「フォルクスワーゲン ポロ」をベースにSUV化された「T-Cross」。2020年から3年連続輸入SUVの販売台数1位、23年は兄弟車「T-Roc」に首位を譲ったものの、僅差での2位となりその魅力は健在だ。このサイズにはあまりない後席スライド機構を備え、柔軟な荷室とシートアレンジは日常使いの身近なクルマとして満足度の高い理由のひとつだろう。どのグレードでも高い剛性感は上級車種並みで、市街地、山道関わらずSUVながら低重心の安定感は誰もが満足できるクルマと言える。
REPORT:青山尚暉(本文)/山本晋也(写真解説) PHOTO:神村 聖 MODEL:大須賀あみ
上級車種同等の剛性感が秀逸 動力性能や乗り心地も好印象
2020年から22年にかけて3年連続で輸入SUV販売台数No.1の座についたのがVWポロをベースにSUV化されたT-Cross。コンパクトなボディサイズながら現在のVWラインナップの中でもスタイリッシュ度が際立つ1台だ。
エクステリア
グレードは「アクティブ」、「スタイル」、「R―ライン」が揃い、エンジンは3気筒1.0ℓターボ、116㎰、200Nmの1種。ミッションはVW自慢の7速DSG(セミAT)。駆動方式はFFのみ。グレード差はタイヤサイズと装備類の違いだ。
インストルメントパネル
インテリアは特に豪華ではないが、特筆すべきはパッケージ。後席は140㎜のスライド機構が付き、後端位置にセットするとゴルフⅦよりもずっと広いニースペースが出現。それでいて荷室も幅、奥行き、天井ともに十分だ。気になるのはポロ同様に電子パーキングブレーキが未採用(レバー式パーキングブレーキのまま)であることだろうか。
居住性
全グレードに共通する走りっぷりは、まずVWの上級車種同様の剛性感、しっかり感が印象的だ。エンジントルクはVWの4気筒版に比べ細く感じられるものの、合流加速や登坂路などでは全車標準のパドルシフトのシフトダウン操作で解消。
うれしい装備
エアコンパネルは指先でなぞるようにして操作するタイプだが、タッチ部分を凹ませることにより、ブラインド操作がしやすくなっている。
後席の使いやすい位置にUSB-C電源が2 個用意してあるのもうれしい。タブレットなどのバッテリー切れを気にせず楽しく過ごすことができる。
月間販売台数 579台
現行型発表 19年11月(一部仕様変更 21年9月)
WLTCモード燃費 16.9 ㎞/ℓ
ラゲッジルーム
通常時
後列格納時
後席使用時で455ℓを誇り、ボディサイズから想像する以上にラゲッジスペースは広い。さらに6対4分割可倒式の後席を格納すると段差のない1281ℓのスペースへ拡大できる。コンパクトSUVとしてはかなり広い部類といえる。
乗り心地はやや硬めだが、平坦路での十二分な動力性能、市街地での走りやすさ、扱いやすさはもちろん、高速走行でのフラットな乗り心地とクラスを超えた安心感、山道では悪路に対応する最低地上高180㎜を感じさせない低重心感覚、安定感の高さが好印象。誰にでも薦められる。
※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.153「2024 国産&輸入SUVのすべて」の再構成です。
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