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ハイブリッドシステムを持たない純ガソリンエンジンのスポーツモデルは、なかなかその未来を見通すのが難しいというのが今日の状況だ。
しかし2023年現在、意外にもその市場は賑わっていると言える。トヨタはGRスープラなどといった『GR』の名を持つクルマを展開しているし、ニッサンはフェアレディZ、ホンダはシビック タイプRをラインナップ。とりわけスポーツハッチバックは、2023年のホットゾーンだろう。
今回比較するのは8月23日に抽選販売の申込受付を再開したGRカローラと、同車と多くの部分を共有するGRヤリス、そしてFF最速を誇るシビック タイプRだ。
なお、以下の文章では、GRヤリスはRZを基準とする。
ボディサイズ比較
ボディサイズ的にはほとんど棲み分けができていると言えそうだ。
GRヤリスは全長3995mmとコンパクトカークラスに収まっている。GRカローラは4410mmでCセグメント、シビック タイプRは4595mmとDセグメントに分類してもいい大きさだ。
車幅に関しては、全車ハイパフォーマンスモデルということで、ベースモデルから拡大されている。
一番小さなGRヤリスでも、全幅はベースから110mm拡大された1805mm。GRカローラはベース比で60mm増の1850mm、シビック タイプRは同90mm増の1890mmとなっている。
最小回転半径は、最小のGRヤリスが5.3mに対して、シビック タイプRが5.9mと差がついており、日常での使い勝手に違いが出てくる部分となるだろう。
室内長については、一番大柄なシビックが当然一番長い。しかし、GRカローラは室内長1790mmで、これはGRヤリスの1880mmよりも短い。
なお、乗車定員はシビック タイプRとGRヤリスが4名、GRカローラだけが5名となっている。
シビック タイプR | GRカローラ RZ | GRヤリス RZ | |
全長 / 全幅 / 全高 | 4595mm / 1890mm / 1405mm | 4410mm / 1850mm / 1480mm | 3995mm / 1805mm / 1455mm |
ホイールベース | 2735mm | 2640mm | 2560mm |
トレッド 前 / 後 | 1625mm / 1615mm | 1590mm / 1620mm | 1535mm / 1565mm |
最低地上高 | 125mm | 120mm | 130mm |
客室内寸法 長さ / 幅 / 高さ | 1915m / 1545m / 1145m | 1790mm / 1510mm / 1155mm | 1880mm / 1430mm / 1175mm |
乗車定員 | 4名 | 5名 | 4名 |
車両重量 | 1430kg | 1470kg | 1280kg |
最小回転半径 | 5.9m | 5.5m | 5.3m |
パワートレイン比較
全車ともターボ加給されたエンジンを採用している。
GRヤリスとGRカローラはパワートレインを共有している関係にあり、両車ともエンジンは1.6L直列3気筒ターボのG16E-GTS、駆動系は6速のiMTとスポーツ4WDシステム『GR-FOUR』を搭載している。
だが、GRカローラではエンジンが最高出力304PS(GRヤリスから32PSアップ)されているほか、GR-FOURも最適化されている。
ドライブモードは3種類あり、駆動力配分が前後60対40配分の「ノーマル」、前後30対70の「スポーツ」、前後50対50の「トラック」が選択できる。
一方のシビック タイプRはひと回り大きい2L直列4気筒ターボの名機K20Cを採用。このエンジンは先代から引き継いでいるが、パワースペックは先代の320ps/400Nmからパワーアップされ、330ps/420Nmを発揮する。
GRカローラ、GRヤリスを上回るエンジンパワーは前輪で受け止める。
ちなみに、パワーウェイトレシオで比較すると、シビック タイプRが4.3kg/PS、GRカローラが4.8kg/PS、GRヤリスが4.7kg/PSと、シビック タイプRが頭ひとつリードする構図となっている。
燃費性能はシビック タイプRとGRカローラがほぼ互角。軽量なGRヤリスが一番優秀でWLTCモードで13.6km/Lをマークしている。
シビック タイプR | GRカローラ RZ | GRヤリス RZ | |
エンジン型式 | K20C | G16E-GTS | G16E-GTS |
エンジン種類 | 直列4気筒ターボ | 直列3気筒ターボ | 直列3気筒ターボ |
エンジン内径×行程 | 86.0mm×85.9mm | 87.5mm×89.7mm | 87.5mm×89.7mm |
エンジン排気量 | 1995cc | 1618cc | 1618cc |
最高出力 | 243kW(330PS) / 6500rpm | 224kW(304PS) / 6500rpm | 200kW(272PS) / 6500rpm |
最大トルク | 420N・m(42.8kgf・m) / 2600-4000rpm | 370N・m(37.7kgf ・m)/ 3000-5550rpm | 370N・m(37.7kgf ・m)/ 3000-4600rpm |
使用燃料 | 無鉛プレミアムガソリン | 無鉛プレミアムガソリン | 無鉛プレミアムガソリン |
燃料タンク容量 | 47L | 50L | 50L |
燃料消費率(WLTCモード) | 12.5km/L | 12.4km/L | 13.6km/L |
トランスミッション | 6速マニュアル | iMT(6速マニュアル) | iMT(6速マニュアル) |
駆動方式 | FF | 4輪駆動 | 4輪駆動方式 |
足回りはそれぞれに差異が出ている部分だ。
サスペンション形式は別表に詳しいが、シビック タイプRが唯一リヤサスペンションにマルチリンク式を採用している。
また、タイヤサイズはシビック タイプRが265/30 R19と、一番大きい。GRカローラとGRヤリスはそれぞれ235/40 R18、225/40 R18だ。
シビック タイプR | GRカローラ RZ | GRヤリス RZ | |
サスペンション 前 / 後 | マクファーソンストラット / マルチリンク | マクファーソンストラット / ダブルウィッシュボーン | ストラット / ダブルウィッシュボーン |
ブレーキ 前 / 後 | ベンチレーテッドディスク / ディスク | ベンチレーテッドディスク / ベンチレーテッドディスク | ベンチレーテッドディスク / ベンチレーテッドディスク |
タイヤサイズ | 265/30 R19 | 235/40 R18 | 225/40 R18 |
いま確実にほしいならGRヤリス一択
車両本体価格としては、3車とも同価格帯に属している。
シビック タイプRは499万7300円からという設定になっているが、新型コロナウイルスの感染拡大や半導体不足などの影響により、本稿執筆現時点では残念ながら一時的に注文の受付が中止されている。
価格はGRヤリスはRZが396万円から、前後トルセンLSDがついたRZ”High performance”は456万円からと、一番手が出しやすい設定になっている。また、3車のなかで唯一、一般販売がされているモデルでもある。
GRカローラは525万円から。8月23日に抽選販売の受け付けが再開されている。550台限定の予定だが、半導体不足が緩和傾向にあるため、販売台数が増加される可能性もあるようだ。 シビック タイプR 税込499万7300円から GRカローラ RZ 税込525万円から GRヤリス RZ 税込396万円から GRヤリス RZ”High performance” 税込456万円から
車両本体価格 シビック タイプR税込499万7300円 GRカローラ RZ税込525万円 GRヤリス RZ税込396万円 GRヤリス RZ"High performance"税込456万円