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ベッドを格納すればスペースを有効活用できる|カトーモーター・ブルームーンEX
「日本のバンコンは優れている」。各社のモデルを拝見する度に、つくづく思うのである。そもそも、ミニマルなプロダクツを造ることに日本人は長けた民族だから、バンコンくらいはお手の物かもしれない。
能書きはほどほどにして、その感嘆させられたバンコンというのは、カトーモーター「ブルームーンEX」だ。ハイエースのワイド・スーパーロング・ハイルーフをベースにしたモデルだが、前部にダイネットとギャレー、後部に二段ベッドとマルチルーム(ビルダーはカーゴルームと呼称)がレイアウトされている。
と言えば、世間によくあるバンコンのようにも思えるが、ブルームーンEXはちょっと違う。二段ベッドの外枠を持って車両中方向に引っ張ると、なんどスライドして就寝スペースが拡大するのだ。通常状態では600mmのベッド幅が、上段:1100mm、下段:1200mmに広がる。就寝定員で言えば、2名が4名になるのである。セカンドシートとサードシート、フォースシートをフラットにすれば、さらに+1人分の就寝スペースになる。
車両最後部にマルチルームがあるのも便利だ。荷物スペースとしてはもちろんのこと、ドアが付いているのでトイレスペースとして使うこともできる。中高年には実にありがたい装備だ。
木目調の家具も、実に質感がいい。嫌みのない色合いで、国産車よりも欧州車に近い感じがする。オーバルや角丸の開口部など、デザイン的にも国産車ではなかなかお目にかからない。さらに、セカンドシートのクッション、ベッドマットのトリムもシンプルモダンなものを採用している。
装備の充実ぶりも申し分ない。シンク、40L冷蔵庫、カセットガスコンロ、オーバーヘッドシェルフ、100Ahサブバッテリー、LEDドームライト、首振り読書灯など、一通りが揃っている。さらに、冷蔵庫熱気抜きファンや塩害ガードといった目に見えない配慮も万全だ。
ちなみに、このモデルには兄弟車がある。同じく、ハイエース・ワイド・スーパーロング・ハイルーフをベースにした「ブルームーン」で、助手席だけでなく運転席も対面対座シートになっており、セカンドシートと4名がくつろげるダイネット空間を構成する。
欧州製キャンパーだと、運転席と助手席が回転対座するモデルは一般的だが、国産車では数少ない。しかも、ハイエースは回転させるだけの空間がないから、シートバックを前方に倒すだけでいいのである。これは簡単だ。ちなみに、ブルームーンは4名就寝となる。
ブルームーンEXはニューファミリー向け、ブルームーンはファミリー向けといったところだが、どちらも二人旅で使ったらかなり快適な空間になるだろう。まさに、月夜などを観に行ったら、素敵な思い出になるに違いない。ちなみに価格は620万7300円〜658万6800円(車両代込、税込)。特装車べースで、644万9300円〜699万円9300円(車両代込、税込)となっている。装備とのバランスを考えたら、ぜひ選択肢に入れておきたい1台と言えるだろう。
カトーモーター・ブルームーンEX
■車両本体価格:620万7300円/展示車価格:775万600円
■ベース車両:トヨタ・ハイエース
■乗車定員/就寝定員:5〜6人/4人
■展示車のオプション装備:リヤヒーター 2万7500円/キャンパー特装 24万2000円/エアコン 54万7800円/ポータブルトイレ 3万3000円/J-TOPルーフ 69万3000円