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ジュネーブ・モーターショー2013で世界初公開された2人乗り3輪EV
トヨタは、2013(平成25)年3月5日から開催されたジュネーブ・モーターショーにパーソナルモビリティのコンセプトカー「i-ROAD」を出展。世界初公開された「i-ROAD」は、バイク並みの使い勝手の良さと軽快な走りが特徴の超小型3輪EVとして注目を集めた。
将来モビリティとして2人乗りの超小型EV「i-ROAD」を提案
2000年を迎えた頃から、世界的に注目された低炭素社会の実現に向け、自動車メーカーだけでなくさまざまなベンチャー企業から、近距離移動に最適な超小型モビリティが提案され始めた。
トヨタは、すでに1人乗りの都市型EV「i-REAL」を提案していたが、これらは公道を走るというよりは、限られた場所の業務用に展開するのが狙いで、実際に空港などで実証試験が行なわれた。
今回ジュネーブモーターショーで公開された「i-ROAD」は、“コンパクトで爽快なモビリティ”をコンセプトに、「i-REAL」を進化させ、より実用性の高い公道でも走行できる2人乗りの超小型EVである。車両区分としてはミニカー扱いなので普通免許で運転でき、法定最高速度は60km/hでクルマと同じ交通ルールで走行できる。
実用化できれば、バイク並みの使い勝手の良さと軽快な走りを提供するとともに、都市部での渋滞や駐車スペースの問題を軽減し、さらにEVによる環境負荷軽減にも貢献できる。
クルマとバイクを融合したような「i-ROAD」の特徴
「i-ROAD」は、クルマとバイクのそれぞれの良さを融合しているのが特徴。
・超小型パッケージングによる取り回しの良さ
全長×全幅×全高が2350×850×1455mm(空車重量300kg)のコンパクトなボディサイズと前2輪/後1輪の構成によって、最小回転半径3mを実現。車体の取り回しが良く、さらに一般のクルマに対して駐車スペースは1/2~1/4で済むので、駐車スペースの削減にも効果的
・軽快で楽しい、新感覚の走り
旋回Gに合わせて車体の傾きを最適かつ自動的に制御する新開発の“アクティブリーン機構”を採用。左右の前輪が上下に動いて傾きが最適になるように制御するので、コーナリング時にドライバーが車体のバランスを取る必要なく安定した旋回が可能
・環境性能に優れたEV
EVにすることで走行中の排出ガスがゼロ、さらにモーターならではの静かな走行を実現。リチウムイオン電池を搭載して2kWの2つのモーターで走行、満充電の航続距離約50km、最高速度は45km/hを達成
各地で公道走行による実証試験を展開
「i-ROAD」は、多くの人に優れた利便性と新感覚の走りをアピールするため、そしてさらに完成度を高めるために積極的に公道での実証実験を実施した。
まず2014年3月からは、お膝元の愛知県豊田市で展開されている“次世代都市交通システム(Ha:moハーモ)”に「i-ROAD」を投入。2015年4月には、トヨタとパーク24が連携し、カーシェアリングサービスの実証試験を都内で始め、さらにフランスのグルノーブル市での公共交通機関と連携したカーシェアリングサービスにも参加した。
2017年には「i-ROAD」を4輪に進化させた超小型EV「i-TRIL」も開発し、同様に実証試験を始めたが、両モデルともまだ市販化には至ってない。超小型モビリティのような数の少ない特別なクルマは、どうしてもコストがネックになるのだ。
観光地や配送モビリティ、地方自治体の移動モビリティとして活躍している超小型モビリティを徐々に見かけるようになった。その他にも、高齢者や体の不自由な人などあらゆる人に移動の自由を与えるという重要な役割もある。価格低下と活躍できる環境整備を進めて、さらなる普及を期待したい。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。