垂れてしまったルーフライナーをDIYで交換する! 中古ジャガーあるあるな天井のヘタリを直そう! 【XK8購入記Vol.9】

中古ジャガーだけでなく輸入車全般で見られるのが天井の垂れ。年数とともにへたるのは仕方ないが、そのままではみっともないし乗るたびに頭に触れると気になる。ただ、直すには相応の予算が必要だ。そこでDIYで直せないか考えてみた。
PHOTO&REPORT●増田 満(MASUDA Mitsuru)
乗るたびに惚れ惚れするインテリア。

前回の記事から5ヶ月も経ってしまったので、もはや持ちきれなくて手放したのだろうとお思いの方もいることだろう。ところがどっこい、まだまだジャガーXK8のある生活を満喫している。その間に17インチの純正ホイールを手に入れ車検を受けたりと出費が続いたのだが、記事にしたくても時間がなくてできなかった。11月と2月にムックの製作を請け負っていたからで、手のかかるXK8を維持するなら仕事を頑張りなさいということだ。

天井が見事に垂れ落ちている。

17インチホイールや車検のことは追って報告するとして、ようやく普段の暇なライターに戻ったところで懸案だったインテリアに手をつけた。ジャガーは古くなるとどうしても天井が垂れてくる。これは日本の気候と合っていないからなどの理由がよく挙げられるが、そんなことはない。イギリス本国でもしっかり垂れてくるようで、お困りのオーナーは世界中にいる。ところがさすがはイギリスで、なんと社外品で補修用ルーフライナーを売っているのだ。

天井のヤレは外からでもわかるほど進行していた。

日本国内で天井を張り替える業者は数多く存在する。そうした専門店へ修理を依頼すると、XK8などの場合は10万円前後の費用がかかる。そこで以前の記事でAピラー内張をDIYで張り替えて天井の予行演習とした。だが、相手は天井であり広大な面積がある。これをシワなく張り替えるには熟練仕事が必要だろう。そこでネットで検索していると、イギリス人オーナーが自らルーフライナーを交換している動画を見つけた。視聴してみるとイギリスの業者が社外品を製作して販売していると判明した。

eBayで購入したルーフライナーは巨大な段ボールで届けられた。

そこで検索の輪を広げてみると日本でもeBayを通じて購入することができると判明。しかもルーフライナーは単体で120イギリスポンドで購入時のレートだと日本円にして2万円少々。さらに国際便での送料が100ポンドほどかかったので4万円前後で手に入れることができた。気になるのは配送時間だが、2週間ほどの期間で無事届いた。初めてイギリスから個人輸入をしたのだが、現在ではeBayは日本語で使用できるので誰でも個人輸入ができる。なんともいい時代になったものだ。しかも親切な業者のようで、段ボールの中にAピラー用と思える張り替え用の生地まで付属していた。

1枚ものだから当然だが大きい。果たして入るのか?
裏から見ると繊維を固めたものだとわかる。

届いたルーフライナーは我がXK8のインテリアカラーであるオートミール。FRPのような繊維を固めたものだが、柔軟性があるため狭い室内へも曲げて入れることができる。表皮に張られているのは純正と似た生地なので、違和感なく使えそうだ。これで10年くらい保ってくれたら御の字というもの。早速交換してみよう。

まずサンバイザーを外す。

元のルーフライナーを外すには、まずサンバイザーを取り外すことから始める。バイザー根元の部品はプラスチックのフタがされていて、パチンと外せば内部に2本のプラスネジがあることを目視できる。ドライバーで緩めて取り外そう。

フタを外すと2本のプラスネジが見える。
受け側も中央のフタを外してプラスネジを取り出す。

続いてサンバイザーを受けている側も取り外す。中央のフタを持ち上げてプラスネジを1本外すだけ。ネジを外したら部品をルーフライナーから手で外す。すると内部から配線が出てくる。これはサンバイザー裏側にあるミラーの照明用で、そのままだとルーフライナーから取り出せない。

中央のルームランプ部は手で外せる。

配線があるままだと部品を外せないので、次にルームランプが2個装備されてる部品を外す。ここはネジなどなくはまっているだけなので、手の力だけで外すことができる。天井側にある黄色のコネクターを外すとサンバイザーの受け側をルーフライナーから引き出すことができる。

リヤクオーターのフックもサンバイザー同様に外す。

続いてリヤクオーターにあるフックを外そう。ここも中央のフタを持ち上げると内部にプラスネジがあるので、これを緩めて外す。さらにプラスチック部を手で引っ張ると何箇所かで固定されているフックが外れる。これでルーフライナーを緩めることができるようになるのだ。

Aピラー内張を外してルーフライナーをフリーにする。

さらにAピラー内張を外すとフロント側もフリーになるので、ルーフライナー全体を外すことができる。ただし、ここからは結構大変。前側は苦労なく外せるのだが、リヤ側のプラスチック部品からルーフライナーを引き出すのに苦労する。プラスチック部品を持ち上げるようにしつつ、ルーフライナーを引き出すのだが、そのままでは難しいというかほぼ無理。そこでルーフライナーの一部を折るようにすると片側を引き出すことができる。一方を外せば残りの側は苦労することなく引き出すことができる。

リヤ側を外すのに苦労する。

ここまでルーフライナーが外れても、そのまま車外に出すことはできない。なぜかといえばリヤ側にもルームランプがあるためだ。そこで天井とルーフライナーの間に体を潜らせルームランプの配線をコネクター部で切り離す。これにてようやく車外へルーフライナーを取り出す準備ができた。

ルーフライナーを折り曲げて車内から引き出す。

本来ならフロントシートを外せばスムーズに取り出すことができるのだが、購入した新品もそうだが付いているルーフライナーも柔軟性がある。そこで一部を折りたたむようにして干渉する部分を逃せば車外へ無事に引き出すことができるのだ。

リヤのルームランプは配線を抜いてランプ本体も外す。

リヤ側から垂れているのがルームランプの配線だ。その近くで天井のフレーム部後ろに丸くて黒いものが確認できる。これは何かといえば、ルーフライナー側にもあるマジックテープの受け側。つまり、元から付いていたルーフライナーにあるマジックテープを再利用する必要がある。

マジックテープとルームランプを古いものから新しいものへ移植する。

実は今回の作業で一番時間がかかったのが、マジックテープを固定していた両面テープの残りを剥がすことだった。こんなに面倒なら新品のマジックテープを用意しておけば良かったと後悔するほど地道に時間がかかった。古い両面テープを剥がしたら新しい両面テープを貼り直して新品のルーフライナーに移植する。またルーフライナーを車内へ入れてからだと作業するスペースが狭くて大変なので、この時点でリヤ側のルームランプも取り付けておいた。

外すのと逆の手順で組み付ける。

新品のルーフライナーを組み付けるのは、取り外した手順の逆を行えば良い。これで気分良く運転することができるようになった。実は車検を取得した後、塗装を手直しすることになった。作業は以前に取材でお世話になった板金塗装屋さんにお願いしたので、丁寧な仕事をしてくれた。おかげでXK8の外装はツヤツヤになった。以前は部分的にクリアが劣化している個所があったのだが、それが見事に解消されたのだ。ただ、外装がキレイになると余計に垂れた天井が気になっていた。これでどこへ出しても恥ずかしくない状態にすることができた。

ルームランプは点灯することをしっかり確認する。

4万円少々でルーフライナーを交換できるとわかったので、今後10年以上乗り続けるかは不明だが再発したとしても気にすることなく同じことをすれば良い。問題は耐久性がどこまであるかだろう。また今回の作業で両面テープ剥がし同様に大変だったのが、古いルーフライナーから出てくるスポンジカス。作業しているとあちこちからスポンジカスが落ちてくるので、作業中はマスクが必須。さらに作業後に室内を掃除することにもなった。かれこれの所要時間は室内清掃含めて3時間ほど。4万円と3時間でルーフライナーを交換できるのだから、天井の垂れにお悩みなら一考してもらえると幸いだ。

キーワードで検索する

著者プロフィール

増田満 近影

増田満

小学生時代にスーパーカーブームが巻き起こり後楽園球場へ足を運んだ世代。大学卒業後は自動車雑誌編集部…