MINI3ドアが約10年ぶりのフルモデルチェンジ!! デザイン責任者が語る「新世代」とは?

3日2日(ミニの日)に約10年ぶりとなる3ドアモデルの新型と新型カントリーマンのお披露目された。しかもMINI初となるバッテリーEV(BEV)仕様も新たに設定され、2023年11月にリリースされた新型カントリーマン(旧日本名クロスオーバー)にもBEV仕様が追加されている。いったいどのようなモデルとなっているのだろうか?

TEXT&PHOTO:塚田勝弘(TSUKADA Katsuhiro)

新型のキーワードは「新世代」と「リボーン」

新型カントリーマン

MINIの新型モデルや特別仕様車、限定車などが発表される3日2日(ミニの日)。2024年は土曜日ということもあり、前日にプレス向けイベントが開催された。最大のトピックスは、約10年ぶりとなる3ドアモデルの新型と新型カントリーマンのお披露目だ。しかもMINI初となるバッテリーEV(BEV)仕様も設定された。さらに、2023年11月にリリースされた新型カントリーマン(旧日本名クロスオーバー)にもBEV仕様が追加されている。ここでは、「MINI DAY 2024 New MINI Family」と題されたプレスカンファレンスの模様をお届けする。

トップで登場したビー・エム・ダブリューの長谷川正敏社長は、MINIが2016年から8年連続で輸入車ブランド・ナンバー1を達成している日本の熱烈なMINIファンに感謝するとともに、「MINI(ミニ)の日」である3月2日が重要な日であることを強調。BMW傘下のMINIが、累計35万台を超えた日本市場の重要性について改めて触れた。

ビー・エム・ダブリューのMINI本部長のピーター・メダラ氏

さらに今年の「MINIの日」は、ミュンヘンからMINIもデザイン責任者であるオリバー・ハイルマー氏が来日し、「新世代」あるいは「リボーン」というキーワードでプレゼンすることを予告して、ビー・エム・ダブリューのMINI本部長であるピーター・メダラ氏、そして、オリバー・ハイルマー氏にバトンタッチした。

ピーター・メダラ氏は、2023年のMINIを振り返り、好評だったという4台の特別仕様限定車もあって、輸入車のモデル別販売台数1位を獲得したことを報告。約10年ぶりの登場となった新型MINIには、「エレクトリックゴーカート」、「デジタルコミュニティ」、「環境配慮」というキーワードを盛り込んだという。BEVの追加により年末までにすべての正規販売店に出力90kWの急速充電器を整備する点もアピールしている。

MINIのデザイン責任者であるオリバー・ハイルマーが来日

続いて登場したオリバー・ハイルマー氏は、日本で約10年ぶりの3ドアの新型となるMINIは、1959年誕生のいわゆるクラシックMINIのアイコニックなデザインを新型でも踏襲したいと考えたという。もちろん、単に現代に蘇らせたのではなくMINIのアイデンティティとは何か? という点を自問自答しながらということになったのだろう。

新型の開発は、約5年前からスタート。アレック・イシゴニスが発明した1959年のMINIと新型で出会い、再現する、という仕事に加えて、BEVも加わった現代のモデルとして、没入感の提供や今までにないカラーパターン、サウンドを実現した丸型センターディスプレイの開発についても触れている。

写真右上がミュンヘンで撮影されたもので、丸型ディスプレイの背景にした

新型MINIのハイライトのひとつである丸型の有機ELディスプレイの表示パターンは多彩で、自分で撮影したお気に入りの写真も背景にすることができる。オリバー・ハイルマー氏は、ミュンヘンで撮影したというMINIチームの写真を例にとって説明していた。さらに、ダッシュボードに光の演出も施されるなど、気分に合わせてカラーパタンやサウンドを変更できる。この丸型ディスプレイは、直径240mmの高品位ガラスで覆われ、スワイプやタッチなどスマホ感覚で容易に操作可能で、レスポンスにも優れていた。

また、オリバー・ハイルマー氏は、サウンドの重要性について、ドライバーへの通知や警告音、電話などだけでなく、歩行者の安全を音で促すなど、サウンドデザイナーを起用して作り込んだと説明する。さらに、インテリアにはBEVモデルにもクラフトマンシップを持ち込み、MINIの匠の技により、より暖かなテイストを醸し出すことに注力したという。シートなどのパイピング、過去と未来をつなぐシート柄の再構築など、ディテールへのこだわりを披露した。

外観は、ヘッドライトやフロントグリルの造形を60年代のMINIに近づけ、エレメントを注ぎ落としながらもモダンに仕立てたと説明する。中でもヘッドライトを包み込むようなサーフェイスの美しさをアピール。

サイドも初代MINIのように先代よりもコンパクトにして、ホイールを少し大きくしたことで、初代MINIを彷彿とさせるサイドビューを構築したと解説する。さらに、グリーンハウス、ルーフ、ボディのバランスはもちろん、ハイライトを前面に出し、見た目の重心を低くすることで「ゴーカート感を出した」という。リヤは、数年間かけて開発された例のユニオンジャックをモチーフにしたテールランプが見どころで、新型はヘッドライトとともに、テールランプの表示も切り替えることができる。

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伸びやかなルーフラインとサイドスカットルをルーフに近づけた新型カントリーマン

クロスオーバー改め、世界の呼び名と同じになった新型カントリーマンについても触れている。フロントは、パワードームとは異なる造形を用いながら、大胆かつ安定感のある顔つきを表現。ライトシグネチャーは「CLASSIC」、「FAVOURED」、「JCW」を用意する。こちらも前後ライトのシグネチャーがこの3モードで切り替わることになる。

サイドはルーフを長くすることで、エアロダイナミクスの向上を図り、サイドスカットルをルーフに近づけ、さらにリヤホイールと斜めの線で結ぶことで、一体感を演出したそうだ。リヤは、トランリッドとナンバーの段差をなくたという。

黒と白の2つのレイヤーが織りなすインテリアも細部にこだわって再生。トリムもライトシグネチャーと同様に、「CLASSIC」、「FAVOURED」、「JCW」の3つから選択できる。

約10年ぶりの登場となった新型MINIは、クラシックMINIに最大のオマージュを捧げながら、デザイン面では、現代のモデルにふさわしい洗練された内外装と高い質感を備えている。リボーン(再生)されたMINIの新たな旅がここから始まることになる。

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著者プロフィール

塚田 勝弘 近影

塚田 勝弘

中古車の広告代理店に数ヵ月勤務した後、自動車雑誌2誌の編集者、モノ系雑誌の編集者を経て、新車やカー…