【5分でわかる! 今さら聞けないトヨタ・センチュリー】SUV仕様が登場するってマジか!? そんな噂話をする前に知っておきたいトヨタ・センチュリーの基本の“基”

3代目トヨタ・センチュリー
トヨタ・センチュリーはトヨタを、いや、日本を代表するショーファー・ドリブンカーだ。
最近、そのセンチュリーに新たなファミリーが加わるという噂があるが、そんな噂話をする前に、まずはセンチュリーというクルマの基礎的な事柄をおさえておきたい。

センチュリーはショーファー・ドリブンカーだ

初代センチュリー。

トヨタ・センチュリーはトヨタの最高級乗用車にして日本の代表的なショーファー・ドリブンカーです。“ショーファー”とは“お抱え運転手”のことで、車の所有者が自分で運転するのではなく、専属の職業運転手に運転させるタイプの高級車のことです。従って、お抱え運転手を雇うことのない一般家庭では、自分が誰かの専属職業運転手として雇われており、自動車も預かっているというのでもない限り、高級車とは言ってもほぼ縁のない自動車と言っても良いでしょう。この種の自動車は、普通は一般家庭ではなく、企業や省庁・官庁の公用車として、あるいはハイヤーなどの旅客営業で用いられます。

自動車の形式としては一般に“リムジン”と呼ばれるもので、もともとは馬車の形式の一つです。馬車の中でも馬を操作する御者が座る席と客室との間に仕切りがある、もしくは御者席が客室の外側にある形式のもののことを指したので、運転席および助手席と後部座席とが仕切りで完全に隔離されている形式の自動車のことを言いました。しかし、近年では壁や仕切りで運転席と完全に隔離されていなくても、後部座席に十分すぎる余裕のある空間を有する高級自動車も“リムジン”と呼びます。

初代は30年にわたって生産された

ショーファー・ドリブンカーであるセンチュリーの真骨頂は車内、中でも贅を尽くした後部座席の居心地、快適性にある。(画像は3代目インテリア)

さて、トヨタ・センチュリーは1967年11月にクラウンエイトに代わる新たな大型高級車として発売され、世界の豪華車を目指して、すべてが新規開発されました。車名の「センチュリー」とは英語で「世紀(100年)」のことですが、これは1967年が、トヨタ・グループの創設者である豊田佐吉氏の生誕から100年にあたることに由来した命名です。

ひと足早く1965年10月に日産から登場した同様の高級車のプレジデントがアメリカナイズされたモダンなスタイリングであったのに対し、センチュリーは日本の伝統的な美しさを表現するという方向性を選択しています。悪く言えば保守的ですが、その重厚なデザインは、結果的に長期間にわたって古びることはありませんでした(その結果、なかなかモデルチェンジできなかったという面もありますが…)。

機構面ではソフトで快適な乗り心地を得るため、日本の乗用車として初めてエアサスペンションが採用されたほか、徹底的ともいえる装備品の自動化と入念な工作が施されました。

また、エンジンはクラウンエイト用の発展型である3.0ℓ V型8気筒OHV の3V型が採用され、1973年4月の“昭和48年(1973年)排ガス規制”対応時に3.4ℓに、さらに1982年10月に4.0ℓへ排気量を拡大しています。組み合わされるトランスミッションは3速ATコラムシフト、3速MTコラムシフト、4速MTフロアシフトの3種類で、4速MTはセパレートシートと、それ以外はベンチシートとの組合せとなっていました。

初代センチュリーは小変更を加えながら、1997年まで実に30年間にわたって基本構造を変えることなく生産されました。

2代目はなんとV型12気筒エンジン搭載車

2代目センチュリー。

誕生から30年を経た1997年4月にようやく(?)フルモデルチェンジされた2代目は、初代から重厚なスタイリングを継承し、機構面では一気に30年分のアップデートが実施されました。また、機能性と感性が調和したインテリアが提供する最高のくつろぎが目指されています。ボディサイズは拡大され、安全面では衝突安全ボデー(GOA)を導入、SRSエアバッグを前後左右合わせて6個装備されました。サスペンションは4輪ダブルウィッシュボーンの電子制御スカイフック・エアサスペンションが採用されています。

エンジンは日本の乗用車としては初のV型12気筒が新開発され、DOHC48バルブVVT-i、5.0ℓの1GZ-FE型は最高出力280PS/5200rpmを発揮しました。

現行の3代目は先進のハイブリッドカー

3代目センチュリー。

好評を博した2代目でしたが、自動車技術の進化は目ざましく、2018年6月に現行の3代目モデルがデビューしました。さすがに初代のように30年とまでは行きませんでしたが、それでも21年です。

3代目も初代、2代目同様に重厚なスタイリングを踏襲していますが、サイドボディに“几帳面”と呼ぶキャラクターラインを施したのが特徴です。“几帳”とは、平安時代の貴族が自分の姿を隠すために使用した間仕切りのことで、この“几帳”の柱に使われた角を丸めて両側に刻み目を入れる特徴的な面取り(角を滑らかにする仕上げ)=几帳面に由来しています。ちなみにこの細工は非常に緻密さが求められるものであったことから、物事を正確に行なうさまをあらわす「几帳面」という形容詞が生まれたと言います。

プラットフォームは4代目レクサスLS(ロングボディ車)用のものをベースに最適化させたもので、ホイールベースやサスペンション形式は共通ですが、AVS機能付電子制御エアサスペンションの採用などでセンチュリー伝統の乗り心地の良さを継承しています。

パワーユニットは時流にあわせてV型12気筒をやめ、エンジンには5.0ℓV型8気筒の2UR-FSE型を用いて2段変速リダクション機構付THS-Ⅱを採用したハイブリッドシステムとなっています。システム最高出力は431psと、2代目の280psを大きく上回るものとなりました。また、安全面に関しても最新の予防安全技術が採用されています。

2018年にデビューした3代目のモデルライフは当然ながらまだまだ続くものと思われますが、最近(2023年8月現在)、センチュリーに新たなファミリーが増えるという噂が聞こえてきています。にわかに信じられませんが、噂ではSUV仕様だとのこと。たとえばアメリカでは公用車にシボレー・サバーバンやGMCユーコン、キャデラック・エスカレードのようなフルサイズSUVが使用されているのをよく見かけますので、決してあり得ない話ではないのかも知れません。

以上、かなり駆け足となりましたが、トヨタ・センチュリーの概説をお届けいたしました。

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