クラス屈指の高級感を放つフレンチSUV「ルノー・キャプチャー」【最新コンパクトカー 車種別解説 RENAULT CAPTUR】

ヨーロッパの定番中の定番コンパクトSUV「ルノー・キャプチャー」。日本では21年2月に登場した2代目は、初代からの美点を残して進化している。内外装は洗練され、上級モデル同等のクオリティは特筆もの。さらに22年夏にラインナップされた非プラグインのフルハイブリッド車は、エンジン、EV、エンジン+モーターアシストを使い分け、高速燃費の良さと共にフランス車らしくひと捻りあるフルハイブリッド車を手にしている気分を盛り上げるだろう。
REPORT:佐野弘宗(本文)/小林秀雄(写真解説) PHOTO:宮門秀行 MODEL:菅原樹里亜

燃費抜群のフルハイブリッド 質感や乗り心地は上級車並み

欧州では乗用車販売トップ10のうち、半分をコンパクトSUVが占めるのも珍しくない。そんなコンパクトSUV王国の欧州でも、ルノー・キャプチャーは押しも押されもせぬ定番だ。ルノーは2013年の初代キャプチャーで同市場にほぼ最後発で参入。そのクーペライクなスタイリッシュデザインに加えて、ライバルを研究し尽くした質感や実用性もあって、発売直後からセグメントトップ販売の常連となり、その人気はモデル末期ぎりぎりまで続いた。

エクステリア

張り出し感のあるフェンダーと絞り込まれたボディサイドで抑揚を表現し、数あるコンパクトSUVの中でも随一のスポーティさを実現。全車共通で18 インチアルミホイールを標準装備。最小回転半径は5.4m。

それもあって、21年2月に国内発売された2代目も、デザインやパッケージレイアウトはまさに正常進化。スタイリングはより肉感的、内外装の仕立てはより精緻で、その仕上がりはクラスでも屈指の高級感だ。スライド付きリヤシートやスクエアで使いやすい荷室など、先代からの美点も健在。そして、アライアンス内の日産技術のおかげもあってか、先進運転支援システムは一気にクラストップの内容と言い切れる。欧州市場の売り上げもさすがに初代ほどの勢いはないが、SUVトップ5、乗用車全体でトップ20の地位は着実に維持しており、欧州では今もルーテシア(欧州名はクリオ)と並ぶルノー屈指の人気車なのである。

乗降性

上陸当初から用意された1.3ℓターボはクラス随一のパワフルさで、高剛性の最新CMF-Bプラットフォームとの組み合わせで、乗り心地はフランス車という出自から想像するようなソフトなものではないが、操縦安定性はお世辞抜きで高い。全車速追従式のアダプティブコントロールやレーンキープアシストが、日本の交通環境でもピタリと正確に作動するリアルな信頼性も、日産とのアライアンスの恩恵かもしれない。

インストルメントパネル

センターコンソールが宙に浮いているような特徴的なデザインを採用。ハイブリッド車は10.2 インチのフルデジタルメーターが搭載され、バッテリーのチャージ状況も視覚的に確認できる。中央の7インチタッチスクリーンは標準装備。

そんなキャプチャーで注目なのは22年夏に追加された「E-TECHFULL HYBRID」だ。欧州車としては貴重な(非プラグインの)フルハイブリッドシステムを搭載したモデルだが、これは日産と無関係で、完全なルノー独自開発だそうだ。

居住性

キャプチャーに搭載されるE-TECHはアルカナやルーテシアのそれと共通で、1.6ℓ自然吸気を中心に、4速ドッグミッションと2速変速機付きメインモーター、主に発電や回生、ドッグミッション変速時の〝回転合わせ〞を担うサブモーター、そして1.2kWhのリチウムイオン電池で構成される。フルハイブリッドらしく、エンジン走行、EV走行、エンジン+モーターアシスト走行、シリーズ走行……というすべてのパターンを自在に使い分けて走る。

うれしい装備

荷室にはフロアの高さを2段階で変えられるラゲッジフロアボードを全車に標準装備。上下で荷物を積み分けたり、ボードを下段にセットして深底フロアとして使えたり、用途に応じてアレンジできる。
月間販売台数   NO DATA
現行型発表    21年2月(「E-TECH FULL HYBRID」系追加22年8月)
WLTCモード燃費  22.8km/l ※「E-TECH FULL HYBRID」系

ラゲッジルーム

E-TECHEの実際の走行感覚は日本のハイブリッドよりエンジンの存在感が強いが、ドッグミッションという言葉から想像されるようなギクシャク感は皆無。143㎰というシステム出力からも想像できるように全体の力感は1.6ℓプラスアルファ……という感覚で、走りのキビキビ感を重視するなら既存1.3ℓターボがお薦めだが、「輸入SUV燃費ナンバー1」を謳うキャプチャーへE-TECHEは、特に高速燃費の良さが美点。各部の質感や乗り心地ではひとつ上級のCセグメントSUVに迫るキャプチャーが、高速道を普通に走っているだけで、20㎞/ℓ以上の実燃費をシレッとマークするのは素直にうれしい。

※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.150「2023-2024 コンパクトカーのすべて」の再構成です。

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