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7月30日に決勝レースが行なわれた第13戦ベルギーGPを区切りとして、FIAフォーミュラ1選手権(F1)は毎年恒例のサマーブレイク(夏休み)に入っている。
2023年のF1カレンダーには史上最多の23戦が組み込まれたが、5月中旬に予定されていた第6戦エミリア・ロマーニャGPが、その舞台であるイモラ周辺が豪雨による洪水被害に見舞われたことで急きょ中止に。今季はここまで12戦を消化しているかたちである。
そんな2023年シーズンのF1は、レッドブルとマックス・フェルスタッペンが席巻している。
レッドブルは今季これまでに行なわれた12戦のグランプリすべてで優勝している。1988年のマクラーレン・ホンダが樹立した開幕11連勝という記録を、今年のレッドブルは先月末のベルギーGPをワン・ツー・フィニッシュで破り、F1の歴史に名を刻んだ。
レッドブルは技術規則の大変革がなされた2022年、22戦中17勝を挙げて圧倒的な強さでドライバーズ選手権、コンストラクターズ(製造者部門)選手権を制覇。今季はフロアエッジなど空力的には重要なエリアにおける規則が変更となったが、チャンピオンチームは輪をかけて強くなっている。また、ホンダが手掛けるパワーユニットについてもグリッド上で最もパワフルと評価する声が多く、今季の最速車両であることに疑いの余地はない。
現在ドライバーズ選手権を2連覇中のフェルスタッペンにも、対抗馬が存在していない。
25歳の現役王者はほとんどのレースでチームメイトのセルジオ・ペレスをスピードで圧倒しており、ここまで12戦中10勝、勝率にして83.3%をマーク。また、勝てなかった2レースでは、マシンにトラブルがあったり、セーフティカーの出動タイミングが噛み合わなかったりと不運に見舞われたものの、いずれも2位表彰台を獲得しており安定感も抜群だ。
ベテランのペレスも、フェルスタッペンが落としたレースでしっかりと勝利。チームにポイントをもたらすと同時にライバルの大量得点を防いで大いに貢献している。ペレス自身もフェルスタッペンに続くランキング2位につけている。
前半戦終了時点でレッドブルとフェルスタッペンはライバルたちに大差を築いている。何か重大な事件が起きない限りは、彼らがこのまま2023年シーズンをダブルタイトルで締めるだろう。
スタートダッシュを決めたアストンマーティンは失速気味
レッドブルに次ぐ“2番手”のポジションを争いながら夏休みを迎えたのは3チーム。コンストラクターズランキング2位のメルセデス、同3位のアストンマーティン、そして同4位のフェラーリだ。
2014年からコンストラクターズタイトル8連覇を成し遂げたメルセデス。かつて最強の名をほしいままにしてきたチームだが、シャシーの技術規則に大変革がなされた昨季はランキング3位に後退した。
今季は開幕2戦はノーポイントと出遅れ、ここまで表彰台を獲得したグランプリは4戦にとどまっているが、昨季から継続してきた、特徴的なゼロポッドコンセプトを廃止したモナコGP以降に表彰台3度、そのうち1度(スペインGP)ではダブル表彰台を得た。また、第12戦ハンガリーGPでは7度の世界王者ルイス・ハミルトンがフェルスタッペンを上回ってポールポジションを獲得するなど、調子を上げた状態で前半戦を終えた。
アストンマーティンは、フェルナンド・アロンソが開幕戦バーレーンGPから3戦連続で表彰台を獲得するなど、最高とも言えるかたちで今季のスタートを切った。その後も上位に名を連ね続け、ここまで6度のポディウムフィニッシュを果たしている。
しかし、第9戦カナダGPを最後に表彰台から遠ざかっており、第10戦オーストリアGP以降の最高位は5位と、ここに来てライバルたちに押され気味になっていることは否定できない。
フェラーリもシャルル・ルクレールが3度表彰台に立つなど好成績を残しており、レッドブルに次ぐ2番手を争うチームのひとつとなっている。サマーブレイク突入時点では、アストンマーティンから5点ビハインドのランキング4位。F1では早めにその年のマシン開発を打ち切り、翌年のマシンにリソースを振り分けるチームも多いが、ライバルに肉薄している彼らがどのような決断を下すのか、という点も後半戦の注目すべきトピックになるだろう。
一方で見事な立ち直りを見せたのはマクラーレンだ。英国の名門はシーズン序盤は入賞するのもやっとという雰囲気だったが、第10戦オーストリアGPで4位となると続くイギリスGP、ハンガリーGPでランド・ノリスが2戦連続の2位表彰台をゲット。さらにベルギーGPでもオスカー・ピアストリがスプリントで2位に入るなど光る速さを見せた。直近4戦における総得点数は86で、上記3チームよりも多くのポイントを稼いでおり、後半戦でも2番手グループ争いに絡んできそうだ。
角田が所属するアルファタウリは現状最下位
角田裕毅が所属するアルファタウリは、極めて苦しい状況に立たされている。マシンに競争力はなく、今季獲得したポイントも角田が持ち帰ったわずか3ポイントのみ。コンストラクターズランキングは最下位だ。今季起用したニック・デ・フリースの不振もチームとしては誤算だったようで、第11戦イギリスGPを最後に見切りをつけ、レギュラーシートを失っていたダニエル・リカルドを後任とした。この決断が後半戦にどう活きるのか注目したい。
F1のシーズン後半戦は、8月25~27日の第14戦オランダGPでスタートする。
2023年フォーミュラ1世界選手権 ドライバーズランキング(第13戦ベルギーGP終了時点)
Rank. | No. | Driver | Team | Pts. |
1 | 1 | M.フェルスタッペン | レッドブル | 314 |
2 | 11 | S.ペレス | レッドブル | 189 |
3 | 14 | F.アロンソ | アストンマーティン | 149 |
4 | 44 | L.ハミルトン | メルセデス | 148 |
5 | 16 | C.ルクレール | フェラーリ | 99 |
6 | 63 | G.ラッセル | メルセデス | 99 |
7 | 55 | C.サインツ | フェラーリ | 92 |
8 | 18 | L.ノリス | マクラーレン | 69 |
9 | 18 | L.ストロール | アストンマーティン | 47 |
10 | 31 | E.オコン | アルピーヌ | 35 |
11 | 81 | O.ピアストリ | マクラーレン | 34 |
12 | 10 | P.ガスリー | アルピーヌ | 22 |
13 | 23 | A.アルボン | ウィリアムズ | 11 |
14 | 27 | N.ヒュルケンベルグ | ハース | 9 |
15 | 77 | V.ボッタス | アルファロメオ | 5 |
16 | 24 | 周冠宇 | アルファロメオ | 4 |
17 | 22 | 角田裕毅 | アルファタウリ | 3 |
18 | 20 | K.マグヌッセン | ハース | 2 |
19 | 2 | L.サージェント | ウィリアムズ | 0 |
20 | 21 | N.デ・フリース | アルファタウリ | 0 |
21 | 3 | D.リカルド | アルファタウリ | 0 |
決勝……1位:25点、2位:18点、3位:15点、4位:12点、5位:10点、6位:8点、7位:6点、8位:4点、9位:2点、10位:1点
スプリント……1位:8点、2位:7点、3位:6点、4位:5点、5位:4点、6位:3点、7位:2点、8位:1点
2023年フォーミュラ1世界選手権 コンストラクターズランキング(第13戦ベルギーGP終了時点)
Rank. | Constructor | Pts. |
1 | レッドブルレーシング・ホンダRBPT | 503 |
2 | メルセデス | 247 |
3 | アストンマーティン・アラムコ・メルセデス | 196 |
4 | フェラーリ | 191 |
5 | マクラーレン・メルセデス | 103 |
6 | アルピーヌ・ルノー | 57 |
7 | ウィリアムズ・メルセデス | 11 |
8 | ハース・ハース | 11 |
9 | アルファロメオ・フェラーリ | 9 |
10 | アルファタウリ・ホンダRBPT | 3 |
決勝……1位:25点、2位:18点、3位:15点、4位:12点、5位:10点、6位:8点、7位:6点、8位:4点、9位:2点、10位:1点
スプリント……1位:8点、2位:7点、3位:6点、4位:5点、5位:4点、6位:3点、7位:2点、8位:1点
※コンストラクターズ選手権においては、各コンストラクターズが走らせるマシンの両方が得点対象となる。
2023年フォーミュラ1世界選手権 残りの日程
Rd. | Date | Grand Prix |
14 | 8月25-27日 | オランダGP |
15 | 9月1-3日 | イタリアGP |
16 | 9月15-17日 | シンガポールGP |
17 | 9月22-24日 | 日本GP |
18 | 10月6-8日 | カタールGP |
19 | 10月20-22日 | アメリカGP |
20 | 10月27-29日 | メキシコGP |
21 | 11月3-5日 | ブラジルGP |
22 | 11月16-18日 | ラスベガスGP |
23 | 11月24-26日 | アブダビGP |