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北米フルサイズSUVの運転席から眺める景色は素晴らしい。
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前編に続いてお届けする、日産の北米専売フルサイズSUV「アルマダ」の現地取材レポート。後編は主に試乗して感じたフィーリング、荷室の積載性、燃費などについてお届けする。
まずはその巨体に乗り込む際だが、サイドステップの助けなしでは不可能で、片足をかけた後、よっこらしょと身体を持ち上げ、シートにお尻を滑り込ませる格好となる。運転席から望む視界は極めて高く、周囲を見下ろすような、いわゆるコマンドポジション。目に触れ、手に触れる部分に上質な革素材や木目調パネルを採用しており、高級感も高い。なんだか乗っただけでエラくなったような錯覚を受けてしまった。
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車載ナビゲーションが搭載された12.3インチのカラータッチスクリーンも、操作性は上々。2021年モデルから大幅に刷新された部分でもあるので、視認性も含めて進化の度合いを実感できた。また、前編にも書いたが、地図の縮尺変更や、ひとつ前の画面や操作に戻るためのバックキーは物理スイッチを用意。運転しながらでも操作しやすいことへの配慮が感じられ、好感が持てた。面白かったのは荒天の際に、ナビゲーションがわざわざ「進行方向にストームが発生しています」と知らせてくれたこと。時に尋常ではない規模のハリケーンが発生する、アメリカならではの機能なのかもしれない。
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ハイウェイを580km走っても疲れ知らずの安定感
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今回の取材では、南カリフォルニアのロサンゼルスを起点に、北カリフォルニアのサクラメントやサンノゼにも移動したのだが、ロサンゼルスからサンノゼまで直行したとしても片道の距離は360マイル(約580km)もある。その大半をハイウェイで移動するわけだが、さすがはフラッグシップSUVだけあって、アルマダはオンロードの乗り心地のよさも兼ね備えているのが印象的だった。
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それは伝統的なラダーフレームを継承しながら、四輪ダブルウィッシュボーン式サスペンションを採用しているのが、効いているのだろう。走っている状態に合わせて、車両の挙動制御を行う油圧式のボディモーションコントロールも採用されているため、直進時には過敏に修正舵を与える必要もなく、フラットな乗り心地を味わえる。
あくまでラダーフレーム車に特有の上屋(ボディ)と下回り(シャシー)が別々の動きをしているような印象自体はあるのだが、特に段差を超えた時の横ずれ感などは抑制されており、洗練を感じた。5.6LのV8の加速性や7速ATの変速マナーもいたってスムーズであり、大柄な外観からは想像できないキメの細やかさが印象に残る。
また、北米専売のフルサイズSUVらしいユニークな装備だなと思ったのが、牽引しているトレーラーのブレーキの効き具合を調整するシステム。トレーラー・ブレーキ・コントロール・ユニットの頭文字を取ってTBCUといい、センターコンソールに操作スイッチが設けられていた。
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アメリカのトレーラーは電磁式のブレーキが一般的で、牽引車のフットブレーキと連動してトレーラー側のブレーキも作動する仕組みになっている。積載重量に応じて、その効き具合を「+」あるいは「-」のスイッチで調整したり、フットブレーキの操作とは独立して手動でブレーキを効かせることが可能。手動用のツマミは指で挟んで縮めるように操作する。
もちろん今回の試乗では使うことはなかったが、キャンピングトレーラーを牽引したり、個人所有のボートを運んだりという用途が割と一般的なアメリカでは、きっとありがたい装備なのだろう。
プロパイロットが付いていれば100点だったのだが…
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一方で、フラッグシップモデルにしてはちょっと残念だなと思ったのが、日産の得意とする安全運転支援システム。インテリジェントクルーズコントロールやエマージェンシーブレーキなど、16個におよぶアシスト機能はひと通り装備されており、ハイウェイにおけるクルコンの制御も十分に実用的ではあったのだが、いわゆる渋滞時の巡航アシストなどを担うプロパイロットは採用されていないのである。
重量級になるほど制御に難しさがあるのか、単にモデルチェンジの端境期にあるからなのか、理由は定かではないが、プロパイロットがより下位のモデルにも採用されているのも事実。よりコンフォート性能を高める意味では、早期の採用を期待したくなる部分だ。
ラゲッジルームは当然のように広く、サードシート使用時でも奥行きは約470mm、幅は約1270mmある。開口部で計測した高さは約860mmだ。
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電動式のサードシートを格納した場合は、奥行きが約1200mmまで拡大。ホイールハウス間の幅は約1180mmだ。ちなみにセカンドシートもタンブルアップすることが可能で、持ち上げた座面裏側までの奥行きは約1740mmとなっている。
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ちなみに燃費は全行程の平均値が18.2mpgで、約7.73km/L。高速主体で最も良好だった時で20.4mpg、約8.67km/Lとなった。クルマの性格を考えると、かなり健闘している方ではないだろうか。
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所変われば、機能や装備も変わるクルマのおもしろさ。それはやっぱり現地で走ってみないとわからないものだ。アルマダはアメリカ特有のニーズに応え、望外な満足感も約束するスケールの大きなSUVだった。今後は何らかの形で電動化するのか、多様化するアメリカ人の嗜好やライフスタイルに、どう対応し、変化して行くのか。プラットフォームを共有する中東向けのパトロールともども、次なる展開が楽しみである。