日本での「フォルクスワーゲン」SUVのフラッグシップモデル「ティグアン」。SUV兄弟モデルの中では最も大きなボディとなるが、国産DセグメントSUVと変わらないサイズで日本の生活環境にマッチしている。居住性は高く後部席の余裕は特筆もので、荷室も床面積が広く積載容量とリヤシートのスライドなどアレンジの柔軟さも大きなポイントだ。デビューから7年以上がたつが、21年に突出した瞬発力を持つ「R」モデルの登場は、安定安心の快適さだけではない硬派な性能をアピールしている。
REPORT:河村康彦(本文)/工藤貴宏(写真解説) PHOTO:神村 聖
駆動で違う2パワートレイン 走行性能が別格の「R」も
TクロスにTロック、そしてティグアンと〝T〞の文字で始まる車名でラインナップが構成されるのが、フォルクスワーゲン発のSUV。本国ではその頂点にかつて日本にも導入されたトゥアレグがポジショニングされ、最近ではピュアEVであるID.4もラインナップに加えられたが、日本ではここに紹介のティグアンがフラッグシップSUVとなる。
エクステリア
フラッグシップとは言え、そこはやはり〝庶民派〞なのがこのブランド。プレミアムブランドの作品には全長が5mを超え、全幅も2mをオーバーするものも見当たる中で、ティグアンの全長は4.5m級で全幅も1.9mを確実に下回る。最小回転半径も5.4mに収まるので走行中はもとより、駐車時でも何とかなる範囲である。
インストルメントパネル
日本では、現行2代目モデルが1.4ℓターボの直噴ガソリンエンジン+6速DCTを搭載するFF仕様として2017年初頭に発売された後、ディーゼル車の導入や廃止、装備の充実や4WD仕様の追加など幾多の変遷を受けながら、現在に至っている状況。
居住性
そうした中にあって文字通り最もホットなトピックと言えるのが、21年に行なわれた「R」の追加設定。最高320㎰を発する直噴ガソリンターボエンジンを4WDシャシーと組み合わせ、0→100㎞/hを僅かに4.9秒で走るシリーズ中でも別格のスピードを披露。
うれしい装備
家庭用電化製品が使えるAC100V電源はハイブリッド車では珍しくないが、非ハイブリッド車なのに組み込んでいるのは注目すべき。全車採用。
リヤシートスライドの採用はこのクラスでは珍しい。スライド量は180㎜。後席を畳まずに荷室を拡大できるのがメリットだ。
月間販売台数 498台 (23年3月~8月平均値)
現行型発表 17年1月( 新グレード追加 22年9月)
WLTCモード燃費 14.3 ㎞/ℓ ※FF車
ラゲッジルーム
通常時
後列格納時
床面積が広く、後席展開時で615ℓもの容量を誇るのは立派。しかしそれだけでなく、中央だけでも倒せる3分割式の背もたれや上下2段階に高さを切り替えられる床など調整範囲の多さによるアレンジの広さにも注目したい。
トルクベクタリング機構も装備をするなど、その硬派な内容には驚かされるばかりでもある。
※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.153「2024 国産&輸入SUVのすべて」の再構成です。
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