目次
純正アクセサリーのコンセプトを進化させたワンオフショーモデル
いまや自動車界のメインストリームはクロスオーバーSUVというトレンドなのは疑う余地もないが、東京オートサロン2024のホンダブースの主役はシビックだった。スーパー耐久のチャンピオンマシン、2024年のスーパーGT GT500開発マシン、ワークスチューナーである無限の手がけた仕様など様々なシビックタイプRが展示され、開発中の6速MT専用グレード「シビックRS」も注目を集めていた。
そんな背の低いクルマが並ぶホンダのブースで異彩を放っていたのが、新型SUV「WR-V」のカスタマイズコンセプトだ。純正アクセサリーを開発するホンダアクセスにより彩られた「WR-V FIELD EXPLORER CONCEPT」は、アウトドアテイストを強めたカスタムの提案だ。
堂々とした「HONDA」のロゴに、アシストランプがインストールされた特徴的なフロントグリルは、このコンセプトカーのために製作されたというワンオフ品。スクエアなWR-Vのルックスイメージをさらにタフに見せる効果があることに異論はないだろう。
それにしても、この顔つきはクロスオーバーSUVというよりも、1990年代にブームとなった『クロカン四駆』と呼びたくなる。
もともとWR-Vのスタイリングは、ヴェゼルやZR-VといったホンダのSUVがクーペ的なシルエットなのに対して、スクエアを主張するものだが、こうしたカスタマイズによって、そこに古典的なクロカン四駆テイストが入れ込まれていることに気づかされた。
ハードウェアの素性としては1.5LガソリンエンジンのFWDということでアーバンSUVといえるWR-Vは、スタイリングとしてはオーソドックスなSUVといえるわけだ。
スペアタイヤを背負っていても不思議でないほどの「クロカン」テイスト
後方に回ると、ブラックアウトされたガーニッシュ類などにアーバンSUV的な部分も感じるコンセプトカーだが、むしろフロントグリルとテイストを合わせるのであれば、背面タイヤ仕様にしても自然に受け入れられそうな気もするほど。
それほどWR-Vのスタイリングやシルエットはオフロードテイストを含有しているといえる。発売前のティザー期間となるWR-Vだが、聞くところによると新しいユーザー層にリーチしているという。
たしかに日本のSUV市場において、昔ながらのクロカンテイストでデザインされているモデルは意外に少ない。
言うまでもなく、トヨタのランドクルーザー・シリーズはガチガチのクロカン四駆として、その世界に君臨している。しかし、ランドクルーザーは納期が年単位といわれ、再再販されたランドクルーザー70も購入するためには抽選に当たる必要があるといわれている。
そもそも、ランドクルーザーほどガチのクロカン四駆はコアなファン向けといえる。
もっとライトに”クロカンテイスト”を味わえるスタイリングのモデルとしてはトヨタ・ライズ/ダイハツ・ロッキーの姉妹車も挙げられるが、ダイハツ工業の認証業務における不正行為により販売停止中なのはご存知の通り。
こうした状況を考えると、単にクラシカルというわけではなく、温故知新的にオフロードテイストを表現するWR-Vに「新しさ」を覚えるユーザーが出てくるのは自然な話といえるのかもしれない。