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日本におけるFIAフォーミュラ1世界選手権のレースが初めて開催されたのは1976年。同年から2年間は富士で行なわれたが、1987年から2006年までの20年にわたり鈴鹿サーキットが舞台となったことで「日本GPといえば鈴鹿」というイメージの方が多数派だろう。
現役で勝っているのは3人のみ
下に鈴鹿で開催された日本GPの歴代ウイナーを列挙した。
開催年 | 優勝者 | 所属チーム | スターティンググリッド |
1987 | ゲルハルト・ベルガー | フェラーリ | 1 |
1988 | アイルトン・セナ | マクラーレン・ホンダ | 1 |
1989 | アレッサンドロ・ナニーニ | ベネトン・フォード | 6 |
1990 | ネルソン・ピケ | ベネトン・フォード | 6 |
1991 | ゲルハルト・ベルガー | マクラーレン・ホンダ | 1 |
1992 | リカルド・パトレーゼ | ウィリアムズ・ルノー | 2 |
1993 | アイルトン・セナ | マクラーレン・フォード | 2 |
1994 | デイモン・ヒル | ウィリアムズ・ルノー | 2 |
1995 | ミハエル・シューマッハ | ベネトン・ルノー | 1 |
1996 | デイモン・ヒル | ウィリアムズ・ルノー | 2 |
1997 | ミハエル・シューマッハ | フェラーリ | 2 |
1998 | ミカ・ハッキネン | マクラーレン・メルセデス | 2 |
1999 | ミカ・ハッキネン | マクラーレン・メルセデス | 2 |
2000 | ミハエル・シューマッハ | フェラーリ | 1 |
2001 | ミハエル・シューマッハ | フェラーリ | 1 |
2002 | ミハエル・シューマッハ | フェラーリ | 1 |
2003 | ルーベンス・バリチェロ | フェラーリ | 1 |
2004 | ミハエル・シューマッハ | フェラーリ | 1 |
2005 | キミ・ライコネン | マクラーレン・メルセデス | 17 |
2006 | フェルナンド・アロンソ | ルノー | 5 |
2007-08 | 富士スピードウェイで開催 | ||
2009 | セバスチャン・ベッテル | レッドブル・ルノー | 1 |
2010 | セバスチャン・ベッテル | レッドブル・ルノー | 1 |
2011 | ジェンソン・バトン | マクラーレン・メルセデス | 2 |
2012 | セバスチャン・ベッテル | レッドブル・ルノー | 1 |
2013 | セバスチャン・ベッテル | レッドブル・ルノー | 2 |
2014 | ルイス・ハミルトン | メルセデス | 2 |
2015 | ルイス・ハミルトン | メルセデス | 2 |
2016 | ニコ・ロズベルグ | メルセデス | 1 |
2017 | ルイス・ハミルトン | メルセデス | 1 |
2018 | ルイス・ハミルトン | メルセデス | 1 |
2019 | バルテリ・ボッタス | メルセデス | 3 |
2020-21 | 新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止 | ||
2022 | マックス・フェルスタッペン | レッドブル・RBPT | 1 |
1987年の記念すべき鈴鹿での初グランプリを制したのは、当時フェラーリに所属していたゲルハルト・ベルガー。ベルガーはマクラーレン移籍後の1991年にも勝利しており、鈴鹿では通算2勝を挙げている。
2022年までに鈴鹿で最多勝を挙げているのはミハエル・シューマッハ。7度の世界王者はベネトン時代の1995年、フェラーリ時代の1997年、2000年、2001年、2002年、2004に勝っており、鈴鹿で通算6勝を誇る。
シューマッハに続くのは、同じく7度の戴冠を果たしているルイス・ハミルトン(2014年、2015年、2017年、2018年)と、2022年を最後にF1から引退したセバスチャン・ベッテル(2009年、2010年、2012年、2013年)で、通算4勝をマークしている。
ちなみに、ハミルトンは富士で行なわれた2007年の日本GPでも勝利しており、日本では5勝を記録している。
ハミルトン以外の現役ドライバーで鈴鹿で勝っているのは、アストンマーティンのフェルナンド・アロンソ(2006年/当時ルノー)とアルファロメオのバルテリ・ボッタス(2019年/当時メルセデス)のふたりだけだ。
なお、2年の空白期間を経て、2009年にF1が再び鈴鹿に戻ってから2022年までに合計12回、日本GPが開催されているが、その年のチャンピオン以外が勝利したのは、2009年、2011年、2019年の3度のみとなっている。
歴代優勝者はほとんどフロントロウスタート
鈴鹿サーキットの特性として、追い抜きが難しい点が挙げられる。
鈴鹿での主なパッシングポイントはターン1とシケイン(ターン16)への飛び込みの2箇所。その他ヘアピン(ターン11)やスプーン(ターン13~14)でもオーバーテイクは見られるが、先に挙げた2点よりは少ないと言える。
いずれにしても、ホームストレートをはじめ、これらのコーナーへと続くストレートは短く、DRSを使ってもブレーキングポイントまでに前走者に並びかけるのは難しい。
近年では“高速コーナーでも進入から脱出までアクセル全開であればストレート”という風潮もあるが、そこで実際にオーバーテイクが生まれるかどうかは別である。
また、伝統あるクラシックサーキットとも呼ばれる鈴鹿は、コース幅も近年建設されたサーキットに比べると狭く、これも追い抜きの難易度を引き上げる要因となっている。加えて、今日のF1マシンはかつてよりも大柄になったため、抜きつ抜かれつの接近戦を演じるには鈴鹿はいささか狭すぎるだろう。
そんな鈴鹿での32回の日本GPのうち、フロントロウからスタートしたドライバーが優勝した回数は実に27回(ポールポジション16勝、2番グリッド11勝)。勝率にすると84.4%になる。2009年以降では2019年のボッタスがフロントロウ以外で勝利しているが、ボッタスも3番グリッド発進だった。
優勝者のスターティンググリッドの平均を計算すると2.34になる。鈴鹿で勝つためにはいかに予選の順位が重要かがうかがえるだろう。
その一方で、例外的に後方からスタートしながらも優勝したドライバーも存在する。2005年のキミ・ライコネンだ。
この年の予選は雨に見舞われ、ライコネンを含むランキング上位勢が軒並み後方に沈むまさかの展開となった。しかし、一転して好天に恵まれた翌日の決勝でライコネンが躍動。17番グリッド発進ながら終始優れたパフォーマンスを発揮し、最終ラップでトップに立って逆転勝利という、F1史に残るレースを披露した。
2023年シーズンのF1はレッドブルとマックス・フェルスタッペンが圧倒的な強さを誇っている。日本GPでも予選から独走状態になってしまうのか、それとも番狂わせが起きるのか。注目の一戦は9月22日~24日に開催される。