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展示があったと知って「見たかったなぁ」と大いに落胆したのは、国内未導入のジムニー5ドア(アクセルオートコーポレーションが展示)である。いつものことだが、ほかにも見逃しはたくさんあった模様──。運良く目に入ったクルマのなかで気を引いたモデルを3台ピックアップしてみた。
レクサスLBX MORIZO RR CONCEPT
TOYOTA GAZOO Racingのステージに展示された車両は、「クルマ好きの皆さんともっと熱くなりたい、未来を一緒に作っていきたい」とするモリゾウこと豊田章男トヨタ自動車会長の想いから、「MORIZO Garage」をメインテーマとし、モリゾウの愛車が展示された。
6台展示されたうちの1台がレクサスLBX MORIZO RR CONCEPTである。現地でこのクルマを見たときは、「太いタイヤ履いているな」(235/45R19)、「ブレーキキャリパーが黄色いな」くらいの感じで、さほど気に留めていなかった。
LBX MORIZO RR CONCEPT概要 ベース車両:LEXUS LBX 主要諸元 全長×全幅×全高:4190mm×1845mm×1535mm ホイールベース: エンジン 1.6L直列3気筒DOHCターボ 最高出力:304ps(224kW)/6500rpm 最大トルク:400Nm/3250-4600rpm トランスミッション:Direct Shift 8AT 駆動方式:4WD タイヤサイズ:235/45R19 サスペンション:Fマクファーソンストラット式/Rダブルウィッシュボーン式 ブレーキ:F18インチベンチレーテッドディスク/Rディスク
見る目が変わったのは、搭載するパワートレーンを知ってからである。なんと、GRヤリスのパワートレーンをそのまま積んでいるのだ。エンジンはG16E-GTS型の1.6L直列3気筒ターボで、最高出力は224kW(304ps)、最大トルクは400Nmを発生。組み合わせるトランスミッションは8速ATである。駆動方式は電子制御フルタイム4WDだ。
つまり、レクサスLBXの皮を被ったGRヤリスというわけ。中身のすごさを誇示しない、控え目な見た目がとてもいい。中身がGRヤリスと知っていれば、もっとじっくり眺めておくんだった……。
ホンダ・シビックRSプロトタイプ
事前の告知はなく、1月12日のプレスカンファレンスで世界初公開されたモデルがシビックRSプロトタイプだ。6速MT専用モデルであり、2024年秋の発売が予定されている。展示車両はすべてのウインドウが真っ黒で、室内の様子を確認することはできなかった(シフトレバーまわりを確認したかったのだが)。
フロントバンパーの造形が現行型と異なっており、よりアグレッシブになっている。RS専用なのか、それともRSの登場に合わせてシリーズ全体がアップデートを受けてこの顔になるのか、気になるところだ(北米で近ごろ発表された2025モデルはこの顔になっている)。
タイプRを除く通常のシビックシリーズには、ハイブリッドシステムを搭載するe:HEVと、L15C型の1.5L直列4気筒直噴ターボエンジンを搭載するガソリン車が存在する。タイプ名はLXとEXだ。現在、6速MT車が設定されているのはガソリン車のみなので、RSもガソリン車の設定だろう。ちなみに最高出力は134kW(182ps)、最大トルクは240Nmだ。
伝統のRSのネーミングを抱くからには、スポーティな仕立てとなっているに違いない。タイプRほど気負わず、もっと気軽にMTの走りを楽しみたい。でも、少しはスパイスが効いていてほしい。そんな希望を叶えてくれる仕様になっていると期待しておこう。全貌が明らかになる日が楽しみだ。
MAZDA SPIRIT RACING 3 concept
マツダも事前告知なしのモデルを世界初公開した。MAZDA SPIRIT RACING RS ConceptとMAZDA SPIRIT RACING 3 Conceptである。前者はロードスターがベース、後者はMAZDA3がベースだ。
マツダは2021年からスーパー耐久シリーズST-Qクラスに参戦している。MAZDA SPIRIT RACING(マツダスピリットレーシング)は、ファクトリーチームとしてのエントラント(チーム)名である。かつてはマツダスピードの名称を冠してファクトリー活動を行なっていたが、今回ファクトリーモータースポーツ部門を復活させるにあたり、マツダスピリットレーシングの名称を選択し再スタートを切ったというわけだ。
マツダスピリットレーシングの前田育男チーム代表は、「マツダスピリットレーシングをマツダのサブブランドとして育てていきたい」と話した。マツダスピリットレーシングRSコンセプトと3コンセプトは、市販化に向けて開発中のコンセプトカーだ。国内初投入となる2Lエンジンを積んだ、第1弾として登場予定のRSコンセプトも気になるが、MAZDA3オーナーとしてはやはり、第2弾として開発が進む3コンセプトを取り上げておきたい。
RSロードスターは、「スーパー耐久シリーズで培ったノウハウを生かし、そのままサーキットでも楽しめるクルマを目指し、エンジンと足まわりに手を加えたうえで、レーシーなアピアランスに仕立てるつもり」と前田氏。3コンセプトの基本的な考え方は「ロードスターのスペシャルバージョン(RSロードスター)と同じ」とのこと。
RSコンセプトがスーパー耐久シリーズ参戦車と同じエンジンで開発されていることを考えると、3コンセプトが積むのは、レース仕様では300psに到達した2.2L直列4気筒ディーゼルエンジンか(展示車はガソリンエンジン・AT仕様だった)。2024年のスーパー耐久シリーズでは「新たなドライブトレーンの採用にも挑戦したいと考えている」(前田氏)との発言もあったので、AWD?との期待も膨らむ。
いずれにしても、「モータースポーツ直系を感じていただける内容に仕立てたい」とのことなので、進捗を楽しみに待ちたい。