新型スズキ・スイフトが12月13日発売、172万円から。1.2L直列3気筒を搭載し5速MTの設定あり!7年ぶりのフルモデルシェンジ

スズキがグローバルで販売するBセグメントハッチバック「スイフト」が7年ぶりにフルモデルチェンジ。スズキ公式呼称では四代目、日本ではHT51S/81S型から数えて五代目となる新型のCVT車が2023年12月13日、5速MT車が2024年1月17日に発売される!

REPORT:遠藤正賢(ENDO Masakatsu) PHOTO:中野幸次(NAKANO Koji)/スズキ

新型スズキ・スイフトは小顔でスポーティに進化、ハイブリッド車は192万円から

スズキ・スイフト ハイブリッドMZ

2023年10月25日から11月5日まで開催(プレスデーなど含む)された「ジャパンモビリティショー」で、スペーシア共々「コンセプト」のサブネームが与えられたプロトタイプ……ですらない、モデルナンバープレートが装着された量販モデルが車内に乗り込める形で一般公開され、大きな注目を集めていた新型スイフトが、そのままの形で正式デビューした。

こちらもスペーシアと同様、2016年12月にデビューした先代スイフトの時点で、プラットフォームはBセグメント車用「ハーテクト」に一新され、持ち前の軽さに一層磨きをかける形で走りが進化しているため、新型でもこれをキャリーオーバー。二代目(スズキ公式呼称は初代)ZC/ZD#1S系より続く、広さや使い勝手よりもスポーティさが優先された内外装とパッケージングは、新型でも堅持されている。

スズキ・スイフト ハイブリッドMZ

その中でエクステリアデザインは、エスクードなどでも用いられている、フロントマスク全体に覆い被せるようなボンネット形状、左右両端に配置された前後LEDランプ、ブラックアウトされた各ピラーなどにより、ロー&ワイド感を強調。ボディサイズ自体は全長×全幅×全高=3860×1695×1500mm、ホイールベース2450mmと、全長が15mm延長された以外は先代と変わらないものの、やや小顔でシンプルかつモダン、そしてよりスポーティに進化した。

全長が15mm伸びた以外は先代のボディサイズを堅持

なおボディカラーはモノトーン9色、2トーン4種類の計13種類を設定し、このうちフロンティアブルーパールメタリックとクールイエローメタリックは新開発色。そのうちフロンティアブルーパールメタリックは3層コートの塗膜構成を採用することで、前身のスピーディーブルーメタリックよりも彩度が高く深みもあるブルーを実現している。対するクールイエローメタリックは、ソリッドライクで落ち着いた色味が特徴的だ。

新型スイフトのカラーラインアップ
フロンティアブルーパールメタリックの塗膜構成

インテリアはドライバーオリエンテッド方向に進化

一方でインテリアは変化が大きい。正円のモチーフがメーターやエアコンの吹出口および操作スイッチに多用された先代に対し、新型は角形のモチーフが増えるとともに、インパネとドアトリムが連続した形状に。

インパネとドアトリムが連続したデザインに一新された運転席まわり

またインパネ上部と下部、フロントドアトリム中央にオフホワイトの加飾を施すことで、従来のスポーティさとは一線を画す、明るく先進的なテイストを醸し出している。さらにインパネ上部とフロントドアトリム中央には、見る角度や光の加減によって立体感が変化する、3Dテクスチャーが施された。

見る角度や光の加減によって立体感が変化する3Dテクスチャー

機能面においても、インパネ中央が先代の5°から8°に、運転席側スイッチ類の傾きが先代の0°から3°へと、ドライバーに向けた傾斜が強められ、かつオーディオ部のリーチが50mm短縮されたことで操作性が向上。またナビ・オーディオ取付部が先代より140mm高いインパネ中央最上段に配置されたため視認性も改善された。

運転席側への傾斜が強められたエアコン操作部

シートに関してはフロントのヘッドレストが高さ・厚みとも先代より10mmアップ。表皮は最上級グレード「ハイブリッドMZ」と中間グレード「ハイブリッドMX」がメランジグレー&ブラック、廉価グレード「XG」がブラックのファブリック。立体的な三角形柄が特徴だが、インパネ加飾に合わせたオフホワイトなど明るい色の生地が欲しいと願うのは筆者だけだろうか?

ヘッドレストが拡大されたフロントシート
リヤシートは変わらず。「ハイブリッドMZ」のシート表皮はメランジグレー&ブラック

荷室は小幅の改良に留まるものの、開口部の地上高が先代より10mm低い705mm、開口部高が同じく25mm高い645mmに(開口部幅は先代より15mm狭い1000mm)。荷室内側の幅は15mm広い1155mm、高さは5mm広い875mm(奥行きは先代と同じ675mm)となり、若干ながら荷物の積み下ろしは容易になった。

ただし、6:4分割可倒式リヤシートを倒しても大きな段差と傾斜が残るため、本気で大きな荷物を積みたい人の選択肢となり得ないのは先代と変わらないが……。

荷室は先代と変わらず、買い物程度の荷物は充分に載せられるが大きな荷物の積載には不向き

新開発の1.2L直列3気筒エンジンを搭載、5速MTの設定もあり

走りに関してはパワートレインの一新が、新型スイフト全体を通しても最大のトピックだろう。マイルドハイブリッド車、ガソリン車ともに搭載される1.2L NA(自然吸気)エンジンは、従来のK12C型「デュアルジェット」直列4気筒から、新開発のZ12E型直列3気筒へ。その結果、最高出力は67kW(91ps)/6000rpmから60kW(82ps)/5700rpm、最大トルクは118Nm/4400rpmから108Nm/4500rpmへとダウンした。

新開発のZ12E型直列3気筒エンジン

だが、高速燃焼化や高圧縮比化(12.5→13.0)などの燃費改善策に加え、先代より1.9kg軽量化された新開発のCVT、最大トルクが50Nmから60Nmへとアップしたマイルドハイブリッド車用ISG(モーター機能付き発電機)も相まって、マイルドハイブリッド・CVT・FF車のWLTCモード燃費は21.0km/Lから24.5km/Lへと大幅に改善されている

先代より1.9kg軽量化された新開発のCVT
マイルドハイブリッドの作動イメージ

なお、「ハイブリッドMX」のFF車には5速MTも設定。スズキにおいてマイルドハイブリッドとの組み合わせは新型スイフトが初となるため、その走り味にも大いに期待したい。

3気筒エンジンの搭載でエンジンルーム内にはスペースの余裕が拡大

燃費改善には空力性能の進化も大きく貢献している。前後バンパーやCピラーガーニッシュはより滑らかに空気が流れるよう形状を突き詰めつつ、ボディ下面には新形状のフロントストレイク、エンジンアンダーカバー、メインフロアアンダーカバーを装着。また「XG」以外のグレードにサイドアンダースポイラー、ルーフエンドスポイラー、バックドアサイドスポイラーを装着して、空気抵抗を先代より4.6%低減した。

整流効果が高められたフロントバンパーとフロントストレイク
ルーフエンドスポイラーとバックドアサイドスポイラーを装着したリヤまわり

ボディに関しては、フロアパネルとフロア骨格などとの接合に減衰接着性を用いたほか、ダッシュパネルの板厚アップ、フロアカーペットの目付アップ、Aピラー内への遮音壁追加などによりエンジン透過音やロードノイズを抑えている。

新型スイフトのボディ骨格は超高張力鋼板の使用部位も拡大

サスペンションは、フロントスタビライザーのレートを高めてロールを抑えつつ、リヤサスペンションのストローク量をアップ。またバンプストップラバーを長く、たわみやすくなるよう見直すことで、前席の突き上げ感を減少させた。

細部が改良されたフロント・ストラット式サスペンション
撮影車両の「ハイブリッドMZ」は185/55R16 83Vのブリヂストン・エコピアEP150と切削加工&ブラック塗装入り16インチアルミホイールを装着

新型スペーシアと同じ最新世代のADASを搭載

ADAS(先進運転支援システム)「スズキセーフティサポート」に関しては、新型スペーシアと同じ最新世代の広角単眼カメラとミリ波レーダー、前後4つずつの超音波センサーを用いたものにアップデート。衝突被害軽減ブレーキは、単眼カメラとレーザーレーダーを用いた先代の「デュアルセンサーブレーキサポート」から「デュアルセンサーブレーキサポート2」に進化。単眼カメラとミリ波レーダーで車両、歩行者、自転車、二輪車を検知し交差点での検知にも対応した。

フロントガラス上端中央に広角単眼カメラ、フロントグリル上端中央裏にミリ波レーダーを装着

また、前後の超音波センサーで前方と後方の障害物を検知し衝突被害軽減ブレーキを作動させる「低速時ブレーキサポート(前進・後退)」を、5速MT車以外に標準装備している。

「スズキセーフティサポート」作動イメージ

そして、CVT車全車に、全車速追従機能付きアダプティブクルーズコントロールを標準装備。「ハイブリッドMZ」にはさらに、停止保持機能や車線維持支援機能(レーントレースアシスト)、車線変更時補助機能(レーンチェンジアシスト)、カーブ速度抑制機能が追加され、電動パーキングブレーキとオートブレーキホールド機能も搭載されるなど、疲労軽減に大きく寄与するものとなっている。

「ハイブリッドMZ」に標準装備の電動パーキングブレーキとオートブレーキホールド機能のスイッチはシフトレバーの手前に備わる

このように全体的には正常進化しつつも、パワートレインとADASが一新された新型スイフトの、グレード構成と価格は別表の通り。果たしてその走りの進化は……?

グレード構成・価格

【新型スズキ・スイフト グレード構成・価格】
XG(CVT車・FF/4WD):172万7000円/189万2000円
ハイブリッドMX(5速MT車・FF):192万2800円
ハイブリッドMX(CVT車・FF/4WD):192万2800円/208万7800円
ハイブリッドMZ(CVT車・FF/4WD):216万7000円/233万3200円

■スズキ・スイフトハイブリッドMZ(FF)
全長×全幅×全高:3850×1695×1500mm
ホイールベース:2450mm
車両重量:950kg
エンジン形式:直列3気筒DOHC
総排気量:1197cc
エンジン最高出力:60kW(82ps)/5700rpm
エンジン最大トルク:108Nm/4500rpm
モーター最高出力:2.3kW(3.1ps)/1100rpm
モーター最大トルク:60Nm/100rpm
トランスミッション:CVT
サスペンション形式 前/後:マクファーソンストラット/トーションビーム
ブレーキ 前/後:ベンチレーテッドディスク/ディスク
タイヤサイズ:185/55R16 83V
乗車定員:5名
WLTCモード燃費:24.5km/L
市街地モード燃費:20.8km/L
郊外モード燃費:24.8km/L
高速道路モード燃費:26.3km/L
車両価格:216万7000円

スズキ・スイフト ハイブリッドMZ

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著者プロフィール

遠藤正賢 近影

遠藤正賢

1977年生まれ。神奈川県横浜市出身。2001年早稲田大学商学部卒業後、自動車ディーラー営業、国産新車誌編…