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ホンダのフラッグシップミニバン「オデッセイ」が帰ってきた!
日本市場への復活がアナウンスされていたホンダ・オデッセイの再販売が2023年12月8日からはじまった。オデッセイ・ファンならばご存知のように2022年9月の段階でいったん日本向けラインナップから消えていた。ホンダのみならず日本におけるミニバンの元祖的モデルであり、多くのファンを持つオデッセイの消滅と復活には、どのようなストーリーがあるのだろうか。
初代モデルの誕生は1994年まで遡ることができるオデッセイ。現行は5代目となるが、そのフルモデルチェンジは2013年と10年前のことだった。通常のモデルライフで考えれば、2023年を前にフルモデルチェンジしていてもおかしくないが、オデッセイには複雑な事情があった。
最大の要因が、日本におけるオデッセイの生産を担っていた狭山工場を2021年に閉鎖したことだ。生産工場が不確定な状態で次モデルへのフルモデルチェンジを計画するのは難しいのは容易に想像できるだろう。狭山工場の閉鎖を決めた(公表したのは2017年)段階で、オデッセイの運命はある意味で中ぶらりんになってしまった。
それでも2020年11月にはマイナーチェンジによってフロントグリルを巨大化するなど手を休めることなく商品改良は続けていたが、結果的に2022年9月の販売終了を止めることはできなかった。残念なことだが、商品の魅力だけでは生産工場を整理するという経営判断に抗うのは難しかったのだろう。
ハイブリッドのFFだけを用意。グレードは3つとシンプル
そんなオデッセイが、日本市場に再登場する。しかも、従来モデルの再販ではなく、内外装をブラッシュアップ、先進安全機能などメカニズムをアップデートした新生オデッセイとして甦ることになった。
外観での進化ポイントは、フロントグリルの意匠変更。新設された最上級グレード「BLACK EDITION」にはブラックスモークのテールレンズや、マットベルリナブラックの18インチ・アルミホイールなどが与えられ、ひと目でリフレッシュが実感できるアピアランスとなっている。
そのほか、グレード構成はエントリーとして「ABSOLUTE 」を用意するほか、中間グレードとして「ABSOLUTE EX」を設定。このあたり、オデッセイ・ファンであればお馴染みのグレード名といえる。
また、パワートレインは、2.0Lエンジン+2モーターハイブリッド「e:HEV」だけとなっているのは、電動化時代のフラッグシップミニバンとしては妥当といえる。
新型オデッセイのグレード構成と消費税込メーカー希望小売価格は次の通りだ。
ABSOLUTE :480万400円
ABSOLUTE EX:500万600円
ABSOLUTE EX BLACK EDITION:516万4500円
ボディカラーは、プラチナホワイト・パール(4万4000円高)、プレミアムヴィーナスブラック・パール(4万4000円高)、メテオロイドグレー・メタリック(4万4000円高・アブソリュートEX専用)の3色に、国内向けホンダ車としては初採用となるフォーマルブラックを合わせた4色を設定する。
2列目シートは電動リクライニング&オットマンを装備
インテリアでもっとも進化が明確なのは2列目のキャプテンシートだ。ロングスライドに対応しているのは従来通りで、さらにリクライニングとオットマンを電動調整できるシートとなっている。
ABSOLUTE EX、ABSOLUTE EX BLACK EDITIONには本革シートやワイヤレス充電、ハンズフリーパワーゲートなども標準装備した。
ステアリングホイールは全グレードでスムースレザーの本革タイプを採用、高輝度シルバーの加飾を基本に、BLACK EDITIONはピアノブラックのガーニッシュとしている。
シフト操作系は、ホンダのプレミアムモデルではおなじみのスイッチタイプ「エレクトリックギアセレクター」を採用。回生ブレーキの強弱を調整できる減速セレクター(パドルシフト形状)も全車に標準装備している。
単なる再販売ではなくメイド・イン・チャイナの進化版
ところで、冒頭で2022年にオデッセイが日本向けラインナップから消えてしまった原因として、生産工場が閉鎖されたことを挙げたが、新型オデッセイの生産はどうなっているのかといえば、このカタチのオデッセイを従来から生産販売している中国にて作られているという。オデッセイ復活を検討した中では様々な案もあったというが、中国にて右ハンドルの日本仕様を作るというのが、もっとも合理的といえるようだ。
もし、あなたが「ホンダのフラッグシップミニバンが中国製なのか……」と思ったとしたら、いろいろと認識を改める必要があるだろう。コストダウンのために中国に生産移管していたのは昔の話。ホンダに限らず、一般論として大市場である中国での現地生産が盛んとなった結果、生産クオリティもトップレベルとなっている。
さらに、オデッセイを日本に輸入するにあたり、ホンダは三重県四日市に完成車検査などを行う施設を新設した。そこではジャパンクオリティでの検査が実施され、プレミアムなフラッグシップミニバンにふさわしいチェックが行われているというから、まったくもって不安に思う必要はない。
そのほか、ハードウェアでいえば先進安全機能「ホンダセンシング」のセンサーを、広角単眼カメラの最新世代版に進化させているのもポイント。従来モデルにおいても衝突被害軽減ブレーキやACC(追従クルーズコントロール)、車線維持支援システムなど機能は充実していたが、いずれの領域においても洗練した振る舞いが期待できるものとなった。
加えて、夜間の歩行者や右左折時の対向車、自転車などを検知能力も向上。標識認識機能も120km/hまで対応できるようグレードアップされた。オートハイビームや急アクセル抑制機能なども追加設定されている。
輸入車として生まれ変わった新生オデッセイは、機能面においても最新レベルのミニバンへと進化しているのである。
新型オデッセイ主要スペック
オデッセイ・ABSOLUTE 全長×全幅×全高:4860mm×1820mm×1695mm ホイールベース:2900mm 車両重量:1920kg 排気量:1993cc エンジン:直列4気筒DOHC 最高出力:145PS(107kW)/6200rpm 最大トルク:175Nm/3500rpm モーター:交流同期電動機 モーター最高出力:135kW モーター最大トルク:315Nm 駆動方式:FF トランスミッション:電気式CVT WLTCモード燃費:19.9km/L 最小回転半径:5.4m タイヤサイズ:215/60R17 乗車定員:7名 メーカー希望小売価格:480万400円