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カッコよさはそのままに!
ルックスと先進機能を強化したビッグマイナーチェンジ
いすゞD-MAXは、2002年に同社のピックアップトラック「ファイター(2WD)」と「ロデオ(4WD)」の後継車として誕生。三代目となる現行型は2019年10月デビューだ。
SUVのようなスポーティかつ力強いフロントマスクが与えられ、LEDライトやインフォテイメントシステムなど最新技術も積極的に採用。高性能な3.0Lディーゼルターボエンジンを新開発し、高出力化と低燃費化を図るなどパワートレインも進化させ、乗り心地についても向上を図っている。
つまり、全面的に現代化と乗用性能を磨いたのが、現行型なのだ。
よりアグレッシブでスポーティになったエクステリア
今回のビッグマイナーチェンジでは、前後マスクのデザインを一新。新モデルのコンセプトである「剛」(STRONG&AGGRESSIVE)、「駆」(SPORTY)、「進」(FUTURISTIC & DIGITAL)を表現したという。
フロントマスクでは、ボンネット中央部にパワードームを追加。フロントグリルのデザインも変更され、よりワイドで立体的な形状としたほか、グリル内のメッキパーツもよりシャープになっている。
またフロントサイドにあるロアグリルもトライアングル形状となった。ヘッドライトも変更され、デイライトの配置が下側から上側となり、大きく印象を変えている。その結果、より力強さとスポーティさが高められている。
またフロント部ほどの設計変更はないものの、リヤテールランプの形状が改めら、縦目角型の片側2連装から片側3連装となり、L字のキャラクターラインも加わっている。
上質感を高め装備を充実させたインテリア
もちろん、インテリアにも手を加えている。
まずはコクピットだが、ダッシュボードデザインこそ受け継いでいるものの、インフォメーションシステムとトランスミッション付近のデザインを変更している。
最大の目玉は、進化したインフォメーションシステムだ。7インチ及び9インチのタッチスクリーンには、新たにダイヤルスイッチを追加することで、操作性を向上させた。
さらに上位仕様では、メーターパネルを一新。スピードメーターを中央配置し、その内部に7インチのインフォテイメントディスプレイを追加している。
この他では、上位モデルのトリムやシート生地にミウラ折りパターンをモチーフとしたデザインを取り入れることで、モダンさと高級感を表現したとしている。
4WDの走行性能だけでなく先進安全運転支援機能も強化
メカニズムでは、4WD車の走行性能や新世代のステレオカメラによる先進の安全運転支援機能の強化が図られた。まさにSUVのような乗用性能と安全性能を持ち合わせるピックアップトラックに進化させている。
パワートレインは、変更はなし。姉妹車であるMU-X同様に、全車が直列4気筒クリーンディーゼルターボエンジンを搭載する。
RWD専用となる1.9Lエンジンは、最高出力150ps、最大トルク350Nmを。RWDと4WDのいずれも選択可能な3.0Lエンジンは、最高出力190ps、最大トルク450Nmをそれぞれ発揮するのも同様だ。
トランスミッションはトラックらしく6速MTが基本となり、一部グレードに6速ATが用意されている。駆動方式もFRが基本で、シリーズ内で 4WD仕様となるのは「V-CROSS」のみである。
シングルキャブ・スペースキャブ・クルーキャブの3ボディ
ボディタイプは、最もスタンダードなシングルキャブ「レギュラーキャブ」を始め、フロントシート後ろのスペースを拡大して観音開きドアを与えたエクステンドキャブ「スペースキャブ」、後席付の 5名乗車が可能なダブルキャブ「クルーキャブ」を用意する。最もスタンダードなレギュラーキャブを除き、スペースキャブとクルーキャブには、上位モデルの設定もある。
豪華仕様の「V-CROSS」とスポーティモデル「Xシリーズ」
今回の主役は、やはり、4WDの最上級モデル「V-CROSS」だ。内装の仕上げや装備は、姉妹車のSUV「MU-X」に近いものとなるが、エクステリアデザインに加え、インテリアでも、シート表皮やドアトリムなどで差別化を図る。より力強い顔つきやピックアップスタイルがワイルドでカッコ良い。
V-CROSSのダブルキャブだと、3人掛けの後席が備わる。前席同様にレザーのコンビシートとなり、作りもしっかり。ただ足元こそゆとりがあるが、リクライニング機能はない。
さらにリヤサスペンションも積載性を重視し、リーフスプリングとなることを考慮すると、やはりストイックな存在といえる。まさに”漢のクルマ”って奴である。
最新情報もお伝えしよう。2024年1月30日に、新たな仲間となるチョイ悪なドレスアップ仕様「Xシリーズ」が加わった。Xシリーズは、手頃さとカッコよさを追求したモデルのため、V-CROSSのような豪華仕様ではなく、エンジンも1.9Lのみとなるが、レッドトーンの専用メーターパネルデザインや新採用となる8インチのインフォメーションシステム、プレミアムスポーツシートなど魅力的なアイテムが備わっている。
ドレスアップモデルのためFR専用となり、ボディ仕様は標準スタイルの「スピード」と、最低地上高を増したクロスオーバースタイルの「ハイランダー」を用意。キャビンスタイルは、「スペースキャブ」と「クルーキャブ」のふたつから選択可能だ。
こいつは、愛車をビジネスとプライベートで共用する若いユーザーをターゲットとした遊び心のある仕様なのだ。タイの豊かなピックアップトラック文化を象徴する存在ともいえよう。
タイでの現地価格は? 日本円に換算すると……
最後に価格を見ていこう。今回は、日本で販売されるピックアップトラックに最も近いV-CROSSと新モデル「Xシリーズ」を取り上げる。
V-CROSSが91万7000バーツ(3.0Lディーゼル2ドアスペースキャブZグレードMT車)~125万7000バーツ(3.0Lディーゼル4ドアクルーキャブMグレードAT車)なので、日本円では約382万円~約524万円となる。
Xシリーズが75万5000バーツ(スピード2ドアスペースキャブMT車)~102万4000バーツ(4ドアクルーキャブMT車)なので、日本円では約315万円~約427万円となる。
(1円=4.17バーツ換算/2024年1月上旬時点)
仮にV-CROSSを日本導入するならば、新型トライトン同様の価格となるだろうが、FRのドレスアップ仕様「Xシリーズ」ならば、より現実的な価格が期待できそう。もちろん、キャブオーバートラックとバスのみとしているいすゞから、ピックアップトラックを再導入させることは非現実的な願いとなることが寂しい限り。
ただ、このようなストリートスタイル仕様をメーカー自ら用意することからも、D-MAXのタイでの人気の高さが伺え、嬉しくなる。今後も彼の地での活躍を期待したい。