コンチネンタル「オールシーズンコンタクト 2」を徹底解説!安全性と走りの楽しさを兼ね備えたオールシーズンタイヤの進化とは?

コンチネンタルの新オールシーズンタイヤ「AllSeasonContact 2」のプレス向け説明会が開催された。前作の「AllSeasonContact」から転がり抵抗は6%、耐摩耗性が15%向上したでけでなく、ドライ&ウェット路面の性能向上、そして高い安全性を含め、全方位バランスに優れたオールシーズンタイヤへと進化を遂げたという。その内容に迫ってみよう。

TEXT&PHOTO:塚田勝弘(TSUKADA Katsuhiro)

多彩な国産車に適合し、バッテリーEVへの装着も想定

オールシーズンタイヤは、夏の路面から冬の軽微な雪道まで使用できる全天候型タイヤ。過酷な積雪や凍結路が走行できないものの、非降雪地帯などの急な降雪に対応できるため人気が高まっている。

2024年1月16日に発表されたコンチネンタルの新オールシーズンタイヤ「AllSeasonContact 2」。このほど、プレス向け説明会が開催された。商品概要は、既報のとおりだが、その詳細をお届けしよう。なお、発売サイズは、15~21インチの49サイズ展開と幅広く、18インチ以上幅の大径化にも対応。SSR(ランフラット)は5サイズ、ContiSeal(シール付タイヤ)は、8サイズが用意されている。価格はオープンプライスとなっている。

コンチネンタルタイヤ・ジャパンの代表取締役で、マネージング・ダイレクターを務めるニコラオス・キリアゾプロス氏は、オールシーズンタイヤの参入がライバルよりも遅れた点について、夏を中心とした季節はサマータイヤ、冬はウインタータイヤを履くという考え方があり、さらにオールシーズンタイヤを投入するにあたって、一切妥協したくなかったと説明。

「AllSeasonContact」に続く、2世代目である「AllSeasonContact 2」は、進化と革新を具現化したものであり、ドイツの自動車雑誌『sport auto』や『gute fahrt』などのプレスで行われた性能評価で数多くの高評価を得たと手応えを披露している。

右肩上がりのオールシーズンタイヤに新作を投入

続いて登壇したヘッド・オブ・マーケティングのフォンローロン・シュ氏は、オールシーズンタイヤの日本におけるシェアは1.6%(2023年、数量ベース)にとどまっているが、右肩上がりであり、2023年は2019年から約1.4倍(数量ベース)に伸張。前年比でも25%増になっているとオールシーズンタイヤのシェア拡大を示した。

プレゼンしたニコラオス・キリアゾプロス氏(右)、フォンローロン・シュ氏(中央)、小川直人氏(左)

安全性や夏タイヤから冬タイヤの履き替え(その逆も含む)という手間からの解放、環境への配慮、タイヤ&アルミホイールのセットで済むコスト面の利点など、ユーザーがそれぞれ求めるニーズに応えるため、性能面で全方位バランスに優れた「AllSeasonContact 2」を送り出したとプレゼンした。

「AllSeasonContact 2」は、燃費性能を重視する層にも最適とアピールしている。転がり抵抗は「B(JATMAラベルでは、aa)」を獲得し、前作の「AllSeasonContact」から転がり抵抗は6%、耐摩耗性は15%向上している。ウェット・ブレーキ性能は「B(JATMAラベルでは、b)」、静粛性も「B(JATMAラベルでは、低車外音タイヤ)」に該当する。

前作よりも転がり抵抗性能を6%、耐摩耗性を15%アップ

具体的な製品説明を行った技術サービス&トレーニングマネージャーの小川直人氏は、スタッドレスタイヤではないので、東北や北海道などの降雪地域では使えないものの、非降雪地域でのニーズに高いレベルで対応すると語る。燃費(電費)性能や耐摩耗性、ドライ&ウェット路面の性能向上、そして高い安全性を含め、全方位バランスに優れたオールシーズンタイヤとして、イザという時に応えるタイヤであることを強調していた。

V字シェープのトレッド・パターンであり、見た目からは一見すると「AllSeasonContact」からのキープコンセプトではあるものの、前作と比べた性能チャートからも分かるように、ほぼ全方位に渡って性能の進化が図られている。なお、耐ハイドロプレーニングが2%ダウンの98%になっているのは、前作の性能が高かったからであり、ブロックの大型化で剛性を高めたこともあり若干マイナスになったと説明。十分に許容範囲に入っている高性能だという。

電動車への対応では、ICEよりも重くなる車両重量増への目配りがされている。先述したように、転がり抵抗を6%、耐摩耗性を15%高めつつ、路面を問わず確かなグリップ力とブレーキ性能を発揮するとしている。なお、サイドウォールには、同社独自の「EVチェック・マーク」が表示されている。

サイドウォールのデザインは、同社の第7世代から採用されている「Continental」のブランド・ロゴが2つ入るほか、製品名、サイズ表記は刻印。さらに、1年を通じて使用できるオールシーズンタイヤのイメージを、四季の移り変わりで表現された「プレミアム・デザイン」が用意されているのも目を惹く。そのほか、いわゆるスノーフレークマークである「スリーピークマウンテン・スノーフレーク」が配置され、厳しい寒冷地でも性能を発揮できることを表示している。

オールシーズンタイヤのキモである、非降雪地域での急な降雪に対しては、シャーベット、スノー路面に対応し、アイス(氷上)では、乾いた路面や雪上、氷上などが交互に続くようなシーンでも安心して走行できるという。なお、高速道路のスノータイヤ規制下でも通行可能だ(もちろん、全車チェーン規制をのぞく)。

燃費、電費向上(航続距離の伸張)の技術面では、ロバスト性(堅牢性)も追求するため、エネルギーロスを削減する「スマート・エナジー・カーカス」を採用した。また、ロングライフに寄与する「オフセット・Vシェイプ・パターン&C字型ブロック」により、力の伝達を最適化。力の分散をすることで、ロングライフ性能が追求されている。

C字型ブロックは、中央部の剛性を高め、ハンドリング向上に寄与するという。また、オフセット・Vシェイプ・パターンとオープン・ショルダー・グループが高い排水性を担っている。

安全面では、同社独自の呼称である「チリ・コンパウンド」のコンパウンド・ブレンドが寄与していて、グリップを高める「ブラック・チリ」、耐摩耗性と堅牢性を高める「イエロー・チリ」、ウェット&ドライ路面での安全性を向上させる「レッド・チリ」、ウインター性能に寄与する「クール・チリ」、燃費効率を高める「グリーン・チリ2.0」をブレンドしている。

燃費(電費)性能向上をはじめ、ドライビングプレジャーの追求、安全性をより高めたコンチネンタルタイヤの「AllSeasonContact 2」は、コンチネンタルタイヤの全版路で展開することで、前作以上のシェア拡大を目指している。

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著者プロフィール

塚田 勝弘 近影

塚田 勝弘

中古車の広告代理店に数ヵ月勤務した後、自動車雑誌2誌の編集者、モノ系雑誌の編集者を経て、新車やカー…