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F1のノウハウを注ぎ込んだ量産ミッド・スーパーカー
新型アストンマーティン・ヴァルハラは、ドライバーにフォーカスしたしたミッドエンジン・スーパーカーであり、開発チームは前例のないピンポイントのダイナミクスを実現するためにフルスロットルで取り組んでいる。F1の設計はシミュレーションツールに大きく依存しており、シミュレーターで過ごす一瞬一瞬が進歩をもたらすような手法がヴァルハラにも導入されている。実際、動的特性や車両セットアップの90%はシミュレーターで完了しており、最終的な開発段階は現実世界の公道やサーキットで行われる。
アストンマーティンF1チームのドライバーからの貴重なインプットを元にヴァルハラのダイナミクスは高次元にまで引き上げられている。アストンマーティン・パフォーマンス・テクノロジーズ(AMPT)のサポートにより、ドライビング・ポジションが最適化され、ドライバーにレーシングカーに通ったコントロールを提供することで、ドライビングの楽しさが最大限に引き出されている。AMR23レーシングカーに近い着座姿勢を実現するために搭載されたカーボンダイバー製バケットシートは、リクライニング角度を大きくすることができる。
強力なダウンフォースを発生させる本気の空力的アプローチ
ヴァルハラの空力的アプローチは、F1マシンと同様に、ボディ形状のあらゆる要素を用いてダウンフォースを発生させているが、F1レギュレーションの制約を受けないため、フロントとリヤにフルアクティブ・エアロダイナミクス・システムを採用し、時速240kmで600kgを超えるダウンフォースを発生させることができる。これにより、ヴァルハラは常にフロントとリヤのダウンフォースを調整し、状況や選択したドライビングモードに応じて、グリップ、バランス、一貫性を最大化したり、ドラッグを低減したりすることができる。
AMR23レーシングカーと同様、ヴァルハラもフロントとリヤにマルチエレメントウィングを装備しているが、フロントウィングはほとんど見えないようになっている。フロントウイングは、DRSポジションでフラットに寝てドラッグを減らすことも、角度をつけて前輪の真正面に大きなダウンフォースを発生させることもできる。マルチエレメント・リヤウイングはフラットに配置され、クルマの美しいクリーンなラインを生み出すと同時に、最小限のドラッグでベースラインレベルのダウンフォースを発生させる。
1,012馬力を発揮するツインターボ・フラットプレーンV8エンジン+Eモーター
ヴァルハラは、アストンマーティンが内燃機関からハイブリッド、そして完全電動化へと移行するマイルストーンとしての立ち位置も含んでいる。搭載される特注ツインターボ・フラットプレーンV8エンジンは、アストンマーティンに搭載された中で最も先進的で、レスポンスが良く、高性能なV8エンジンであり、3つのEモーターと組み合わされることで、1,012PSのハイブリッド出力を発揮し、全輪駆動システムを通して力強いグリップを発揮する。
フロント・アクスルにツイン電気モーターを搭載することで、ヴァルハラは4輪駆動を実現するだけでなく、エンジニアが各フロント・ホイールにかかるトルクを完全に独立制御することも可能になった。トルク・ベクタリングによって、ターンイン時のステアリング・レスポンスが向上し、コーナー通過時のグリップが強化され、コーナー出口でのトラクションが向上する。フロントのEモーターはリバース機能も備えており、リヤ・トランスミッションの軽量化を可能にしている。3つ目のEモーターはトランスミッションに統合され、後輪に追加のパワーを供給するとともに、ICEエンジンのスターター/ジェネレーターとしても機能する。