ハイブリッドにMTモデルもあり! 新型スズキ・スイフトを先代モデルと比べてみる! スタイルは?スペックは? 価格は?

2023年11月9日、スズキのコンパクトカー「スイフト」がモデルチェンジされた。すでに『ジャパンモビリティショー2023』の出展発表の時点で新型のコンセプトモデル展示を告知。同ショーではその実車をつぶさに見ることができた。しかし、それはあくまでコンセプトモデル。いよいよ正式発表となったスイフトの市販モデルは、従来型からどのように変わったのだろうか? スタイルやスペック、価格などを比較していこう。
PHOTO:中野幸次(NAKANO Koji)/平野 陽(HIRANO Akira)

新型スイフトは7年ぶりのフルモデルチェンジでどこが進化した?

先代スイフトがデビューしたのが2016年12月。軽量高剛性の新型プラットフォーム「HEARTECT(ハーテクト)」を採用して全モデルが車両重量1.0t未満という軽量化を実現。キビキビ走る小気味良さとリーズナブルな価格設定で根強い人気を集めていたが、ついに7年ぶりのフルモデルチェンジ。

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2023年10月25日(水)に開幕した『ジャパンモビリティショー2023』(旧:東京モーターショー)。そのスズキブースでは、事前に発表のあった陸海空にまたがるコンセプトモデルがズラリと展示された。注目はその完成度の高さから、発売間近と思わせるスイフトとスペーシア/スペーシアカスタムだ。

『ジャパンモビリティショー2023』で公開されたコンセプトモデルの完成度で、すでに市販モデルの発売間近を感じさせていたが、ついに発売となった新型スイフトを早速先代モデルと比較していこう。

新型スズキ・スイフトが12月13日発売、172万円から。1.2L直列3気筒を搭載し5速MTの設定あり!7年ぶりのフルモデルシェンジ

スズキがグローバルで販売するBセグメントハッチバック「スイフト」が7年ぶりにフルモデルチェンジ。スズキ公式呼称では四代目、日本ではHT51S/81S型から数えて五代目となる新型のCVT車が2023年12月13日、5速MT車が2024年1月17日に発売される! REPORT:遠藤正賢(ENDO Masakatsu) PHOTO:中野幸次(NAKANO Koji)/スズキ

エクステリア

7年ぶりのフルモデルチェンジということもありそのスタイルは大きく変化した。全体的なフォルムこそコンパクトカーの王道をゆくものだが、フロントマスクは先代よりも丸みを帯び、フォグランプを内蔵したバンパーの造形がシンプルになりソフトな印象になった。一方で、ヘッドライトは小さくなった反面より鋭角的な菱形になっている。

新型スイフト
先代スイフト

スズキのエンブレムがグリル内からボンネット先端に移り、レッドのキャラクターラインも消滅。その反面グリル内のメッシュの菱形が大きくなり、メッキ加飾の縁取りも幅広くなったことで押し出し感が強くなっているようにも感じられる。また、バンパー下部をダーク系とすることでSUVのようなテイストも演出してる。

左:新型スイフト/右:先代スイフト

サイドビューも大きく変わっている。特に先代ではCピラーと一体化していたドアハンドルは一般的なボディ側に移され、デザイン上のアクセントになっていたCピラーのカラー分割線もウェストラインに合わせてブラックアウト化された。これにより完全なフローティングルーフデザインを実現している。

加えて先代では前方にスラントしていたボンネットフードは水平に近くなり、ボンネットの分割線も左右に回り込んでいる。そのサイドの分割線からプレスラインがボディ後方まで続き、先代よりも直線基調に感じさせる。ボディ下部のプレスラインも先代に比べると控えめでスッキリした印象だ。

上:新型スイフト/下:先代スイフト

リヤビューは先代の角を落としたデザインから一転、バンパーやランプ類は鋭角的なデザインに改められた。リヤウインドウやリヤゲートも基本的には直線基調になっている。また、フロントと合わせてバンパー下部はダーク系になっており、反射板が中央1箇所から左右2箇所になっている。

左:新型スイフト/右:先代スイフト

ホイールデザインは変わったが、サイズはタイヤと合わせて変更はなく、16インチホイールに185/55R16のタイヤを装着する。撮影車両はどちらもブリヂストン・エコピアEP150が装着されていた。

インテリア

新型スイフト
先代スイフト

インテリアデザインも大きく生まれ変わり、スズキ初採用となる9インチディスプレイオーディオの画面は、先代のコンソール中央からダッシュボード上に移動。
エアコン操作系はスイッチ+ダイヤルからスイッチ+トグルに変更。エアコン吹き出し口やメータークラスターのデザインと合わせて丸型から直線貴重になっている。
パーキングブレーキが上級グレード(ハイブリッドMZ)でスイッチ式、それ以外ではレバーという設定は先代から踏襲された。

新型スイフト
先代スイフト

メータークラスターは先代のスポーティな丸型二眼タイプからオーソドックスな形状になったが、指針タイプのメーターと中央にマルチインフォメーションディスプレイ(カラー)を配置する点は変わっていない。

シート

ファブリック表皮のシルバーステッチシートは先代と同様だが、撮影車両では表皮のカラーがメランジグレー&ブラックで先代の撮影車両よりも明るい印象だが、ベースグレードの「XG」ではブラックとなる。また、インテリアカラーでも、シルバー系のガーニッシュ加飾が差し色になり、先代より明るく軽快な印象に感じられる。地味ながらリヤのセンターシート用のヘッドレストがやや拡大されているようだ。

リヤシート:新型スイフト
フロントシート:新型スイフト
リヤシート:先代スイフト
フロントシート:先代スイフト

ラゲッジルーム

6:4分割可倒式リヤシートで拡張できるラゲッジルームは機能的に大きな変更はないようだが、リヤコンビネーションランプの形状変更により、開口部最大幅が拡大されている。

新型スイフト
新型スイフト
先代スイフト
先代スイフト

ドライブトレーン

新型にはこれまでのK12型に変えて新開発のZ12E型エンジンが搭載された。このエンジンはK12C型の直列4気筒に対し直列3気筒な点も大きな違いとなっている。加えてCVTも新開発され、マイルドハイブリッドと組み合わせることで高効率で優れた燃費性能を実現。低速から滑らかに立ち上がるトルク特性で軽快感のある走りと好燃費を両立しているという。

新型スイフト
先代スイフト

さらに、「HYBRID MX」のFF車にはスズキ初のマイルドハイブリッド+5速MTを設定している。この5速MT車以外には全グレードに4WD車を用意するのも特徴だ。
一方でベースグレード「XG」にはノンハイブリッド仕様も用意され、価格的なアドバンテージも担保される。

型式Z12EK12C
エンジン水冷直列3気筒DOHC12バルブVVT水冷直列4気筒DOHC16バルブVVT
ボア×ストローク74.0×92.8mm73.0×74.2mm
排気量1197cc1242cc
圧縮比13.012.5
最大出力 82ps/5700rpm91ps/6000rpm
最大トルク11.0kgm/4500rpm12.0kgm/4400rpm
燃料37L(レギュラー)37L(レギュラー)
モーターWA06D
直流同期電動機
WA05D
直流同期電動機
最大出力3.1ps/1100rpm3.1ps/1000rpm
最大トルク6.1kgm/100rpm5.1kgm/100rpm
トランスミッションCVT/5速MTCVT/5速MT
ノンハイブリッド仕様もあり

表記の上では同じ「1.2L」となるが、新型は1200cc未満、先代は1200ccを上回る排気量設定。その分、数値上の出力とトルクは下がっている。しかし、Z12Eがかなりロングストロークなボア×ストローク設定となっていることからトルクは数字以上に期待できるのではないだろうか。

また、燃費性能でも先代では上級グレード「HYBRID RS(FF)」で21.0km/L(※)だったのが、新型では「HYBRID MZ(FF)」で24.5km/L(※)に向上している。ノンハイブリッドグレードの「XG」で比較しても先代の20.0km/Lから23.4km/Lに向上しており、新型エンジンの燃費性能を窺わせる。あとは実燃費でどうなるかが気になるところだ。
※WLTCモード

主要諸元

基本的なディメンションは先代からほとんど変更されていない。全長が5mm〜15mm程度伸びた反面、室内長は5mm短くなっているが、これはほとんど誤差のレベルと言ってもいいだろう。
最大の違いは重量だ。高張力鋼板の使用範囲拡大と構造用接着剤を採用しているものの、剛性アップや静粛性アップ、各種先進安全装備の追加で重量増は避け得ない結果になっている。FF車は相変わらず1.0tを切るものの、4WD車はハイブリッド車(「HYBRID MZ」「HYBRID MX」)は1.0tをオーバーしてしまったのは残念だ。

新型スペーシア先代スペーシア
全長3860mm3845mm/3855mm(RS系)
全幅1695mm1695mm
全高FF:1500mm
4WD:1525mm
FF:1500mm
4WD:1525mm
ホイールベース2450mm2450mm
室内長1905mm1910mm
室内高1425mm1425mm
1225mm1225mm
最低地上高FF:120mm
4WD:145mm
FF:120mm
4WD:145mm
車両重量FF:910kg-950kg
4WD:990kg-1020kg
FF:840kg-910kg
4WD:870kg-970kg
太字は先代から変更のあった諸元

ホイールとタイヤはハイブリッドモデルでは16インチが標準となり、15インチはノンハイブリッドモデル(「XG」)のみとなったのは、ハイブリッドでも15インチが選べた先代とは異なる点。タイヤは前述の185/55R16と、15インチホイールには175/65R15サイズのタイヤが装着される。

ブレーキは「HYBRID MZ」がフロントがベンチレーテッドディスク、リヤにディスク。「HYBRID MZ」「XG」がリヤはドラムという設定。先代の「RS系」がフロントがベンチレーテッドディスク、リヤにディスク。それ以外がリヤにドラムという上級グレードとベースグレードの違いは概ね踏襲されている。
サスペンション形式は全車がフロントがマクファーソンストラット、リヤがトーションビームという組み合わせも先代と変更はない。

グレード設定・価格

グレード展開は先代から大きく変わった。上級グレードのマイルドハイブリッド「HYBRID RS」とノンハイブリッド「RS」が無くなり、上級グレードはマイルドハイブリッドの「HYBRID MZ」になった。
また、マイルドハイブリッドの中間グレードは先代の「HYBRID MG」から「HYBRID MX」に変更された。一方でノンハイブリッドのベースグレードは「XG」で共通だ。

グレード名パワートレーン駆動方式トランスミッション税込価格
XGエンジンFFCVT172万7000円
XGエンジン4WDCVT189万2000円
HYBRID MXエンジン+モーターFF5速MT192万2800円
HYBRID MXエンジン+モーターFFCVT192万2800円
HYBRID MXエンジン+モーター4WDCVT208万7800円
HYBRID MZエンジン+モーターFFCVT216万7000円
HYBRID MZエンジン+モーター4WDCVT233万2000円
新型スイフト

全グレードに4WDが設定されるが、5速MTを選べるのは「HYBRID MX」のFF車のみというのは前述のとおり。先代では「RS」と「XG」というノンハイブリッド車で5速MTが選べたが、新型では「XG」に5速MTの設定はなくなっている。

グレード名パワートレーン駆動方式トランスミッション税込価格
XGエンジンFF5速MT154万6600円
XGエンジンFFCVT155万1000円
XGエンジン4WDCVT170万8300円
HYBRID MGエンジン+モーターFFCVT164万4500円
HYBRID MGエンジン+モーター4WDCVT180万1800円
RSエンジンFF5速MT179万3000円
RSエンジンFFCVT179万7400円
RSエンジン4WDCVT195万4700円
HYBRID RSエンジン+モーターFFCVT189万900円
HYBRID RSエンジン+モーター4WDCVT204万8200円
先代スイフト

最上級グレードである先代「HYBRID RS」と新型「HYBRID MZ」は単純に比較しづらいが、立ち位置が近いであろう中間グレードの先代「HYBRID MG」と新型「HYBRID MX」を比較すると約30万円弱のアップ、ベースグレードの「XG」を比較しても約20万円アップとなる。
新型のエンジンやトランスミッション、進化した先進安全装備(しかも装着義務)を考えると、昨今の原材料価格や物流コストの上昇をおいても妥当なセンと考えられるのではないだろうか。

基本性能が優れた5ドアハッチ「スズキ・スイフト」【最新コンパクトカー 車種別解説 SUZUKI SWIFT】

「スズキ スイフト」と言えば、モータースポーツなど硬派なイメージのモデルに注目が集まるが、ベースモデルのポテンシャルもハイレベル。スタイリッシュなエクステリアにシンプルなインテリアは、ヨーロッパのコンパクトカーの雰囲気を漂わせながら、走りもきっちり。スポーツモデル以外にも走りにこだわったモデルや街中向きのマイルドハイブリッドモデルなど多彩なラインナップが用意されている。 REPORT:竹岡 圭(本文)/山本晋也(写真解説) PHOTO:平野 陽 MODEL:大須賀あみ

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