日産、新たな自動運転サービスの2027年度事業化を目指すロードマップを発表

日産自動車は、日本国内において自社開発のドライバーレス自動運転による新たなモビリティサービスの事業化に向けたロードマップを発表した。

日本が抱える移動の課題解決に向けた無人モビリティサービス

開発車両には日産リーフを使用。

日産自動車は少子高齢化に伴う公共交通のドライバー不足や地域社会が抱える交通サービスの課題解決に貢献し、誰もが自由に移動できる新しい交通サービスを提供することを目指し、自動運転サービスの実現を進めている。そのため同社は、国内外でモビリティサービスの新たなビジネスモデルを構築するための、横浜や福島県浪江町、ロンドン市街などで自動運転モビリティサービスの実証実験を行ってきた。

こうしたプロジェクトで積み重ねた知見をもとに、2027年度より自治体や交通事業者を含む関係各所と協議のうえ、新たな「自動運転によるモビリティサービス」の提供を目指すとしている。その実現に向け、2024年度より横浜みなとみらい地区にて走行実証実験を開始し、2025年度以降は実験を行う地域や規模を拡大。これらの実験では、将来のドライバーレスでのサービス提供を目指して自動運転レベルを段階的に引き上げながら、ユーザーの無人運転に対する受容性を確認していくという。

横浜みなとみらい地区で自動運転サービスを実証実験

実験車両の日産リーフには6個のライダー、10個のレーダー、14個のカメラを搭載する。

実証を行う自動運転モビリティの目指すものとしては、無人レベル4制御(遠隔管理、セーフティドライバー同乗)で一般道において制限速度を守りながら交通の流れを妨げない混流走行を行う。初期の段階では歩車分離、信号機のある交差点、センターラインあり、昼間等など限定的な条件からスタートし、技術進化に伴い、対応する地域や時間帯を拡大していく。

サービスケースとして、オンデマンドの乗り合いシャトル(乗降場所固定、フリールート)を想定していて、専用のアプリで予約を行い、乗車地点に車両が到着したらユーザーは利用者認証を行い乗車し、降りる時に課金を行うというものだ。安全性などに関しては今度国の定める法規に準拠していくという。

屋根の上のセンサー類もスタイリッシュな筐体に収められている。実験車両の段階なので現在のサイズとしているが、サービス開始時には小型化され、さらにスタイリッシュになる予定だという。

自動運転レベル4の実装に向けては、車線変更や追い越し、交差点での車線交差など、無限に存在すると思われる交通状況・道路環境に対応する運転動作(ユースケース)を有限にするべく検証を行い、横浜で想定されるユースケースを2000個に絞り、そのすべてに対応していくという。実験車両に搭載された6個のライダー、10個のレーダー、14個のカメラにより自車の状況を認識し的確な運転判断を行う。自車で対応しきれない場合は、遠隔監視から運転操作を行い状況を脱出する。

実験車両のため、搭載されているセンサーなどは専用設計でないものもあるそうで、例えば側方に搭載されている青く見えるセンサーは測量用のものを使用している。

ドライバーレス自動運転の実用化に向けたロードマップ

横浜みなとみらい地区を走行する実験車両の日産リーフ。

具体的な取り組み計画は以下の通りとなっている。

2024年度:
横浜みなとみらい地区にて、「セレナ」をベースとした自動運転車両での走行実証実験を実施。

2025-26年度:
横浜みなとみらい地区(桜木町、関内を含む横浜エリア)において、最大20台規模のサービス実証実験を実施 (遠隔監視+セーフティドライバー同乗)。オンデマンドで地域内を自在に走行し、無人サービスに対する受容性を検証するとともに、日常的に取得される走行データによる性能開発を行う。

2027年度:
動運転のレベルを段階的に引き上げていき、有償サービスの提供を開始。また、地方を含む3から4の市町村においてサービス提供開始を目指す。全国で数十台規模の運用を予定。現在、サービスの開始に向けて複数の自治体と協議しており、準備の完了した市町村から事業の開始を目指す。

なお、本取り組みは経済産業省、国土交通省をはじめとした中央省庁と密に連携しながら推進され予定で、経済産業省と国土交通省が主催する『レベル4モビリティ・アクセラレーション・コミッティ』において、新たな自動運転移動サービスの実現に向けた取り組みを促進していくという。

自動運転モビリティサービスの事業化についてプレゼンテーションを行った、日産自動車 常務執行役員、総合研究所所長 土井三浩氏

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