2024年のFIAフォーミュラ1世界選手権(F1)に参戦するステークF1チームが2月5日、ロンドンのギルドホールで発表会を実施。2024年型F1マシンの「C44」をお披露目した。
ステークF1は、昨年まではアルファロメオとして参戦していたチームで、スイスに拠点を置くザウバーが母体。トヨタ陣営のドライバーとして国内外のトップカテゴリーで活躍し続ける小林可夢偉もかつて所属したチームだ。
2023年限りでアルファロメオとのパートナーシップが終了し、2024年のF1には「ステークF1チーム・キック・ザウバー」として名を連ね、レギュラードライバーには昨年から引き続きバルテリ・ボッタスと周冠宇を起用する。
今回公開されたC44のリバリーは、昨年の赤と黒を基調としたものから一転して、鮮やかな緑と黒がベースとなった。これは2024年から2年にわたりマシンのネーミングライツを持つストリーミングプラットフォームの「Kick.com」に由来するものだ。
なお、現ステークF1は2026年からF1に参戦するアウディをパートナーに迎えることとなっている。
シャシーについては、2023年を戦ったC43とは別物になっているという。とくに目につく変更点はフロントサスペンション。C43はプッシュロッドだったが、C44は空力的なアドバンテージも考えプルロッドを採用した。
もちろんエアロパッケージもアップデートされており、現行レギュレーションにおいてダウンフォース獲得のキモとなるフロアを一新。サイドポッドやエンジンカウルの形状も変更が加えられ、それにともない内部パーツのレイアウトも改められている。
近年はグリッド後方に沈んでいるステークF1。2023年はドライバーズランキングでボッタスが15位、周が18位となり、コンストラクターズランキングでは9位に終わった。
再建を目指すチームは昨年、テクニカル・ディレクター(TD)としてジェームズ・キーを招聘した。キーはこれまでにマクラーレンなどで活躍してきた技術者で、旧ザウバーには2012年まで所属。2012年の日本GPで可夢偉を表彰台に押し上げるなど、年間4度のポディウムフィニッシュを記録した「C31」もキーが手掛けたマシンだ。
プロジェクトの途中からC44の開発に加わったキーは「素晴らしい仕事をしたチームを褒めなければならない」と、発表に際してコメント。
「ヒンウィル(チームの本拠地)には素晴らしい技術陣があり、良好で前向きな職場雰囲気で、誰もが進歩に熱心だ。もちろんC44のようなマシンの設計と製造は、ひとりでできるものではない。非常に複雑なプロジェクトであり、現行レギュレーションが施行されている今日ではなおさらだ。重要なのは、開発、設計、そして最終的な製造のために件名に働いてきた数百人ものの人々とともに、このプロセスを管理することだ」
「リアには昨年から引き継がれた部分はあるものの、C44は実質的にまったく新しいクルマだ。チームは私が加わるかなり前から野心的な方向性を打ち出していた。メカニカルな変更が多く、外からはまったく見えないものもあるが、逆に非常に目につくものもある。フロントサスペンションは完全に新しくなり、私たちのような規模のチームにとってはタフで野心的なプロジェクトだ。空力的な変更も多く、これが依然として主要な開発分野であることから予想されるとおりだ。私たちは多くの新しいエキサイティングな方向性を打ち出し、そのすべてがかなりのポテンシャルを秘めているように見える」
ステークF1は2月9日にスペインのバルセロナでC44のシェイクダウンを実施する予定。そして21日~23日にバーレーンで行われるプレシーズンテストに臨むこととなっている。