新色追加でアウトドア感マシマシのハイエース!「ザ・定番キャンパー」は多様化が進行中!?【ジャパンキャンピングカーショー2024】

2024年2月に幕張メッセで開催されたジャパンキャンピングカーショー2024は、バンコンの代表選手といえるハイエースベースのカスタム車両のほか、エブリィやNボックスをベースとした軽キャンパーが数多く出展されていた。その中で1月に待望のアースカラーが追加されたハイエースは、相変わらず注目度が高く、画一的な仕様に留まらない個性的な車両を数多く出展されていた。ここでは、改めて「ザ・定番キャンパー」といえるハイエース・カスタムの傾向についてレポートしよう。
REPORT&PHOTO 小原裕一郎(OHARA Yuichiro)

オフロード走行やペット同伴を意識した仕様など多様化が加速!

2024年2月初旬に4日間の日程で開催されたジャパンキャンピングカーショー2024は、コロナ禍明けということもあって、全国各地のキャンピングカー・ビルダーから392台の出展があり、盛大に執り行なわれた。今年は年初に発生した能登半島地震を受けてか、災害時に役立つトレーラーハウスのほか、イタリアン・キャンパーのフィアット・デュカトのカスタム事例が数多く展示され、来場者から大きな注目を浴びていた。

その一方で、これまでキャンピングカー人気を支えてきたバンコンバージョン(以下、バンコン)や軽キャンパーも、従来の“食う+寝る”という機能に加え、オフロード走行やペット同伴を意識した仕様など、アクティビティにも目を向けた提案が目立ち、多様化が加速している印象だった。ここでは、新色の追加でアウトドア感が増したハイエースにフォーカスし、「ザ・定番キャンパー」の多様化傾向についてレポートしていこう。

会場では、車中泊機能を備えつつ、オフロード走行を存分に楽しめるクロカン4WDも展示。奥のハイエースもオフローダー風の味付けがなされていた。

ハイエースの新色はアウトドアにピッタリのアースカラー

ハイエースは、同社の小型トラック「トヨエース」より小さいキャブオーバー型の乗用車/商用車というコンセプトで1967年に誕生して以来、国内外で57年間も販売されている超ロングセラーだ。街中でも扱いやすいボディサイズに加え、持ち前の車内空間の広さや比較的リーズナブルな価格設定も手伝って、バンコンのベース車両としてピカイチの人気を誇っている。

現行型の200系は、2004年のリリースから今年で20年目となることから、「そろそろ300系へバトンタッチするのでは?」とささやかれている。そんな中、今年1月にマイナーチェンジを受けた8型のスーパーGLには、アウトドアと相性のよい2色のアースカラーパッケージがオプション設定された。

アースカラーについては、これまでキャンピングカー・ビルダーが全塗装という形でカスタム車両を販売していたが、純正カラーとして設定されたことで、塗装することなく、バンコンのベース車両として利用できるのはとてもありがたい。

ハイエース・バン(標準ボディ)スーパーGL アースカラーパッケージ(ベージュ)。<出典:トヨタ自動車>
ハイエース・バン(ワイドボディ/ミドルルーフ)スーパーGL アースカラーパッケージ(アーバンカーキ)。<出典:トヨタ自動車>

そんな背景を踏まえて、ジャパンキャンピングカーショー2024では、新色のアースカラーをベースにしたカスタム車両がいち早く展示されていた。まずは、トヨタのSUVをベースにしたカスタムを数多く手掛けている「FLEX」のKNOT RECORDシリーズを紹介しよう。

■Ver4×KNOT RECORD

標準ボディのアースカラーパッケージ(ベージュ)をベースとしたカスタム車両。NEXUS TRAL NT1+オープンカントリーR/Tでオフロード感が演出されていてカッコイイ!
(左)運転席まわりは明るい色調のウッドパネルで高級感を演出。(右)ベッドキットは多彩なシートアレンジが可能なFLEXオリジナルのベッドキット「KNOT RECORD」を搭載。

■WideVAN CONCEPT×KNOT RECORD

ワイドボディ/ミドルルーフのアースカラーパッケージ(アーバンカーキ)をベースにしたカスタム車両。つや消しの丸目2灯フェイスキット「Re Classic」との相性も抜群だ。

8ナンバー枠に固執しない個性的な仕様が増殖中!

日本のキャンピングカー市場で絶大な人気を誇っているバンコンは、数多くのビルダーが、さまざまなタイプの車両を販売しており、草創期は就寝設備、炊事設備、水道設備など、8ナンバーの要件を満たすための設備を搭載した画一的なパッケージが主流だった。

しかし、最近は8ナンバーの要件に固執せず、デザイン性、機能性、アクティビティ性などにフォーカスした個性的な仕様が数多く販売されている。ここからは、人気のハイエースをベースにしたニューウェーブのバンコンたちを紹介しよう。

■【FLEX】DOG VAN

幕張メッセで開催されるジャパンキャンピングカーショーは、犬の同伴が可能なので、会場内のそこかしこで多彩な犬種を見ることができる。最近は「バンライフ+犬」を意味する「VAN WAN LIFE」というキーワードまで生まれており、もはやバンライフ・キャンパーと愛犬は切り離せない状況になっている。

そんな背景を意識してカスタムされたのが「DOG VAN」。運転席と助手席の間のコンソールには、犬専用のシートスペースを装備しているほか、後席の足元に跳ね上げ式のボードを設けて段差をなくしているなど、随所に愛犬が快適に過ごせる工夫が施されている。

「DOG VAN」は、愛犬とバンライフを楽しむことに特化した車両。自宅のリビング感覚で愛犬との時間を過ごすことができる。
展示車両にはオプションのルーフトップテントも搭載。室内にはベッドスペースもあるが、ルーフトップテントで寝ると、愛犬のために広いスペースを確保できる。
(左)フロントシートのコンソールには犬専用のシートスペースを確保。(右)リアシートと足元スペースをフラットにできる機構も搭載している。

■【REC VEE】HOBBYCLE OVER LANDER W

エクステリアは、鮮やかなイエローのボディにつや消しのフロントフェイス+オーバーフェンダー、足元はブラックアルミ+オープンカントリーR/Tを装備してオフロード感を演出。インテリアは、日本が誇るデニムメーカー「カイハラ」のデニム生地(オプション)を使用した「HOBBYCLE OVER LANDER W」は、従来のバンコンとは異なるポップな雰囲気が最大の特徴。3段階の高さに設置できるベッドエリアは、収納すると広大なスペースが現れるので、クロスバイクやSUPなどアクティビティを楽しむためのグッズを余裕で収納することができる。

(左)シートは「カイハラ」のデニム生地をオプション設定。(左)ラゲッジスペースにはキッチンを標準装備し、左側はオプションのFFヒーターも設置可能だ。

■【トイファクトリー】BEANS California Type1

フロントにスペアタイヤを配し、VW Type2のようなスタイルのこの車両は、文字どおりカリフォルニアの海岸をイメージしたかのような爽やかなカスタムが随所に施されている。クールな印象を与えるインディゴデニム×ホワイトレザーの内装素材、ベッドキット、木製の棚や壁などは、カーインテリアパーツブランドの「BEANS」の熟練職人たちによって製作されたもので、センスや造りのよさは抜群だ。

つや消しの薄いグリーンのボディカラーは、パステル系ながらクラシカルな雰囲気を醸し出しており、少しヤレた感じのVW Type2を彷彿させる。

(左)ステアリングやアシストグリップはウッドでレトロな印象。(右)ベッドスペースには大きなテーブルと通路が確保されていて使い勝手はよさそうだ。

【REC VEE】アコロ(HOBBYCLE OVER LANDER W)

京都精華大学、キャンピングカーランド、レクビィの産学連携事業「キャンピングカー制作プロジェクト」から生まれた車両で、老若男女問わずキャンピングカーを楽しめることを目指し、「遊び心」をキーワードに製作された。青やオレンジで構成されたポップなカラー展開は、従来メインの客層ではない女性客を意識してデザインし、より広いターゲットの獲得を目指している。

一見キャンピングカーらしくないポップなカラーリングだが、街中でも目の刺激にならない程度の彩度に調整し、安全に運転できる環境デザインも意識しているそうだ。
ベース車両はREC VEEの「HOBBYCLE OVER LANDER W」なので、ベッドパーツを屋外に持ち出せばテーブルやベンチチートとしても利用可能だ。

■【トヨタモビリティ神奈川】HIACE CAMPER ALTOPIANO

トヨタディーラーが企画・製作するキャンパーとして話題になった「ALTOPIANO」シリーズのハイエース版。このシリーズは、ベッドキット+リビングスペースのみが標準装備となっており、シンク&シャワー、冷凍・冷蔵庫、サブバッテリーシステム、2段ベッドなどはオプション扱い。余計な装備がない分、普段使いとしても利便性が高いところがメリットといえる。8型のアースカラーパッケージはスーパーGLのみに設定されているが、「ALTOPIANO」は標準ボディのDXをベース車両として選べるので、価格が340万円台(税抜き)からと安価なところも嬉しい点だ。

アースカラーパッケージと同様のカラーリングとホワイトレタータイヤが印象的なエクステリア。YAKIMAのルーフラックはオプション設定だ。
室内はカラーコーディネイトされているものの、必要最小限の装備しかなく、とてもシンプルな印象。オーナーの好みでDIYする余地が残されている。

今回は、「ジャパンキャンピングカーショー2024」に出展されていたハイエースベースのカスタム車両を中心に紹介したが、「ザ・定番キャンパー」だけあって選択肢は幅広く、どんなニーズにも対応できるほど大きな進化を遂げている。しかも、最近はフル装備の高価な8ナンバーキャンパーではなく、道の駅、SA、キャンプ場などで手軽に車中泊を楽しめるライトなタイプが増殖中!そんなハイエース・キャンパーならば、自分のライフスタイルにジャストフィットした車両を見つけることができるだろう。

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著者プロフィール

小原 裕一郎 近影

小原 裕一郎

メディアプランナー&ライター。メディア業界でテレビ視聴率調査、マーケティング(リアル&デジタル)、…