アウトランダーPHEVのバッテリーもリユース&リサイクル! 三菱自動車と日立製作所がリユースバッテリーを活用した可動式蓄電池の共同実証を開始

バッテリキューブから給電している様子
三菱自動車と日立製作所(以下、日立)は9月25日、電動車に搭載されているバッテリーのサーキュラーエコノミー実現を目指し、電動車の使用済みリチウムイオン電池(以下、リユースバッテリー)を活用した可動式蓄電池「バッテリキューブ」の共同実証を開始した。

「アウトランダーPHEV」のリユースバッテリーを災害時バックアップ電源に

電動車の普及に伴い、今後電動車バッテリーの高効率化、長寿命化が求められている。三菱自動車では、電動車のパイオニアとして培ってきた知見を生かし、電動車バッテリーの寿命を延ばすことに加え、リユースバッテリーの活用を進めてきた。
今年4月からは、同社の岡崎製作所(愛知県岡崎市)の所内に、プラグインハイブリッドEV「アウトランダーPHEV」のリユースバッテリーを活用した自律型街路灯を設置し、実証実験を行っている。

アウトランダーPHEV

一方、日立日立ハイテクとともに、バッテリキューブの事業化に向けた検討を進めている。今年6月にはセブン‐イレブン・ジャパンと連携し、バッテリキューブを「セブン‐イレブン三郷彦成2丁目店」に設置して実証実験を開始している。

三菱自動車と日立がめざす、電動車バッテリーのサーキュラーエコノミー(イメージ)

このたびの実証では、三菱自動車が販売するプラグインハイブリッドEV「アウトランダーPHEV」のリユースバッテリーをバッテリキューブに搭載し、その実用性を検証するというもの。
具体的には、広域災害等による停電を想定し、日立ビルシステムのV2X(※1)システムと、バッテリキューブをCHAdeMO V2H(※2)コネクターで接続し、日立標準型エレベーター「アーバンエース HF」を、バッテリキューブからの給電で駆動する。これまで実績のあるV2H機能搭載の電動車からの給電に加え、バッテリキューブからの給電を組み合わせることで、企業における災害発生時の継続的なバックアップ電源確保への貢献を目指す。

※1:V2X(Vehicle to X)とは、自動車とさまざまなモノとの接続や相互連携を行う技術の総称。エネルギー分野においては、電気自動車と、住宅やビル、電力網(グリッド)などをつなぎ、電力の相互供給を行うことを可能にするV2Xシステムの実用化が進められている。
※2:CHAdeMO協議会が標準規格として提案する急速充電方式「CHAdeMO(チャデモ)」のV2H(Vehicle to Home)用規格

バッテリキューブに搭載しているリユースバッテリー
●「バッテリキューブ」の特長
日立が2021年から開発を進めるバッテリキューブは、電動車のリユースバッテリーを活用した可動式蓄電池。主な特長は以下のとおり。
・CHAdeMO V2H規格を採用することにより、従来の定置型蓄電池と比較して設置工事が簡易となり、安全かつ柔軟に店舗などの電気設備と脱着できるため、設置やメンテナンスの作業効率を大幅に向上することができる。
・クラウド上の遠隔監視システムにより、バッテリキューブに搭載されたリユースバッテリーの稼働状態をリアルタイムに管理し、状態に応じた運用・メンテナンスを可能としている。
・様々な車種(乗用車・トラック等)、電動車メーカーのリユースバッテリー搭載を想定した設計を行っている。今後カーボンニュートラル実現に向けて電動車を導入する企業・自治体は、車両の動力としてバッテリーを使用したのちにバッテリキューブに搭載し、自社のエネルギー用途に使用することで、電動車バッテリーの資源循環モデルを構築できる。

三菱自動車と日立はそれぞれ、電動車バッテリーのリユースとバッテリキューブの事業化を2024年度に開始することを目指しており、双方連携して企業や自治体などへのバッテリキューブ導入を推進していく。また、再生可能エネルギーの有効活用に向けて、電動車やバッテリキューブと太陽光パネルなどを連動させるエネルギーマネジメントの共同実証も行う予定だ。さらに、電動車バッテリーを再利用するだけでなく、その後の再資源化に至るまでの構想を検討し、電動車バッテリーにおけるサーキュラーエコノミーの実現を目指す。

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