地上最強の永久磁石!本田財団「2023年第44回 本田賞」は、世界の省エネルギー・CO₂排出量削減に貢献するネオジム磁石を発明した、佐川眞人博士・ジョン・J・クロート博士が受賞!

Hondaの創立者である本田宗一郎氏と、その実弟である本田弁次郎氏によって設立された本田財団は、人間活動をとりまく環境全体との調和がはかられた技術を「エコテクノロジー」として、それに寄与する科学技術への貢献を讃える「本田賞」の受賞をを毎年1件ずつ行っている。そして、2023年の本田賞は、暮らしを支える地上最強の永久磁石「ネオジム磁石」を発明した、佐川眞人博士(大同特殊鋼 顧問・NDFEB社 代表取締役)と、ジョン・J・クロート博士(ジョン・クロートコンサルティング社 元代表取締役)に授与されることが決定した。

地上最強の永久磁石「ネオジム磁石」

永久磁石とは、周囲の環境に左右されずに一定の磁力を保つ磁石のことを言う。私たちの暮らしのさまざまな場面で、永久磁石は活躍しており、その際たる例がモーターだ。スマートフォンやパソコンはもちろん、家電製品、自動車など、さまざまな製品に数多くのモーターが使われ、その大きさもさまざま。これらのモーターの磁石材料として多く使われているのが、地上最強の磁力を誇る永久磁石「ネオジム磁石」である。

「ネオジム磁石」がカーボンニュートラル実現のカギとなる

強力な磁力をもつネオジム磁石を用いることで、従来の磁石よりも少ない使用量で済むため、モーターの小型化・軽量化が実現できる。例えば自動車には、ハイブリッド車の走行用モーターだけでなく、ウインドウを上下させる小型モーターなど、1台あたりに大小合わせて100個程度のモーターが使われている。モーターの小型化は資源効率の向上だけでなく、自動車の軽量化にも貢献し、製品の製造工程や使用時におけるCO2排出量削減にもつながる。自動車に限らず、多種多様な電動製品に用いられているネオジム磁石は、カーボンニュートラル社会の実現を支える重要な役割を担っている。

発明者の2人の研究者について

ネオジム磁石は、佐川眞人博士とジョン・J・クロート博士により発明された。研究を開始した当時、最強の磁石はサマリウム(Sm)・コバルト(Co)系磁石だった。両博士はそれぞれ別々に研究を進めるなかで、ともにコバルトより資源量が豊富な鉄(Fe)を用いた磁石材料の可能性を追求した。その結果、1982年、佐川博士は「焼結法」、クロート博士は「液体急冷法」という、それぞれ異なるネオジム磁石の製造方法をほぼ同時期に発表した。

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