ダイハツの「ブーンX4(クロスフォー)」デビュー。追加されたモンスターマシンは、ベースより約50万円高い175万円【今日は何の日?3月10日】

一年365日。毎日が何かの記念日である。本日3月10日は、ダイハツから人気の小型ファミリーカー・ブーンにスパルタンなホットモデル「ブーンX4」が追加された日だ。

モータースポーツのために追加されたホットモデルのブーンX4

2006(平成18)年3月10日、ダイハツはコンパクトカー「ブーン」にホットモデル「X4(クロスフォー)」を追加。X4シリーズは、ダイハツがモータースポーツに参戦するために設定した最強グレード、「ミラX4」に始まり、ブーンX4は4代目だ。

2006年にデビューしたホットモデルの「ブーンX4」

トヨタとの共同開発で誕生したコンパクトカー「ブーン/パッソ」

ダイハツは、1998年にトヨタが出資比率を34.5%から51.2%に引き上げたことで、トヨタの連結子会社になった。
これを機に、トヨタと共同でコンパクトカー「ブーン(ダイハツ)」/「パッソ(トヨタ)」の開発に着手。2004年にブーン/パッソはデビューを果たしたが、トヨタが生産をダイハツに委託するという形がとられ、一般的なOEM(相手先ブランド製造)とは異なる共同開発の兄弟車という位置付けになった。
丸みのあるエッジの効いたキュートなスタイリングに、パワートレインは最高出力71PSの1.0L直3 DOHCと、90PSの1.3L直4 DOHCの2機種エンジンと電子制御4ATの組み合わせ、駆動方式はFFとフルタイム4WDが用意された。小回りが効いて扱いやすいブーン/パッソは、1.0Lの上級グレードで税抜き104万円(2WD)/124万円(4WD)で販売されて人気の高いコンパクトカーとなった。

2004年にデビューした「ブーン」

レース参戦のために誕生したホットモデルのブーンX4

モータースポーツ参戦用のベースモデルとして追加されたブーンX4は、フロントバンパー以外に見た目は大きく変わらないが、心臓部であるエンジンはハイチューンされた高性能エンジンが搭載された。
そのエンジンは、ラリーやダートラなどの1.6L以下クラスに参戦可能な新開発の936cc直4 DOHCインタークーラー付ターボエンジンで、最高出力133PS/最大トルク13.5kgmを発生。JAF公認レースに出場する際のクラス分けは排気量で行われ、ターボ車は排気量に1.7を掛けた排気量に相当することになるので、936ccはギリギリ1.6L以下のクラスに入れるのだ。
トランスミッションは、クロスレシオの5速MT、駆動方式はVCU付センターデフ式のフルタイム4WDを搭載。さらにフロント/リアにスタビライザーやスポーツサスペンションなどを採用して、スポーツモデルとして優れた走破性と操縦安定性を発揮した。
車両価格は、税抜き175万円(標準)/195万円(ハイグレードパック)で、当時のベースのブーンよりも50万円ほど高額だったが、それだけの価値のあるモデルと言えた。

「ブーンX4」のボンネットにはエアスクープが設けられた

ダイハツ最強のモンスターマシンX4シリーズの歴史

ダイハツ最強を誇るホットモデルX4シリーズが初めて設定されたのは、1990年の4WDターボ「ミラTR-XX X4」。全日本ラリーやダートラに参戦し、ライバルのスズキ「アルトワークス」と激戦を繰り広げたが、徐々にアルトワークスが強さを発揮して、2代目「ミラTR-XX X4-R」では太刀打ちできない状況が続いた。
その後3代目となるX4は、軽ではなくブーンの先代にあたるストーリアをベースにした「ストーリアX4」となり、その後「ブーンX4」へと移行。ダイハツ最強のホットマシンとしてのX4は、一部のモータースポーツファンから支持されたが、2008年に起こったリーマンショックによる不況の煽りを受け、ダイハツはモータースポーツから撤退、残念ながらブーンX4も生産を終えることになった。

ミラTR-XX X4

ブーンX4が登場した当時は、リッターカーやホットモデルそのものの人気が低迷していたため、市場では実力通りの評価は得られなかった。スズキのアルトワークスも設定されなかったので、ホットモデル不遇の時代だったのだ。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。

キーワードで検索する

著者プロフィール

竹村 純 近影

竹村 純

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までを…