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乗用車とはサイズもパワーも桁違い! これはある意味スーパーカー
私が選んだ今年の1台は、UDトラックスクオンGW6×4だ。
最新トラクターを選んだ理由は、仕事でも乗用車しか乗ることがなかった私が、最新トラクター「UDトラックスクオンGW」に試乗し、多くの驚きを体験したからだ。
まず圧倒されたのは、そのサイズだ。なんと本体となるトラクターヘッドだけで、全長が約7mもある。因みに、国産の大型バン「トヨタ・ハイエース」のスーパーロングの全長が5380mm(5.38m)、ジープのピックアップトラック「グラディエーター」でも全長は5600mm(5.6m)に過ぎない。まさに大人と子供くらいの違いがある。
搭載エンジンも、スーパーカーの大排気量エンジンを軽く超える13L直列6気筒SOHCディーゼルターボ。エンジン単体でも大型バイク並みのサイズがある。その性能は、最高出力こそ高性能車並みの530psだが、最大トルクについては、桁外れの2601Nm(265kgm)にも及ぶ。なんと6.5L V12エンジンのランボルギーニ・レヴエルトの最大トルク725Nm(73.92kgm)の約3.6倍というモンスターぶりなのだ。
運転席からの見晴らしはまさに絶景!
ある意味スーパーカーといえるクオンGWは、乗降さえ、ひと仕事。乗用車のように颯爽と乗り込むことは難しい。何しろキャビンの床面は、地上から1.5mほどの高さがある。当然、シートのヒップポイントはさらに高い。ステップと手すりを使い、スマートに乗り込むことさえ、コツが必要なのだ。
そんなキャビンからの眺めは、まさに絶景の一言。乗用車とは別世界で、展望台にでも登った気分になる。視線の高さはもちろんだが、ガラスエリアの広さも要因だろう。一方で、後方の視界はミラーに頼るしかないというギャップも凄い。
コクピットは、ドライバーオリエンテッドな作り。謎のボタンに溢れ、どんな機能が隠されているかもワクワクさせる(いや単に私が知らないだけなんだけど……)。独特なのが、ステアリング。超大型サイズな上、ドライバーに対して直角に近い感覚だ。だから、ステアリング操作は”切る”というよりも”回す”と表現したくなるほど。
運転してみてわかるプロドライバーの凄さ
しかし、本当に驚かされたのは、その運転感覚だった。
一言でいえば、操作はラクチン。ATなので変速を気にすることもなく、ステアリングも軽快。そして、抜群の視界の良さだ。しかもトレーラーをけん引した状態で、その荷台には、20tの荷物が載っている状態である。それだけ各部の動きは滑らかなのだ。
一方で、運転が楽とは言えない。相反することを言っているように聞こえるかもしれないが、私が運転したのは、障害物が一切ないテストコース。それだけで心理的負担は圧倒的に少なく、公道ならば、周囲や道路状況への気配りだけで疲れ切ってしまうことだろう。そして、交差点の右左折や駐車時には技術が求められる。
今回は、方向転換程度であったが、後退時に10数m先にあるトレーラーの後ろの動きを予測しながら、コントロールするのは困難だった。最新トラクターの凄さと同時に、世の中のプロドライバーたちの努力と凄さを知る良い経験になった。
今、物流業界は「2024年問題」といわれる危機に直面している。皆さんにも、互いに気遣う気持ちを大切にし、安全な交通環境を維持していくことで、日本の物流を支えるトラックドライバーたちを応援して欲しいと思う。