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移動オフィスや災害シェルターとしても魅力的|オーゼット・カノア
日本が世界に誇る文化のひとつ、軽自動車。昨今ではアメリカで軽トラックが人気であるように、そのミニマルな機能が改めて注目されている。軽キャンパーはドメスティックなカテゴリーだが、ミニマルという点では優れた文化なのではないだろうか。
軽キャンパーを選ぶ人にとって、その理由はいろいろあると思うが、やはり何と言ってもサイズというファクターが挙げられる。特に都市部では、駐車スペースの問題で、軽自動車しか選べないという人も少なくないようだ。
たしかに軽自動車はコンパクトサイズが身上だが、キャンピングカーで考えた時には居住スペースが限られてしまうというジレンマがある。ポップアップルーフなどでそれを解決しているモデルが多いが、今回紹介するモデルは別な手法を提案している。
オーゼットの「カノア」は、キャリィトラックをベースにキャンパーシェルを載せたいわゆるキャブコンだ。軽のキャブコンに2タイプあって、ひとつは全長3400mm以下、全幅1480mm以下、全高2000mm以下のいわゆる軽自動車枠に収まるサイズで造られているモデル。もうひとつは走行上のギリギリのところまでボディを拡大して、居住性を確保しているモデルだ。カノアは後者になる。
当然、普通車登録になるのだが、キャンピングカーの8ナンバー登録になるため、税制上のメリットは十分にある。さらにポップアップテント仕様ではないため、車内の静粛性やプライバシーの確保という点でもアドバンテージは高い。もちろん断熱性という点でも有利なので、冷暖房を併用することで、非常に快適な空間に保つことができるだろう。
装備はベッドに変わるダイネット、ギャレー、そしてバンクベッド、100Ahディープサイクルサブバッテリー、外部電源&充電システム、1500Wインバーターが標準となる。ちなみにオプションとして、冷蔵庫、電子レンジ、FFヒーター、12V用クーラー、リチウムイオンサブバッテリーが用意されている。これらをチョイスすれば、小さくても無敵の軽キャブコンにすることができる。
ちなみにベッドは2100×1200mmという大人2名分のサイズで、バンクベッドは1600×850mmの子供2名分サイズ。ニューファミリーなら、十分に旅に出かけられるわけだ。
キャンピングカーを十分に理解していない時点では、常に車内で生活しているイメージを抱くようだが、実際は雨でも降らない限りはほぼ車外でくつろぐことが多い。雨が降っていても、サイドオーニングを広げてその下で食事をしたりする。つまり、実質キャンピングカーの中で過ごす時間=就寝時だったりする。
それゆえにこうしたコンパクトなキャブコンであっても、車内で移動や着替えが楽であれば、十分に快適感を感じることができるわけだ。さらに断熱だったり、プライバシーだったりが確保できるのであれば、それは優秀なキャンパーということになる。
ちなみに同モデルを製作しているオーゼットは、“東京でキャンピングカーを持ちたい人に”をコンセプトに、ハイエースベースのバンコンを造ってきたビルダー。軽キャブコンは初めての製造になるが、限られた空間の中で快適性を確保するという点では十分な知見を持っている。それに、実車のクオリティもかなりいい。照明などのセンスもイマドキの感性だ。
価格は381万円〜で、いろいろオプションを選んでしまうと400万円台になってしまう。ただ、キャンピングカーとしてもちろんのこと、移動オフィスや災害シェルターという観点から見ても、居住性は非常に高い。バリューフォーマネーをどう捉えるかは買い手次第だが、個人的にはなかなか惹かれるモデルだなと思うのである。
オーゼット・カノア
■車両本体価格:381万円(FF)・395万3000円(4WD)/展示車価格:393万1000円(FF)・407万4000円(4WD)
■ベース車両:スズキ・キャリイトラック
■乗車定員/就寝定員:4人/大人2人+小人2人
■展示車のオプション装備:ビルトイン冷蔵庫 12万1000円/アルミホイール&タイヤセット(参考商品)