シェアが4年間で10倍に拡大!人気の輸入EVが神戸に大集合/JAIA輸入電動車普及促進イベント in 神戸

JAIA輸入電動車普及促進イベント in 神戸
日本自動車組合が「JAIA輸入電動車普及促進イベント in 神戸」を開催した。イベントの舞台となったのは、数々のラグジュアリーブランドが軒を連ねるおしゃれストリート、旧居留地。そこにインポーター各社が誇る最新の電動車(EV、PHEV、FCEV)が勢揃いし、街を歩く多くの人の視線を釘付けにしていた。

7月14日と15日の2日間にわたり、「JAIA輸入電動車普及促進イベント in 神戸」が開催された。JAIA(日本自動車輸入組合)では現在、「輸入電動車普及促進プロジェクト」を推進しており、今回のイベントもその一環となる。2021年から毎年1回開催されているのだが、初年度は東京、昨年度は大阪、そして今年は神戸がイベントの舞台となった。ちなみに神戸を含む関西エリアは、輸入車のシェアが高いのが特徴。特に兵庫県の芦屋市や西宮市、そして神戸市の一部エリアでは輸入車のシェアが2割を超えるというから驚きだ。

輸入電動車が一堂に会した「JAIA輸入電動車普及促進イベント in 神戸」は、7月14日・15日に神戸・旧居留地明石町筋を中心に開催された。

兵庫県では2050年に二酸化炭素の実質排出量をゼロにするカーボンニュートラルを目標に掲げ、2030年に温室効果ガスの48%削減に向けた施作を展開中だという。また、神戸市も地球温暖化防止実行計画を3月に大幅に見直し、その柱の一つとして電動車の普及促進を掲げている。さらに外部給電神戸方式と称し、災害時に停電が発生した際には、ゴミ処理施設で発電した電気で電動車を充電し、 避難所にそれを供給する仕組みを用意したりと、さまざまな取り組みを行なっている。

イベントの開催に先立ち行われたオープニング式典。JAIA会員や関係省庁の来賓によるテープカットでイベントの幕が上がった。

さて、JAIA会員であるインポーターがラインアップするBEVは、2020年10月時点では10ブランド/20モデルだったのが、2023年6月時点では16ブランド/95モデルにまで拡大した。それに伴って販売台数も順調に増加。2022年は初めて1万台を突破し、前年の約1.6倍となる1万4341台を記録した。今年も上半期(1-6月)の時点で9239台を販売したそうだが、これは前年(5289台)の約1.8倍という好調ぶり。輸入EVのシェアも2019年は0.5%だったのが2022年には5.9%と、4年間で10倍にまで拡大している。

JAIA理事長の上野金太郎氏。

そうした販売台数の数字からも、輸入電動車が着実に日本でも普及しつつあることがわかる。その勢いをさらに加速させるためには、より幅広いユーザーに輸入電動車の魅力に触れてもらう必要がある。そのため、今回は3年目にして初めてメディアだけでなく、一般のお客さんも対象にしたオープンなイベントとして開催された。

会場が設けられたのは、神戸のなかでも観光地として知られる旧居留地の明石町筋。数々の有名なラグジュアリーブランドの路面店が軒を連ねるメインストリートで、東京で言えば銀座のようなお洒落かつ高級感が漂う一帯だ。そこに並んだのは、10社・28台の輸入電動車たち。BEVを中心として、PHEV、FCEVといった車両が多くの来場者の注目を集めていた。また、兵庫県に本社のある二輪メーカーのカワサキも地域連携ブースとして出展。三井住友銀行神戸支店前というこちらも一等地のスペースに、電動バイクのコンセプトモデルを2台と、6月30日から発売が開始されたばかりの電動3輪車が展示された。

10社28台の輸入電動車が展示された。なかにはマクラーレン・アルトゥーラのようなスーパースポーツカーも。システム最高出力は680psに達するPHEVだ。

さて、電動車を普及させるにはラインアップの充実が重要となるが、それとともに充電インフラの整備も欠かせない。日本政府は2030年に公共用の急速充電器3万基を含む 15万基の充電設備を整備するという目標を掲げている。そんな動きもある中で、今回は充電インフラ関係の企業、そしてバッテリーのリサイクルを行なう企業も参加した。

会場となった旧居留地は、150年以上前に神戸開港と合わせて、外国人が居住したり仕事をしたりする場所として整備され、それまでの日本にはなかった新しい文化の玄関口として神戸の発展に大きく影響を与えてきたエリアだ。そんな場所で開催された本イベントは、今後の輸入電動車の普及における大切な一歩となったに違いない。

メルセデデス・ベンツ日本は5月末から発売が始まったばかりのEQS SUVを展示。全長5130mm、全幅2035mmという堂々たる体躯を誇る7人乗りEV。
こちらはボルボのEV、C40リチャージ。そのほかXC40リチャージ(EV)、XC60リチャージ(PHEV)、XC90リチャージ(PHEV)と、多彩なモデルが揃っていた。
ポルシェ・タイカンGTSとアウディe-tron GT、プラットフォームを共用する2台のスーパースポーツが揃い踏み。
2023ワールド・カー・オブ・ザ・イヤー受賞車でもあるヒョンデIONIQ5は、キッチン用品も利用できる最大1.6kWの電力供給機能(V2L)をアピール。
中国ブランドで初めて型式指定認証を取得し、CEV補助金85万円の対象車両となったBYDのEV、ATTO3。
プロトが取り扱う電動スクーター、ゴッチアも登場。原付1種規格のGEV600は航続距離70kmで、価格は19万6900円。
ゴッチアから今後発売予定となっている原付2種規格のGEV1000も展示されていた。かなり走りはパワフルになっているというから楽しみだ。
GEV1000のシート下にはバッテリーパックが2個搭載されている(GEV600は1個)。
カワサキモータースジャパンは、明石町筋からちょっと離れた三井住友銀行神戸本部ビル前のスペースにブースを出展。左からEVモーターサイクル(Zタイプ)、EVモーターサイクル(Ninjaタイプ)、Noslisu eを並べていた。
充電インフラ関係のブースも充実。こちらは急速充電器で国内シェア1位という東光高岳による、最大15kWの急速充電器。壁掛けタイプで省スペースなのが特徴で、法人需要や公共施設での導入を見込んでいる。
マンションや集合住宅向けの充電設備導入をサポートするエネチェンジ。特に東京では2025年以降の新築マンションに充電設備の設置が義務化されたことを受け、問い合わせも急増しているとか。
真っ黒焦げのバッテリーを展示していたのは、リチウムイオンバッテリーのリサイクルを行なうDOWAエコシステム。熱処理により不活性化した後、破砕・選別してリチウムやニッケル、マンガン、コバルトといった希少な金属資源を回収する。
機械式駐車場における充電システムを提供するIHI。新設・既設を問わずに充電システムの設置が可能だという。
充電器の設置場所や満空情報、充電料金といった情報をスマホアプリで確認できるサービスを提供するエコQ電。全国3400基の充電器に対応している。

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著者プロフィール

長野 達郎 近影

長野 達郎

1975年生まれ。小学生の頃、兄が購入していた『カーグラフィック』誌の影響により、クルマへの興味が芽生…