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ラリーの魅力ってなに?
皆さん、ラリーの魅力ってなんだと思いますか?
よく言われるのが、公道を駆け抜けていく迫力。観客との近さ。どんな道、環境でもアタックしていくところ…などがあげられています。
開催地域の公道を走る事から、リエゾン(移動区間)ではその土地のルールに従い走行し、SS(スペシャルステージ)ではアタックする。レースとは違う魅力が詰まっているのです!
ラリーを始めて私が1番感じたことは、ラリーをやっている人のコミュニケーション能力の高さです。
レースでも、トップの方はエンジニアさんに伝える能力が優れている、しっかり自分の言葉で伝えられないとマシン作りができない!と言われていますが、ラリーもこの部分では同じです。
サービス時間を短縮できるのもコミュニケーション能力
ラリーは、サービスという、メカニックさんがマシンに触れられる時間も決まっているので(しかもサービスパーク内のみ)、トラブルがあった時はもちろん、何か変化があればサービスパークへ戻る前に、コ・ドライバーは整備して欲しい内容をチームに連絡しなければならないのです。
サービスパークに着いてから整備することを決めたり、伝えていては時間内に整備が終わらないこともあるため、迷っていることがない場合は、サービスパークに入る前に連絡を済ませ、その準備をしてもらってからサービスに入る、という流れなのです。
こうしたチームとの連携をとるためにもコミュニケーション能力は必要ですが、他の部分でも実は大切なのです。
サーキットで行なうレースと違ってコース図がわかっており、覚えて周回するわけではなく、レッキと言われる2回の下見走行でしかアタックする道を走ることができません。
また、覚えきることも難しいために「ペースノート」というものがあるのです。
例えば、前日に雨が降っていたらだんだん路面は乾いていきます。そういった状況や危ない箇所など、自分たちでももちろんレッキ中に確認するのですが、ライバルたちとの会話から再確認できる事もあります。
クラスが同じだとライバルですが、そうでない時はお互いに「あの場所が危なかったね」という時もありますし、ライバルでも実際に車両に傷があったり何かトラブルが起きた時は、レッキの時と状況が変わっている可能性もあるので、「なにがあったのか」など、余裕がある時は聞きにいったりもします。
ライバルでも助け合う競技がラリー
ラリーを始めた時、「後ろのゼッケンの人には必ず絶対に挨拶をしに行って!」と言われました。初めましての人だとなおさらです。
なぜかというと、ラリーはオフィシャルやメディカルスタッフさんが何かあった時に助けてはくれるのですが、サーキットのようにずっと走りを見てもらって、トラブル時にポストで赤旗を振って止めてもらえる、という仕組みはありません。
1分後に来る後続車が、その次に来る車両に緊急な事やスピードを落とすことを伝え、その伝えられた車両がラジオポイントというオフィシャルがいる場所に伝えにいくルールになっているのです。
最近の車両にはGPSのトラッキングを積んでいて、そのボタンを押すことでより早く緊急対応ができ、状況把握を迅速にクリアにできるようになりましたが、万が一の時は選手同士の助け合いもあるのがラリーです。
実際に、2024年3月1日~3日、愛知県蒲郡市で行なわれた全日本ラリー選手権の開幕戦「RALLY三河湾2024 supported by AICELLO」でも、急に車両から火が出てしまい、止まった車両の消火をラリールールに従いながらその後続車は行なっていた、というお話を聞きました。
コース状況を教え合ってラリー競技を安全に進める
私はまだこの経験はないのですが、こういった事もあるので、ある程度どんな顔の人でなんという名前かは知っておくこと、また、万が一の時に助けてもらうかもしれないので、挨拶をしておかないといけないのです。
特に、1日目はエントリー順なので、同じクラスの選手が前後となる可能性が高いですが、2日目からは1日目のタイムで走行順が決まるのでクラスもバラバラ。
もしSSに向けての準備が終わり、TC(タイムコントロール)前(リエゾン区間の最後の方)で時間が余ると、情報収集やリラックスタイムに使えるのですが、知らない方だとなかなか情報も収集できなかったりするのです。
全日本ラリー選手権だと競技日程は2日間ですが、ラリージャパンでは木・金・土・日曜日と続くので、いいバトルをしていない限りは前後が結構入れ替わる可能性が高いのです。
こういったときにコミュニケーション能力が高いと、挨拶も含めて仲良くなれ、またいろんな情報を知ることができるようにもなるのです。
ラリーは自分の判断能力もですが、情報収集能力も高い方が有利になるので、本当にコミュニケーション能力が高くないとできないなと毎回感じています。
最初は「私ってコミュニケーション下手かな…」と不安になるくらいでしたが、いろんな先輩方にたくさんのことを教えて頂き、少しは慣れてきた気がします。
また、モリゾウチャレンジカップでは、ライバルたちとの面白い会話や、戦友というような発言が第1戦のラリー三河湾からあったので、次回はそんなお話の予定です!!