大らかさと進化した走りも魅力「シボレー・カマロ」【最新スポーツカー 車種別解説 CHEVROLET CAMARO】

多くの人は「シボレー・カマロ」と言えば、大柄でマッチョなメージが先行するのは否めないところ。しかし全長4785㎜、全幅1900㎜と大抵のアッパーミドルクラスとあまり変わらないサイズになる。しかし、2.0ℓ4気筒直噴ターボエンジンは豪快な乗り味で、イメージ通りの大陸的な力強さ。スタイリングも押し出しの強い立体的なテールランプなど歴代のカマロを凝縮した魅力がある。残念ながら24年1月で生産終了が発表され、歴史を持つスポーツカーの新たな姿は見られなくなる可能性が高い。
REPORT:佐野弘宗(本文)/塚田勝弘(写真解説) PHOTO:平野 陽 

唯一のアメリカンクーペも存亡の危機到来か!?

カマロは日本で正規入手可能な唯一のFRアメリカンクーペ/コンバーチブルだが、これをデカくて大味なクルマと考えておられるとしたら、時代錯誤というほかない。4785㎜×1900㎜というカマロの全長×全幅は、例えばBMWのM3より小さいくらい。基本骨格となるアルファアーキテクチャーは最新キャデラックと共通で、エンジンも現代的な2.0ℓ4気筒直噴ターボが主力で、マッスルな6.2ℓV8OHVもコルベットと共通の最新設計だ。変速機も最新鋭の10速ATである。

エクステリア

低くて彫刻的な外観は、ロングノーズが目を惹く一方、キャビンはコンパクト。カマロ伝統のデュアルエレメントデザインを採用する立体的なテールランプは、ヘッドランプとともにLED化。「SS」は、クァッドステンレスエギゾーストが迫力ある見た目とサウンドをもたらす。
黒と白のエンジンカバーに「CAMARO」のロゴが入る6.2ℓ直噴V8OHVエンジンを積む「SS」。453㎰/617Nmという強心臓ぶりが自慢だ。「LT RS」と「コンバーチブル」は、275㎰/400Nmの2.0ℓ直列4気筒ターボを搭載する。

乗り心地はあえて一定の上下動を許容する大陸的な味わいが残り、アクセルを踏み込めば豪快に吠えるが、これらも好事家の心をくすぐる意図的な調律だ。実際の操縦性は正確そのものだし、V8はOHVながら高回転まで緻密かつ滑らかに回り切り、4気筒ターボは低速からトルクがモリモリ。これだけの走りとアメリカン伝統のド派手なルックスで、4気筒なら600〜700万円台、V8が800万円台。以前よりは値上がりしているが、ジャーマンスリーのクーペと比較すればまだまだ割安だ。

インテリア

ダッシュボードのボリューム感があり、フラットボトムステアリングや丸いエアコン吹き出し口がスポーティムードを演出。スマホ連携が可能な8インチセンターモニターやBOSE製スピーカーオーディオシステム、ワイヤレスチャージング機能、クラウドストリーミングナビを標準化するなど、装備も充実している。
「SS」の10速ATはパドルシフトが備わり、指先でのマニュアル操作が可能なほか、サーキット走行で出番のありそうな「カスタムローンチコントロール」も用意。
アクセルはオルガン式で、左ハンドルのみなのでペダル配置にも無理がない。

そんな現行カマロは2015年に本国デビューして、17年から日本国内発売がスタートしたのだが、24年1月をもって生産終了を発表。直接的な後継モデルの計画は公表されておらず、また伝統のスポーツカーが1台、姿を消す可能性が高い。最終モデルの発表も間もないと思われ、ご所望の向きは情報収集に励むべし。

Country       United States of America
Debut        2018年11月(商品改良:20年12月)
車両本体価格      668万円~848万円

※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.151「2023-2024 スポーツカーのすべて」の再構成です。

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