【写真とともに振り返る】スポーツカーレースに黄金期再来。2023年のWEC/ル・マンは“ハイパーカー新時代元年”に

2023年シーズンのFIA世界耐久選手権(WEC)は、記念すべきシーズンとなった。最高峰カテゴリーのハイパーカークラスに、ル・マン・ハイパーカー(LMH)車両に加え、北米生まれの新規格ル・マン・デイトナh(LMDh)車両もエントリー可能となった。これでハイパーカークラスの参戦メーカー数および台数が増加し、新たな時代が幕を開けた。

第1戦 セブリング1000マイル

2023 WEC

新時代を迎えたFIA世界耐久選手権(WEC)は3月15~17日、アメリカ・フロリダ州のセブリング・インターナショナル・レースウェイでの2023年シーズン第1戦セブリング1000マイルで幕を開けた。
LMDh車両のエントリーも可能となり、キャデラックやポルシェもハイパーカー戦線に加わった今年もトヨタ勢の競争力は健在だった。予選では新規参戦組の50号車フェラーリ499P(アントニオ・フオコ/ミゲル・モリーナ/ニクラス・ニールセン)にトップを譲ったものの、決勝では7号車トヨタGR010 HYBRID(マイク・コンウェイ/小林可夢偉/ ホセ・マリア・ロペス)が優勝、2位に僚友の8号車(セバスチャン・ブエミ/ブレンドン・ハートレー/平川亮)が入り、トヨタが最高のかたちでシーズンをスタートした。

第2戦 ポルティマオ6時間

2023 WEC

4月14~16日に行われた第2戦の舞台はポルトガルのアルガルヴェ・サーキット。ここでもトヨタは強さを見せた。7号車がセンサーの交換により戦線離脱を余儀なくされたものの、8号車が予選でポールポジションを獲得すると、勢いそのまま優勝を飾った。また、3位には6号車ポルシェ963(ケビン・エストレ/アンドレ・ロッテラー/ ローレンス・バンスール)が入り、LMDh勢初表彰台を手にした。

第3戦 スパ6時間

2023 WEC

第3戦スパ6時間は4月27~29日、ベルギーのスパ・フランコルシャンで開催。予選では7号車トヨタが0.024秒の僅差で50号車フェラーリを抑えトップタイムをマーク。7号車は決勝でもアクシデントが多発したレースで快走を見せて優勝すると、予選ノータイムで最後尾からスタートした8号車も2位でフィニッシュし、ワン・ツー・フィニッシュを飾った。

第4戦 ル・マン24時間

2023 WEC

6月7~11日に開催された第4戦は世界3大レースにも数えられるル・マン24時間。100周年記念大会となった2023年シーズンのル・マンで輝いたのは、50年ぶりにル・マンのトップカテゴリーに戻ってきたフェラーリ。決勝のグリッドを決めるハイパーポールでトヨタの2台を抑えてフロントロウを独占すると、豪雨やアクシデントが頻発した決勝でもトヨタと激闘を繰り広げ、最終的には51号車フェラーリ499P(アレッサンドロ・ピエール・グイディ/ジェームス・カラド/アントニオ・ジョビナッツィ)が総合優勝を果たした。

また、特別参戦枠であるガレージ56で、アメリカの人気カテゴリーであるNASCARのカップカーがエントリー。空力デバイスが追加されるなどモディファイを受けたシボレー・カマロZL1も耐久クラシックに華を添えた。

2023 WEC

第5戦 モンツァ6時間

2023 WEC

第5戦モンツァ6時間は7月7~9日、イタリアの伝統あるサーキットであるモンツァで行われた。前戦でル・マンにおける連勝が5でストップしたトヨタだったが、7号車がポール・トゥ・ウィン。ホームレースであるフェラーリ勢の50号車との争いを16.5秒の僅差で制した。

第6戦 富士6時間

2023 WEC

日本モータースポーツ界では秋の恒例イベントである富士6時間は、2023年のWEC第6戦として静岡県の富士スピードウェイで9月8~10日に開催された。イベントは台風の接近により荒天となるシーンもあったが、WECのセッションはほぼ問題なく進行した。ホーム戦となったトヨタは予選で7号車がポール、8号車が2番手とフロントロウを独占。決勝ではスタート直後にライバルの先行を許したものの、レースが進むに連れて挽回。最終的には1位7号車、2位8号車とワン・ツー・フィニッシュを飾り、マニュファクチャラーズタイトルも確定させた。

第7戦 バーレーン8時間

2023 WEC

2023年シーズンのWECも第7戦バーレーン8時間で終幕。11月2~4日にバーレーンのバーレーン・インターナショナル・サーキットで行われたこのラウンドでもトヨタ勢が強さを見せた。予選で8号車がポール、7号車が2番グリッドを獲得すると、決勝でも8号車が一度もトップを譲らなかったほか、7号車も2位に続き、ワン・ツー・フィニッシュを果たした。また、8号車のステアリングを握ったブエミ、ハートレー、平川の3名がドライバーズチャンピオンに輝き、新時代を迎えたハイパーカークラスで2冠を達成した。

2023 WEC
2023年世界耐久選手権 ドライバーズランキング (ハイパーカークラスTop10)
Rank.No.DriverTeamPts.
18B.ハートレー/S.ブエミ/平川亮TOYOTA GAZOO RACING172
27J.マリア・ロペス/小林可夢偉/M.コンウェイTOYOTA GAZOO RACING145
350A.フォコ/M.モリーナ/N.ニールセンフェラーリAFコルセ120
451A.ピエール・グイディ/A.ジョビナッツィ/J.カラドフェラーリAFコルセ114
52E.バンバー/A.リン/R.ウェストブルックキャデラック・レーシング72
66K.エストレ/A.ロッテラー/L.ヴァントールポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ71
75D.キャメロン/F.マコヴィッキ/M.クリステンセンポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ61
893P.ディ・レスタ/M.ジェンセン/J.ベルニュプジョー・トタルエナジーズ51
938A.ダ・コスタ/W.スティーブンス/Y.イェハーツ・チームJOTA38
10708R.デュマ/O.プラグリッケンハウス・レーシング34
2023年世界耐久選手権 マニュファクチャラーズランキング (ハイパーカークラス)
Rank.ManufacturerPts.
1トヨタ217
2フェラーリ161
3ポルシェ99
4キャデラック79
5プジョー67
6グリッケンハウス36
7ヴァンウォール10

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