ホンダの新EV「0(ゼロ)」が日本初上陸! 新デザインの「H」マークも見逃せない

今年の1月にアメリカ・ラスベガスで開催されたCES2024でデビューしたばかりの新EVホンダ「0(ゼロ)」シリーズが日本初お目見え! 3月5日(火)〜10日(日)、ホンダウェルカムプラザ青山(東京)で展示される。未来感あふれる独創デザインをその目でじっくりと眺める絶好のチャンスだ!

2026年に市販予定の新たなEVシリーズを、ウェルカムプラザ青山でチェック!

2026年から北米市場を皮切りに、日本、アジア、欧州、アフリカ・中東、南米と展開されるホンダのグローバルEV「0(ゼロ)」シリーズ。CES2024で世界初公開され、今回、ホンダウェルカムプラザ青山に展示されるのは、そのコンセプトモデルである「サルーン」と「スペースハブ」の2台だ。

ホンダが新しいEVのシリーズ名を「0」としたのには、ホンダの原点・出発点に立ち返ること、ゼロからの独創的な発想で新価値創造に取り組むこと、そして「環境負荷ゼロ」「交通事故死者ゼロ」を達成すること、といった思いが込められているという。

0シリーズの開発にあたっては、「Thin,Light, and Wise(薄い、軽い、賢い)」がテーマになっている。具体的には、フロア高を抑えた“薄い”EVプラットフォームによる低全高のスタイル(=デザインと空力の両面に有利)、重量を抑えることによる優れた電費性能とEVらしからぬ軽快な走り、そしてクルマそのものが賢くなるというSDV(ソフトウェア・デファインド・ビークル。ホンダはビークルではなくモビリティ=SDMと呼んでいる)の実現だ。

そんな0シリーズのフラッグシップに位置付けられているのが「サルーン」である。実車はかなり堂々としたサイズで、とにもかくにも全高が思いっきり低いのが印象的。かといってスーパーカーのようなシルエットというわけでもない。長めの全長と切り詰められた前後オーバーハングが、独特な雰囲気を醸し出している。

0シリーズのコンセプトモデル「SALOON(サルーン)」。
0シリーズのコンセプトモデル「SALOON(サルーン)」。
絞り込まれたテールエンドと、大胆に跳ね上げられたディフューザーが目をひくリヤビュー。

0シリーズのデザインコンセプトは、「The Art of Resonance(ジ アート オブ レゾナンス)」。「環境、社会、ユーザーとの共鳴」をテーマに、見る者の共鳴を呼び起こし、暮らしの可能性を拡げるのが狙いだという。

デザインに携わった清水陽祐さんは、0シリーズのデザインのキーワードとして「シンプル」という言葉を挙げた。シンプルは、ホンダのデザインの本質にも通じるものだという。ただ、それを単純にやってしまって家電製品のような味気のないものにならないようには気を付けたそうだ。

0シリーズのデザイナー、清水陽祐さん(株式会社本田技術研究所 デザインセンター e-モビリティーデザイン開発室 プロダクトデザインスタジオ チーフデザイナー兼クリエイティブリーダー)。

「今回、特に力が入っているのがサイドウインドウで、かなり立ち気味にしています。そうして人間のための空間を確保する一方で、下側に行くに従ってボディを絞り込み、タイヤ自体が独立して見えるようにすることで、いかにも走り出しそうな躍動感を出しています。そのふたつを両立することで、シンプルなフォルムながらユニークなスタイルを実現することができました」

そんな、まるでSF映画から飛び出してきたような未来的なスタイルでありながら、ガルウイングドアを開くと、その中には大人4名が快適に過ごせるスペースが確保されているのにも注目したい。

床下にバッテリーが搭載されるとは思えないほどの低い床がサルーンの特徴。室内にはホールド性の良さそうなシートが4座備わる。
ロングホイールベースの恩恵で、後席の乗員も足を伸ばした姿勢でくつろぐことが可能。

0シリーズでは、高効率なeアクスル、軽量かつ高密度なバッテリーパック、優れた空力性能によって高い電費性能を実現し、バッテリー搭載量を最小限にしながら十分な航続距離を目指しているという。想定している航続距離も300マイル(約483km)と控えめだ。そうしたプラクティカルなコンセプトが、外観からは想像できない広々とした居住スペースを生んでいる、というわけだ。ホンダがN360以来掲げる「M・M思想(人間のためのスペースは最大に、機械のためのスペースは最小にしてクルマのスペース効率を高める)」は、次世代のEVでも連綿と受け継がれている。

コックピットも超シンプル。操作系統として目に入るのはヨーク型のステアリングのみ。運転する際は格納されていたステアリングがダッシュボードとともに迫り出してくる。こうしたギミックが可能なのも、ステア・バイ・ワイヤの採用のおかげだ。さらに0シリーズではホンダ独自のロボティクス技術を応用した姿勢制御技術などをさらに進化させることにより、さまざまな走行シーンにおいてドライバーの思いどおりのコントロールが可能になるという。目指すは、EV時代の究極の「操る喜び」というのも実にホンダらしい。

ダッシュ全面がモニターとなっており、さまざまな情報を表示可能。飛行機の操縦桿のようなステアリングも独特だ。足元にはペダル類が一切なく、速度コントロールはステアリングで行う前提。市販モデルでこうした要素がどこまで反映されるのか楽しみだ。

1 / 8

「ホンダの新EV「0(ゼロ)」が日本初上陸! 新デザインの「H」マークも見逃せない」の1枚めの画像

2 / 8

「ホンダの新EV「0(ゼロ)」が日本初上陸! 新デザインの「H」マークも見逃せない」の2枚めの画像

3 / 8

「ホンダの新EV「0(ゼロ)」が日本初上陸! 新デザインの「H」マークも見逃せない」の3枚めの画像

4 / 8

「ホンダの新EV「0(ゼロ)」が日本初上陸! 新デザインの「H」マークも見逃せない」の4枚めの画像

5 / 8

「ホンダの新EV「0(ゼロ)」が日本初上陸! 新デザインの「H」マークも見逃せない」の5枚めの画像

6 / 8

「ホンダの新EV「0(ゼロ)」が日本初上陸! 新デザインの「H」マークも見逃せない」の6枚めの画像

7 / 8

「ホンダの新EV「0(ゼロ)」が日本初上陸! 新デザインの「H」マークも見逃せない」の7枚めの画像

8 / 8

「ホンダの新EV「0(ゼロ)」が日本初上陸! 新デザインの「H」マークも見逃せない」の8枚めの画像

また、ホンダは自動運転レベル3をいち早く実用化し、レジェンドに搭載した実績がある。0シリーズでもそうした技術をさらに進化させ、高速道路における自動運転領域を拡大するとともに、ハンズオフ機能を一般道でも一部利用可能とすることを目指して開発が進められている。

EVと言えば、課題となっているのが「充電時間」と「バッテリー劣化」だ。2026年投入の第一弾モデルでは間に合わないようだが、2020年代後半に投入するモデルでは、バッテリー容量15〜80%の急速充電時間を10〜15分程度に短縮するとともに、使用開始から10年後のバッテリー劣化率10%以下を目指しているという。

コンセプトカーではカッコ良かったのに、市販モデルになると「普通になっちゃったね」という例は少なくない。果たして、サルーンはどうなのだろうか。BEV商品企画部の部長を務める中野弘二さんに、2026年にリリースされる市販モデルとの相違点を尋ねると「ほぼほぼこのままの姿で量産する予定です」とうれしい答えが返ってきた。 「マーケットに合わせてサイズやドアの開閉方法などは変わる可能性はありますが、全体的なフォルムはそのままの方向で開発しています」というから楽しみだ。

0シリーズの開発に従事する中野弘二さん(本田技研工業株式会社 電動事業開発本部 BEV開発センター BEV完成車統括部 BEV商品企画部 部長)。

BEVは”ハブ”となって人々のアクティビティを支える存在に

一方の「スペースハブ」は、0シリーズの共通のデザイン言語のもと、「人々の暮らしの拡張」を提供することをテーマに開発された。後部がカーゴスペースのような形状のモノフォルムとなっており、一見するとサルーンとはまったく雰囲気の異なる佇まい。しかしながら、スクエアオーバルのグリルやテールライト、シンプルなコクピットといった要素は共通のテイストで、シリーズとしての統一感が与えられている。

リヤドアはスライド式となっており、後席はまるでラウンジのようなくつろぎのスペースが広がる。2列目シートは後ろ向きとなっており、3列目シートの乗員と対面して楽しい時間を過ごすことができそうだ。

0シリーズのコンセプトモデル「SPACE-HUB(スペース ハブ)」。

1 / 6

「ホンダの新EV「0(ゼロ)」が日本初上陸! 新デザインの「H」マークも見逃せない」の1枚めの画像

2 / 6

「ホンダの新EV「0(ゼロ)」が日本初上陸! 新デザインの「H」マークも見逃せない」の2枚めの画像

3 / 6

「ホンダの新EV「0(ゼロ)」が日本初上陸! 新デザインの「H」マークも見逃せない」の3枚めの画像

4 / 6

「ホンダの新EV「0(ゼロ)」が日本初上陸! 新デザインの「H」マークも見逃せない」の4枚めの画像

5 / 6

「ホンダの新EV「0(ゼロ)」が日本初上陸! 新デザインの「H」マークも見逃せない」の5枚めの画像

6 / 6

「ホンダの新EV「0(ゼロ)」が日本初上陸! 新デザインの「H」マークも見逃せない」の6枚めの画像

かつてホンダは1960年代初頭、スポーツカーのS500と軽トラックのT360の2台をリリースして4輪メーカーとしての橋頭堡を築いた。今回、シリーズ0がサルーンとスペースハブという両極端に見える2台を登場させたのも、そうしたホンダの原点を踏まえてのもの。シリーズ0は、ホンダの過去と未来をつなぐ架け橋となる存在なのかもしれない。ホンダウェルカムプラザ青山で、ぜひ実車をご確認いただきたい。

0シリーズを含むホンダの次世代EVに採用される新たな「H」。1981年の改訂以来、久々の新マークの登場となった。両手を広げたようなデザインは、「モビリティの可能性を拡張し、ユーザーに向き合う姿勢を表現」しているという。
ホンダウェルカムプラザ青山
住所 : 〒107-8556 東京都港区南青山2-1-1 Honda青山ビル1階
電話番号 : 03-3423-4118
開館時間 : 10:00~18:00
最寄り駅 : 東京メトロ銀座線、東京メトロ半蔵門線、都営大江戸線→「青山一丁目」駅 下車5番出口すぐ

キーワードで検索する

著者プロフィール

長野 達郎 近影

長野 達郎

1975年生まれ。小学生の頃、兄が購入していた『カーグラフィック』誌の影響により、クルマへの興味が芽生…