清水和夫が三菱ならではのメカニカル四輪駆動デリカD:5シャモニーを雪上で試す

三菱「デリカD:5シャモニー」を清水和夫が雪上で試す。「メカ四駆+トルクフルなディーゼルは無敵!」

三菱デリカD;5シャモニー
三菱デリカD;5シャモニーで清水和夫がスノードライブ
2023年11月から販売がスタートした、三菱自動車「デリカD:5」の特別仕様車「CHAMONIX(シャモニー)」。デリカD:5の最上級Pグレードをベースに、専用の内外装デザインを施し、魅力に磨きをかけている。「CHAMONIX」とは、フランス東部・モンブラン山群の麓にある有名なスキーのリゾート地のこと。この雪山の世界をイメージし、アウトドアアクティビティを快適に楽しめる仕様、装備になっている。
そんなデリカD:5シャモニーを国際モータージャーナリスト・清水和夫さんが東京から700km超、雪を求めて八甲田連峰を目指すロング&スノードライブを決行。その道中で雪上評価する。
IMPRESSION:清水和夫(Kazuo SHIMIZU)/MOVIE:StartYourEnginesX/ASSIST:永光やすの(Yasuno NAGAMITSU))

清水和夫が三菱ならではのメカニカル四輪駆動「デリカD:5シャモニー」を雪上で試す

ここは岩手県でも盛岡からかなり北のほう。二戸って出てきた。三戸、八戸…“戸”って付く。昔の集落の名残りのある地域名。この後、一路、青森の方に向かう。
毎年冬になると三菱の四駆で旅に出る。今回は、このデリカD:5ディーゼル。モーター四駆ではなく、昔からあるメカニカル四駆だ。エンジンも2.3L(4N14型排気量2267cc)のディーゼルエンジンで、こういった長距離には絶対的に燃費もいいし、トルクが380Nmある。

三菱デリカD;5シャモニー
メカニカル四駆+トルクフルなディーゼル、デリカD:5シャモニーを清水和夫が試す

デリカD:5は四駆だけど、基本的にこのクルマはパートタイム。今は高速走行なので二駆で走行している。まぁパートタイムが原始的っていう風に考えず、最近は電子制御の油圧四駆とかモーター四駆なので、パートタイム/フルタイムっていう議論がちょっと古くなってきた。必要に応じて二駆で走ったり、必要に応じて四駆で走ったりっていうほうがむしろ合理的なので、常時四駆で走るっていうフルタイムの方が、むしろちょっと考え方的には古いかも。

トルクで前車を追従するから気持ちイイ

今は高速走行なのでACC(アダプティブ クルーズ コントロール)をセットしてみたいと思う。
ここは80km/h制限。レーンの逸脱警報装置が付いているので、左の車線に近づくとピピピピッと“車線から逸脱してますよ”とアラームが出る。カメラで白線を見ているから、車線から逸脱しそうになると警報が出るのだ。
三菱の最新技術、パワーステアリングで自動的に元のレーンに戻すという制御ができるクルマもあるが、このデリカD:5には逸脱防止の警報。
前のクルマがスピード落としたので、今は70km/hくらいか? ずっとカメラとレーダーで前のクルマを見ているから、前のクルマが前に行けば一緒についてくっていう感じ。ディーゼルはトルクあるから、この辺の追従性がいい。

外気温は今0度。小雪が降っているけど、いざとなれば四駆だから、今はFFで走っているけど、でも十分、高速の安定性はいいし、FFで全然問題ないね。
今、四駆になったけど、切り替えの時にガチャっていう感じもない。ダイヤルひとつで自然に四駆になるのだ。走行性能的にはFFでも四駆でも100km/hくらいまでの高速安定性には問題がない、というか差はない。
ディーゼルエンジン、ブレーキもしっかり効くから乗りやすいね。ブレーキもタッチに剛性感があっていい。

私が知っている“シャモニー”は、「シャモニー氷上24時間レース」っていうおバカなレースが昔からあり、F1ドライバーなんかも出たりしている。クルマをぶつけあって、板金の得意な人を連れていかなきゃいけないようなレース。いつか出てみたいな!な~んて思っている。できたらデリカミニか、このデリカD:5でシャモニー氷上24時間レース。行きたいね!

FFの二駆と四駆、その使い分けはどうする?

二駆、四駆の切り替えだけど、一般道の雪上は四駆がいい。吹溜りに入ったらロックっていうのがある。ディーゼルだからエンジンの力もあるし、駆動方式はメカニカル四駆だし、本当に力強い。

三菱デリカD;5シャモニー
デリカブランドを再確認できるこの2台

デリカミニも乗りやすかったけど、D:5はなんだろ、さらにもっと力強く走れる。だから、雪道の深いところでもラッセルしながら行っちゃう。前方にブレード付けたら除雪車になっちゃうんじゃないか?っていうくらい力強い。乗りやすいっていうか、やっぱり楽しいねデリカは。

D:5とデリカミニ、デリカ親子2台とも雪道が本籍って感じがする。深い雪のところだったらロックモードの方が走りやすいかな。
エンジンがディーゼルで下から380Nmのトルクが出てくるから、雪を蹴散らしていく感じがあって、それはデリカミニとはちょっと違う。デリカミニは雪の上をうまくグリップしながら走っていく感じ。

D:5とミニで『デリカ』ブランド復活!

しっかしすごい雪だな~。さすが青森・八甲田山だ。デリカの背の高さ以上に雪が積もっているからね。いや~昔ここで耐寒訓練していたって話を聞くと、ちょっとびっくり!

三菱デリカD;5シャモニー
ラッセル車のように走っていくデリカD:5シャモニー

今回はデリカ親子、D:5とデリカミニ、2台のデリカで青森~秋田方面までドライブしてきたけど、非常に面白いなと思うのは、デリカミニが大ヒットしたおかげで、あらためて『デリカ』というブランドがもう一度見直されたなっていう感じ。
デリカというブランドが誕生したのが1968年。昨年の2023年で55歳だ。それだけロングセラーだったというのがあらためてわかった。
東北とか北海道、雪の厳しい地域に行けば、ミニバンでディーゼルで四駆っていうと、このデリカが定番。そこに、軽自動車のデリカミニが出たおかげで、『デリカ』っていうブランドがもう一度再認識されるようになったという、非常に面白いケースかなと思う。

三菱デリカD;5シャモニー
三菱デリカD;5シャモニーはこんな雪深い中でも頼もしい走りだった

三菱のなかで、アウトランダーの電動化と並んで、デリカがもうひとつの柱になった。タイで作ったトライトンみたいなピックアップトラックも、三菱は日本にも入れるって言っているので、三菱自動車のなかでの柱が1本、2本、3本、しっかりできてきたなと思う。
そういう意味で、このデリカシリーズ。なかなか魅力的だね。雪はもうばっちりだ!

【SPECIFICATIONS】
車名:MITSUBISHI DELICA D:5 CHAMONIX
全長×全幅×全高:4800×1795×1875mm
ホイールベース:2850mm
トレッド(前/後):1540/1535mm
車両重量:1970kg
最小回転半径:5.6m
乗車定員:7/8名
エンジン型式/種類:4N14/直列4気筒DOHCディーゼル+ターボ
内径×行程:86.0×97.6mm
総排気量:2267cc
エンジン最高出力:107kW(145ps)/3500rpm
エンジン最大トルク:380Nm(38.7kgm)/2000rpm
燃料/タンク容量:軽油/64L
燃費 WLTCモード:12.6km/L
駆動方式:四輪駆動
トランスミッション:8速AT
サスペンション(前/後):マクファーソストラット/マルチリンク
ブレーキ(前/後):ベンチレーテッドディスク/ディスク
タイヤサイズ:225/55R18
車両本体価格(税込):4,557,300〜4,916,670円 

キーワードで検索する

著者プロフィール

清水和夫 近影

清水和夫

1954年生まれ東京出身/武蔵工業大学電子通信工学科卒業。1972年のラリーデビュー以来、N1耐久や全日本ツ…