ホンダが4代目「シビック・タイプR」を世界初公開。FF世界最速のホットハッチは、428万円で750台の限定販売【今日は何の日?3月3日】

一年365日。毎日が何かの記念日である。本日3月3日は、世界最速のFF車としても有名だったFK2型シビック・タイプRが登場した日だ。

歴代初のターボエンジンを搭載してFF最速記録を更新

ホンダは、2015(平成27)年3月3日~15日に開催されたジュネーブモーターショーで新型(4代目)「シビック・タイプR」を世界初公開。4代目タイプRは、歴代初のターボエンジン“VTECターボ”を搭載して、ニュルブルリンクの記録を更新してFF世界最速モデルとなった。

ホンダのレーシングスピリットを凝縮したタイプR誕生

初代シビック・タイプRは、シビックの究極のスポーツモデルとして1997年にデビューした。
タイプRは、それまでのスポーツグレード「ハッチバックSiR」をベースにさらにハイチューンし、一般路だけでなくサーキットでも他を圧倒するパワフルな走りを目標として誕生。心臓部となるエンジンは、1.6L直4 DOHCのVTECエンジンを搭載、高圧縮比や各部の軽量化、フリクション低減、吸排気抵抗の低減などを行い、NA(無過給)ながら最高出力185PS/8200rpm、最大トルク16.3kgm/7500rpmを生み出した。

1997年にデビューした初代「シビッ・タイプR」

さらに、車高を下げた低重心化やサスペンションのハードチューニング、ブレーキの強化、ボディ剛性の強化、ABSのスポーツセッティング、専用タイヤなど、ホンダの培ったレーシング技術を注入。パワフルかつ強固な足回りと優れた操縦安定性を手に入れたタイプRは、比較的安価な199.8万円で売り出されたこともあり、大ヒットを記録したのだ。

最強のVTECターボを搭載した限定750台の4代目タイプR

その後2001年に2代目、2007年に3代目と進化を続け、4代目シビック・タイプRが2015年3月に開催されたジュネーボモーターショーで世界初公開された。最大の特徴は、エンジンが歴代初のターボエンジンになったこと、その他にも走行性能を高める様々な技術が盛り込まれたこと。

タイプRに搭載の直噴2.0L VTEC ターボエンジン

新開発のエンジンは、2.0L直4 DOHC VTECターボで、最高出力310PS/6500rpm、最大トルク40.8kgm/2500~4500rpmを発生。先代エンジンに対して、最高出力54%、最大トルクが207%ほどパワーアップして最高速度が236km/hから270km/hへと向上、これらの数値が4代目タイプRの凄さをよく表している。

2015年3月のジュネーブモーターショ公開された4代目「シビック・タイプR」

車体側についても、9代目シビックのボディをベースに、剛性強化やエアロパーツ採用による空力改善、サスペンションやブレーキの強化など専用部品が装備された。
英国生産の4代目シビック・タイプRは、日本では2015年12月7から車両価格428万円の750台限定で販売。ところが、予約期間で申し込みが限定台数の10倍を超えたため販売は抽選となり、手に入れたくても手にできないモデルとなったのだ。

ニュルでFF最速の称号を獲得した4代目タイプR

4代目「シビック・タイプR」のリアビュー

4代目タイプRは、日本発売前の3月にドイツのニュルブルリンク北コースでタイムアタックを実施。タイムは、それまでのルノー「メガーヌRS272トロフィーR」の記録を4秒上回るFF量産車最速となる7分50秒63を記録。限定販売台数の750台は、このニュルブルリンクのタイムに由来している。
2017年には、5代目タイプRが7分43秒8で記録を更新したが、2019年にメガーヌRSトロフィーRが7分40秒1で再びFF最速の座に返り咲き、その記録は3年ほど破られることはなかった。

2022年9月2日にデビューした6代目シビック・タイプR

しかし、2022年9月に発売された新型(6代目)シビック・タイプRが、2023年4月に7分44秒881でFF最速記録を更新。タイムは5代目より約1秒遅いが、これはタイムアタックの公式区間が正式に定められ、これまでよりスタート地点が230m手前になったため。ちなみに、メガーヌRSトロフィーRの最速タイムは、正式な区間では7分45秒389になるそう。

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4代目シビック・タイプRは、ホンダが本気を出してFF車世界最強を狙ったタイプRの中でも特別なモデルだ。ちなみに最高出力310PSは、当時のホンダ・タイプRシリーズの中でもトップのパワーだった。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかも知れない。

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著者プロフィール

竹村 純 近影

竹村 純

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までを…