【 5分でわかる!! 今さら聞けない ランドクルーザー70系・概説】 “〇〇系”ってナニ? どうしてそんなに長く作られているの?

トヨタ ランドクルーザー 70 (2014年モデル)
再再販が噂されるトヨタのランドクルーザー70系。
しかし数あるランドクルーザーのシリーズの中でも、70系とはどんなクルマなのだろう?
そこで今さら人に聞けない70系の立ち位置を、初心者でも5分でわかるカンタン解説!
1951年に誕生した初代BJ/FJ型。ランドクルーザーの名前を冠するのは1954年から。

最初は警察予備隊向けに計画された小型輸送車

ランドクルーザー(以下、ランクルと略)はトヨタの大型クロスカントリー車です。1951年、警察予備隊(のちの自衛隊)向けに計画された小型輸送車両として誕生、1954年に車名を“ランドクルーザー(陸の巡洋艦)”とされ、このBJ/FJ型を初代として現在まで続く歴史をスタートさせます。

ランクルは1955年に2代目モデルの20系、1960年に3代目モデルとなる40系、1984年に4代目モデルとなる70系へと受け継がれて行きますが、この「〇〇系」とは、自動車の型式のことを示しています。

2代目 20系。

自動車には車両型式というものがあり、原則、どんなメーカーの自動車もアルファベットと数字の組み合わせによって様々な仕様を示すシステムを採用しています。この数字とアルファベットの組み合わせのうち、車両の基本形を示す数字あるいはアルファベットがありますが、ランクルの場合は車両としての基本型式をアルファベットで、2ケタあるいは3ケタの数字で歴代を示しています(ランクルはややこしい経緯のあるクルマなので、必ずしも数字と歴代は一致しませんが、ここでは話を単純化するため、あくまで原則論で解説します)。

3代目 40系。

たとえば2代目ランクルにはFJ21、FJ24、FJ25、FJ28などといった型式名の車両が存在していますが、アルファベットはすべて“FJ”です。アルファベットは車両の基本形式を示すため、実は初代から共通して使用され続けています。このため「そのランクルが何代目のモデルなのか?」を知る手掛かりにならないことから、数字の方に着目します。すると数字はすべて20番台が使用されています。この数字は40系では40番台が、70系では70番台が使用されています。そこで2代目モデルのことを「20系」と総称するわけです。ちなみに愛好家は「20」は「ニーマル」、「40」は「ヨンマル」、「70」は「ナナマル」と呼び習わしているようです。

4代目70系(1984年登場)

4代目 70系。

さて、1960年の登場から24年の長きにわたって販売され続けた超ロングセラーモデルとなる傑作、3代目の40系の後継として1984年に登場したのが4代目の70系です。

さて、長きにわたる40系の経験で、それまで業務用途主体だった4輪駆動車が乗用車代わりにも使われるようになってきたことを感じ取り、スタイルを一新、快適性・操作性・使用性の向上をはかり、新たな需要(=乗用車的な使用)にも応えられるように仕立てられたのが70系の特徴です。

ここでまた「3代目がなぜ30系ではないのか?」という疑問が生じますが、実は30番台の数字は20系のロングホイールベース車に使用済みだったため、3代目モデルは40系となりました。また、「50、60系はどうしたの?」という疑問が生じますが、これも同様に40系のステーションワゴン型に50番台が与えられ、その後継モデルに60番台の数字が与えられました。40系は息が長かったため、50番台、60番台とも40系のバリエーションとなったことから、新型の4代目モデルは70系になったというわけです。

2014年に70系発売30周年記念モデルとして期間限定で再販された70系ランクル。日本では珍しいピックアップトラック型も販売された。

スタイルは40系のイメージを継承していますが、フロントウィンドウに曲面ガラスを採用、室内は居住空間を広げると同時に、実用性も向上させています。ボディのバリエーションは従来の幌タイプ(トラックタイプ)、バンタイプに加えてFRPトップ車が設定され、広い用途に対応するべく2310~3180mmの範囲で5種類のホイールベースを用意し、ボディなしの特装車用シャシーも設定されました。1999年にはフロントサスペンションをリーフスプリングからコイルスプリングに変更して乗り心地の向上がはかられています。エンジンはガソリン、ディーゼルともに4、5、6気筒を使い分け、海外仕様にはV型8気筒の4.5ℓディーゼルエンジンも設定されました。

フランス陸軍が2017年から調達しているマステック T4(Masstech T4)は、70系ランクルのHJZ76型をベースにテクノナム社によって改造された車両。ランクルそのままではないが、現在でもその優秀性が高く評価されている証拠と言えるだろう。(PHOTO:フランス軍事省・フランス陸軍/Ministère des Armées / Armée de Terre)

70系ランクルもまた傑作車として知られています。ランクルは本家本流のトラック型のヘビーデューティ系(ヘビー系)、ステーションワゴン型のライトデューティ系(ライト系)、ランドクルーザープラドへ進化するSUV系の大きく3系統に分派・発展しますが、実はヘビー系の現行最新モデルはこの70系なのです。日本では2004年に販売終了しましたが、海外では依然として製造販売されています。ユーザーのランクルへの要望はほとんどがライト系やSUV系へ移行したものの、世界に目を転じると、いまだにヘビー系のクルマも必要とされているため作られ続けているのです。

2014年 70系ランクル発売30周年記念で期間限定で国内再販売

2014年には日本でも70系ランクルの発売30周年記念モデルとしてオーストラリア版をベースにしたモデルが2種類、期間限定で販売されました。さらに2017年からフランス陸軍が調達しているマステックT4は70系ランクルそのものではありませんが、同車をベースに作られた車両で、その優秀性が世界では現在でも高く評価されていることを伺わせます。

以上、かなり大雑把で駆け足でしたが70系ランクルの概要でした。70系ランクルはまた日本でも40周年記念モデルの再販が噂されていますが、果たして実現されるでしょうか? 稀代の名車の再再販(?)、楽しみにしたいところですね。

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トヨタ・ランドクルーザーのハードコアな部分を凝縮したモデルとして知られる「70」系は残念ながら、現在は日本で発売されていない。振り返れば2014年夏に、30周年記念として限定販売されたこともあったが、法規制への対応などがハードルとなってそれ以降は新車でランドクルーザー70を手に入れる機会は失われている。そんな”ナナマル”が再び販売されているという噂には、どこまで信ぴょう性があるのだろうか。 REPORT:山本晋也(YAMAMOTO Shinya) PHOTO:TOYOTA、編集部

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