日産の軽EV「サクラ」からの給電でマンション向け自動給水ユニットの稼働を実証

日産自動車と日立ビルシステムはこのほど、日立産機システムと共同で、BEVからの給電でマンション・ビル向けの自動給水ユニットを稼働させる実証実験を実施した。

8468名分の1日の水分摂取量、またはトイレ4234回分の水量に相当する2万1171ℓを給水

今回実証したシステムの概要(イメージ/今回の実証では自動給水ユニットにのみ給電)

この実証実験は、BEVからの給電で停電時のビル設備利用を可能にするV2X(※1)システムの普及に向けた日産と日立ビルシステムの協創第三弾の取り組み。軽EV「日産サクラ」のバッテリーをフル充電した状態から、外部給電が可能なバッテリー残量10%まで利用し、日立産機システム製の自動給水ユニット「ダイレクト・ウォータエース」を稼働させ、2万1171ℓの給水を実証した。これは8468名分の1日の水分摂取量(※2)、またはトイレ4234回分の水量(※3)に相当する。
※1:V2Xとは「Vehicle to X」のことで、自動車とさまざまなモノとの接続や相互連携を行う技術の総称。エネルギー分野においては、電気自動車と、住宅やビル、電力網(グリッド)などをつなぎ、電力の相互供給を行うことを可能にするV2Xシステムの実用化が進められている。
※2:人が飲食等から1日に摂取することが必要な水量を2.5ℓとして計算(出典:厚労省)
※3:一度に流す水の量を5ℓとして計算。(出典:一般社団法人日本レストルーム工業会公式サイト「トイレQ & A」

昨今、自然災害が頻発するなかで、その影響で停電が発生した際にも、社会生活を継続できるようにするための対策に注目が集まっている。日立ビルシステムは、EVをビルの非常時電源として活用できる可能性に注目し、停電時にEVと建物をつなぐV2X技術により、EVからエレベーターに給電を行い、継続利用を可能とするシステムを開発。今年7月に発売開始した。

今回の実証実験では、停電時にマンションで水道が使えなくなる不便を解消するために、マンション・ビル向け自動給水ユニットを製造する日立産機システムの協力のもと、日産の軽EV「サクラ」のバッテリーを使用して、自動給水ユニットを動作させる実証実験を行った。

●実証実験の内容
・実験目的:電気自動車の電力を利用した自動給水ユニットの実稼働データ計測
・実験環境:自動給水ユニットの稼働電力を電気自動車からの給電に切り替え、EVのバッテリーが放電限界を迎えるまで給水を実施(※)
・使用車両:「日産サクラ」(バッテリー容量20kWh)
・使用ポンプ:日立産機システム製の自動給水ユニット「ダイレクト・ウォータエース」
・測定項目:自動給水ユニットの連続運転時間および送水量、電気自動車のバッテリー残量
※定格出力7.5KWの自動給水ユニットを使用。20階建てのマンション(高さ75m)への送水と同等の水圧で実施。

●実験結果
・連続稼働時間:1時間31分(※)
・送水量:2万1171ℓ(8468名分の1日の水分摂取量またはトイレ4234回分の水量)
・バッテリー残量:100%→10%
※同条件で「日産リーフe+」(バッテリー容量60kWh)を用いてバッテリーの放電限界まで自動給水ユニットの連続稼働を行った場合の理論値は、連続稼働時間4時間33分となる。

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