【初心者でも5分でわかる!! BMW新型5シリーズ概説】BMW5シリーズってどんなクルマ? そもそも“シリーズ”って何? 名前は無いの?

BMW新型5シリーズ(電気自動車版のi5)とビー・エム・ダブリュー代表取締役社長の長谷川正敏氏。
ついに日本上陸となったBMWの新型5シリーズ。
しかし5シリーズとはどんなクルマなのだろう?
5シリーズの立ち位置を、初心者でも5分でわかるカンタン解説!
BMW 新型5シリーズ(本国仕様)

このたび発売されたBMWの5シリーズ。今さらながらではありますが、ここでもう一度、BMWの5シリーズとはどういうクルマなのかを整理しておきましょう。

まず、BMWの乗用車には、いわゆる車名というかペットネームがありません。「523i」や「330e」、「740d」という風に、基本的には3ケタの数字とアルファベットの組み合わせで表されます。

この数字の最初の1ケタ目は所属する“シリーズ”を表します。“シリーズ”とは大雑把に言えばボディサイズの大きさや車格の目安になります。現在、BMWの“シリーズ”には1から8までがあり、これもまた大雑把に言えば「1と2」が最も小さく、「7と8」が最も大きくなります。つまりボディサイズからだけで言うと、4段階に分かれているわけです。さらに乱暴に言えば、数字が大きくなるにつれてサイズも性能もアップし、車体価格も高くなります。

さて、ヨーロッパでは自動車のボディサイズや車格を“セグメント(=区分)”という基準で表現することが多々ありますが、この“セグメント”は小さい方からA、B、C、D、E、F(あるいはL)の6段階に分かれています。また、車格として見ると、自動車として必要最低限の小さなAから大きくラグジュアリーなF(あるいはL)までとなります。

これで分類するとBMWの自動車は一般的に、「1と2」がCセグメント、「3と4」がDセグメント(一時期、3シリーズに“コンパクト”と称する普及版的な仕様がありましたが、そちらはCセグメントに分類され、後に1シリーズとなります)、「5と6」がEセグメント、「7と8」がF(またはL)セグメントとされています。

BMW 3シリーズ。全長4720mm×全幅1825mm×全高1440mm。ホイールベース2850mm。(Dセグメント)
BMW 5シリーズ。全長5060mm×全幅1900mm×全高1515mm。ホイールベース2995mm。(Eセグメント)
BMW 7シリーズ。全長5390mm×全幅1950mm×全高1545mm。ホイールベース3215mm。(F(あるいはL)セグメント)

ちなみに“セグメント”は使用する企業や団体ごとに解釈が異なっているというかなり曖昧な基準ですが、EセグメントとF(あるいはL)セグメントとの境界は、多くの使用者が「全長5m以内か超か?」というところに設定しています。今回のBMWの新型5シリーズは全長5.06mと5mをわずかに超えているため、「F(あるいはL)セグメント寄りのEセグメント車」と表現されることになるでしょう。実際、新型の発表にあたってビー・エム・ダブリュー代表取締役社長の長谷川正敏氏は「今回の新型は完全に別次元と言えるラグジュアリーの価値観が与えられていています」と述べています。

ここで「1と2」、「3と4」、「5と6」、「7と8」と、ボディサイズ的には2つのシリーズを一緒に扱いましたが、実は数字には奇数と偶数でも違いがあります。奇数はセダンやハッチバック、ステーションワゴン系などの標準的なデザインのボディを持ったものを表し、偶数はBMWでは“グランクーペ”と呼ぶ4ドア・クーペも含んだクーペ系やオープンカーボディのカブリオレのような、スタイリッシュでスポーティなデザインのボディを持つものを表します。

つまり5シリーズとは、BMWの自動車の中で上から2番目(下から3番目)にボディサイズが大きく、標準的なデザインのボディを持った乗用車です。“セグメント”で言えばEセグメントというわけです。ただし今度の新型5シリーズは、限りなく最上級モデルに近づいたボディサイズや車格になっているのが大きな特徴と言えるでしょう。ちなみに現在、5シリーズが新型に切り替わった以上は6シリーズも新型に切り替わるものと思われます。

新型5シリーズ(上)と同じく電気自動車版のi5。i5は電気自動車のためグリルなどが異なるが、基本形は同じ。

ここまで3ケタの数字のうちの最初の数字について説明しましたが、BMWの自動車の性格はこれだけでほぼ判断できることがおわかりでしょう。それに続く2ケタの数字は何かと言えば、エンジンの排気量の目安を示しています。たとえば「523i」なら「23」ですから「2.3ℓ=2300cc」です…と言いたいところですが、現在では少々変わっています。

今回の新型5シリーズの「523i」のエンジン排気量は1998cc、概ね2.0ℓです。エンジンは日々刻々と進化を続けており、ターボチャージャーの装着などもあって、同じ出力やトルクをより小さな排気量のエンジンで出せるようになってきました。このためエンジンが発揮できる力と排気量が、昔の基準とは合わなくなってきたのです。そこで実際に搭載されているエンジンの排気量が2.0ℓであっても、昔の2.3ℓ以上の排気量のエンジンと同等の力が出せるのなら2.3ℓエンジン相当と考えて「23」が付けられているというわけです。

そして3ケタの数字に続くアルファベットはパワーユニットの種類を表しています。「i」はガソリンエンジンを、「d」はディーゼルエンジンを、「e」はプラグインハイブリッドを表します。このアルファベットの前にさらに「L」や「t」などのアルファベットが入ることもありますが、これはボディやエンジンの説明の補助的なものです。

BMW X5。SUV版の5シリーズ的スタンスの車両。全長4935mm×全幅2004mm×全高1755mm。ホイールベース2975mm。

さらに言えば、“シリーズ”を示す数字の前にアルファベットが付く車両群があります。これは「X」がSUV系車両、「i」が電気自動車系車両、「Z」が2人乗りオープンスポーツカー、「M」がレーシングカー顔負けの特別なハイパフォーマンスモデルを表します。

ざっとBMWの乗用車の命名規則から5シリーズの概要を整理してみましたが、5シリーズのおおよその立ち位置がおわかりになられたでしょうか?

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