにくく、レイアウトの自由度も高いためバリアフリー化への対応(低床化)においても有利な、エンジンは発電だけを受け持ち、駆動力はモーターのみで生み出すシリーズ式を採用したのがエアロスター エコハイブリッドです。

三菱ふそう エアロスター エコハイブリッドのシリーズ式ハイブリッドのシステム概要。エンジンは発電機としてのみ使用され、発生した電気はインバーターで電圧制御されてモーターを駆動させる。また、発電された電気は天井のリチウムイオン・バッテリーに充電される。

新たに採用された小型で軽量な発電用ディーゼルエンジンは、排出ガス性能の最良点で定回転運転され、排出ガス後処理装置に新型DPFを組み合わせることで、新長期(平成17年)排出ガス規制基準を達成するとともに、さらにNOxおよびPMの10%低減を達成し低排出ガス重量車認定を取得したものでした。

この小型・軽量な発電用ディーゼルエンジンの採用とともに、減速時の制動エネルギーを電子制御ブレーキによる回生ブレーキでバッテリーへ還元するなど、高いエネルギー効率を実現し、平成27年度重量車燃費基準を大幅に超える、重量車モード燃費5.0km/ℓの優れた低燃費を達成しています。また、発電用エンジンから動力を得て作動していたエアコンディショナーやパワーステアリングポンプなどのエンジン補機部品をすべて電動化。さらに、ヘッドライトなど24Vの電源用には高効率DC/DCコンバーターを新搭載し、充電の必要のない時は走行状態に関わらず発電用エンジンを停止し、モーターのみで走行することで、高い静粛性を実現しています。また、高性能な走行用モーターとリチウムイオン電池の組み合わせにより、変速ショックのないスムーズな加速が可能となっています。なお、エアロスター エコハイブリッドは天井部分に大きなリチウムイオン・バッテリーを搭載するため、天井前半部分に四角い大きな張り出しが見られるのが大きな特徴です。

三菱ふそう エアロスター エコハイブリッドは残念ながらわずか4年で製造終了となった。(『トミカ』のモデル車両とは同一規格ではありません)

このエアロスター エコハイブリッドは大小のバス会社に採用されましたが、2008年には環境問題をメインテーマとした『G8・北海道洞爺湖サミット』において、首脳会議場と入場ゲート間を結ぶシャトルバスとしても用いられ、期間中の総走行距離498kmのうち給油は1回だけという記録を残しています。この時の仕様のエアロスター エコハイブリッドが、かつて『トミカ』でも発売されていました。エアロスター エコハイブリッドは“平成20年度 第19回 省エネ大賞 省エネルギーセンター会長賞”を受賞するなど優れた車両でしたが、2010年、急速に進展する次期排気ガス規制への適合を見送ったため、残念ながらわずか4年で製造終了となっています。

実際の『ラグーナテンボス』の送迎シャトルバス(『しまじろう シーパーク シャトルバス』)はエコハイブリッド仕様ではありませんが、同系統の車両としてのイメージは上手く再現されています。『トミカ』としては貴重なエコハイブリッド仕様の再販という側面もあるため、見逃せない1台と言えるでしょう。

■ 三菱ふそう エアロスター エコハイブリッド(BJG-MP37TM型) 主要諸元 (『トミカ』モデル車種と同一規格ではありません)

全長×全幅×全高(mm):10955×2490×3095

ホイールベース(mm):5300

エンジン形式:4M50型 直列4気筒ディーゼル(発電用)

排気量(cc):4889

エンジン最高出力:132kW(180ps)/2700rpm

エンジン最大トルク:530Nm(54kgm)/1600rpm

モーター形式:シーメンスN10形交流誘導モーター

モーター最高出力:79kW(107ps)×2

モーター最大トルク:355Nm(36.2kgm)×2

トランスミッション:無断変速(電気式CVT)

サスペンション(前/後):車軸式

タイヤ:(前/後): 275/70R22.5 / 435/45R22.5

■毎月第3土曜日はトミカの日!

No.47 EQS バイ メルセデスーEQ (希望小売価格550円・税込)

毎月第3土曜日は新しいトミカの発売日です。2023年7月の第3土曜日には、上でお伝えしているように、それまでの『No.109 DHLトラック』に代わって『No.109 しまじろう シーパーク シャトルバス』が登場します。また、それまでの『No.47 ダイハツ タフト』に代わって『No.47 EQS バイ メルセデスーEQ』が登場します。なお、『No.47 EQS バイ メルセデスーEQ』には、初回出荷のみの特別仕様(特別色)もあります。

No.47 EQS バイ メルセデスーEQ(初回特別仕様) (希望小売価格550円・税込)*初回のみの特別仕様(特別色)です。

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