歴代最多勝は?最後方からの優勝者は?日本GP開催前に鈴鹿での歴代ウィナーを振り返ってみた

FIAフォーミュラ1世界選手権の2023年シーズン第17戦日本GPが、9月22日~24日に鈴鹿サーキットで開催される。今回は鈴鹿でのF1日本GPの歴代優勝者を振り返ってみる。

日本におけるFIAフォーミュラ1世界選手権のレースが初めて開催されたのは1976年。同年から2年間は富士で行なわれたが、1987年から2006年までの20年にわたり鈴鹿サーキットが舞台となったことで「日本GPといえば鈴鹿」というイメージの方が多数派だろう。

現役で勝っているのは3人のみ

下に鈴鹿で開催された日本GPの歴代ウイナーを列挙した。

開催年優勝者所属チームスターティンググリッド
1987ゲルハルト・ベルガーフェラーリ1
1988アイルトン・セナマクラーレン・ホンダ1
1989アレッサンドロ・ナニーニベネトン・フォード6
1990ネルソン・ピケベネトン・フォード6
1991ゲルハルト・ベルガーマクラーレン・ホンダ1
1992リカルド・パトレーゼウィリアムズ・ルノー2
1993アイルトン・セナマクラーレン・フォード2
1994デイモン・ヒルウィリアムズ・ルノー2
1995ミハエル・シューマッハベネトン・ルノー1
1996デイモン・ヒルウィリアムズ・ルノー2
1997ミハエル・シューマッハフェラーリ2
1998ミカ・ハッキネンマクラーレン・メルセデス2
1999ミカ・ハッキネンマクラーレン・メルセデス2
2000ミハエル・シューマッハフェラーリ1
2001ミハエル・シューマッハフェラーリ1
2002ミハエル・シューマッハフェラーリ1
2003ルーベンス・バリチェロフェラーリ1
2004ミハエル・シューマッハフェラーリ1
2005キミ・ライコネンマクラーレン・メルセデス17
2006フェルナンド・アロンソルノー5
2007-08富士スピードウェイで開催
2009セバスチャン・ベッテルレッドブル・ルノー1
2010セバスチャン・ベッテルレッドブル・ルノー1
2011ジェンソン・バトンマクラーレン・メルセデス2
2012セバスチャン・ベッテルレッドブル・ルノー1
2013セバスチャン・ベッテルレッドブル・ルノー2
2014ルイス・ハミルトンメルセデス2
2015ルイス・ハミルトンメルセデス2
2016ニコ・ロズベルグメルセデス1
2017ルイス・ハミルトンメルセデス1
2018ルイス・ハミルトンメルセデス1
2019バルテリ・ボッタスメルセデス3
2020-21新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止
2022マックス・フェルスタッペンレッドブル・RBPT1

1987年の記念すべき鈴鹿での初グランプリを制したのは、当時フェラーリに所属していたゲルハルト・ベルガー。ベルガーはマクラーレン移籍後の1991年にも勝利しており、鈴鹿では通算2勝を挙げている。

1987 F1 Japanese GP
ベルガーは鈴鹿での初開催となった1987年日本GPでポール・トゥ・ウィンを飾っている。

2022年までに鈴鹿で最多勝を挙げているのはミハエル・シューマッハ。7度の世界王者はベネトン時代の1995年、フェラーリ時代の1997年、2000年、2001年、2002年、2004に勝っており、鈴鹿で通算6勝を誇る。

2004 F1 Japanese GP
シューマッハは鈴鹿で通算6勝。
2004年も含め、6勝のうち5勝はポールからだった。

シューマッハに続くのは、同じく7度の戴冠を果たしているルイス・ハミルトン(2014年、2015年、2017年、2018年)と、2022年を最後にF1から引退したセバスチャン・ベッテル(2009年、2010年、2012年、2013年)で、通算4勝をマークしている。
ちなみに、ハミルトンは富士で行なわれた2007年の日本GPでも勝利しており、日本では5勝を記録している。

2009 F1 Japanese GP
「鈴鹿が大好き」と公言していたベッテルが同地で初優勝を果たしたのは2009年のこと。
2009 F1 Japanese GP
2009年から鈴鹿で4勝を挙げたベッテル。そのすべてがレッドブル時代のものだった。

ハミルトン以外の現役ドライバーで鈴鹿で勝っているのは、アストンマーティンのフェルナンド・アロンソ(2006年/当時ルノー)とアルファロメオのバルテリ・ボッタス(2019年/当時メルセデス)のふたりだけだ。
なお、2年の空白期間を経て、2009年にF1が再び鈴鹿に戻ってから2022年までに合計12回、日本GPが開催されているが、その年のチャンピオン以外が勝利したのは、2009年、2011年、2019年の3度のみとなっている。

2018 F1 Japanese GP
鈴鹿では現役ドライバーのなかで最多の4勝を挙げているハミルトンだが、2018年を最後に勝利からは遠ざかっている。

歴代優勝者はほとんどフロントロウスタート

鈴鹿サーキットの特性として、追い抜きが難しい点が挙げられる。

Suzuka Circuit Map
FIAが昨年の日本GPに向けて発表したコース図。DRSゾーンはホームストレートの1箇所だけだった。

鈴鹿での主なパッシングポイントはターン1とシケイン(ターン16)への飛び込みの2箇所。その他ヘアピン(ターン11)やスプーン(ターン13~14)でもオーバーテイクは見られるが、先に挙げた2点よりは少ないと言える。
いずれにしても、ホームストレートをはじめ、これらのコーナーへと続くストレートは短く、DRSを使ってもブレーキングポイントまでに前走者に並びかけるのは難しい。
近年では“高速コーナーでも進入から脱出までアクセル全開であればストレート”という風潮もあるが、そこで実際にオーバーテイクが生まれるかどうかは別である。
また、伝統あるクラシックサーキットとも呼ばれる鈴鹿は、コース幅も近年建設されたサーキットに比べると狭く、これも追い抜きの難易度を引き上げる要因となっている。加えて、今日のF1マシンはかつてよりも大柄になったため、抜きつ抜かれつの接近戦を演じるには鈴鹿はいささか狭すぎるだろう。

1988 Ayrton Senna
アイルトン・セナが鈴鹿で勝ったのは2回で、どちらもフロントロウからのスタートだった(写真は1988年に撮影されたもの)。

そんな鈴鹿での32回の日本GPのうち、フロントロウからスタートしたドライバーが優勝した回数は実に27回(ポールポジション16勝、2番グリッド11勝)。勝率にすると84.4%になる。2009年以降では2019年のボッタスがフロントロウ以外で勝利しているが、ボッタスも3番グリッド発進だった。
優勝者のスターティンググリッドの平均を計算すると2.34になる。鈴鹿で勝つためにはいかに予選の順位が重要かがうかがえるだろう。

2022 Japanese GP
2022年の日本GPは豪雨もあって赤旗中断に見舞われ、28周で終了となった。1~2コーナーではたびたび接近戦も演じられた。

その一方で、例外的に後方からスタートしながらも優勝したドライバーも存在する。2005年のキミ・ライコネンだ。
この年の予選は雨に見舞われ、ライコネンを含むランキング上位勢が軒並み後方に沈むまさかの展開となった。しかし、一転して好天に恵まれた翌日の決勝でライコネンが躍動。17番グリッド発進ながら終始優れたパフォーマンスを発揮し、最終ラップでトップに立って逆転勝利という、F1史に残るレースを披露した。

2023年シーズンのF1はレッドブルとマックス・フェルスタッペンが圧倒的な強さを誇っている。日本GPでも予選から独走状態になってしまうのか、それとも番狂わせが起きるのか。注目の一戦は9月22日~24日に開催される。

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