ホンダが米国で高級車ブランド「アキュラ」を設立、欧米の高級車に対抗【今日は何の日?3月27日】

アキュラ
ホンダが米国で高級車ブランド「アキュラ」を設立
一年365日。毎日が何かの記念日である。本日3月27日は、ホンダがベルセデス・ベンツやBMWなど欧米の高級車ブランドに対抗するため、米国での高級車ブランド「ACURA(アキュラ)」を立ち上げた日だ。
TEXT:竹村 純(Jun TAKEMURA)

日本メーカーの先陣を切って米国で高級車ブランドを開業

1986(昭和61)年3月27日、ホンダは米国で高級車ブランド「アキュラ(ACURA)」を開業。アキュラは、日本の自動車メーカーとして初の海外向け高級ブランドであり、続いて3年後の1989年にはトヨタが「レクサス」、日産自動車が「インフィニティ」ブランドを立ち上げた。

アキュラ・レジェンド
1986年にアキュラ立ち上げとともに米国デビューした「アキュラ・レジェンド」

米国での高級車ジャンルへのホンダの挑戦

ホンダは、1973年に当時世界一厳しかった厳しい排ガス規制“マスキー法”を世界で初めてクリア、そのCVCCエンジンを搭載した「シビック」が大ヒット。それが呼び水となり、他の日本メーカーも米国進出の道が切り開かれた。日本の小型車は、優れた排ガス低減技術や低燃費技術、高い品質を背景に、米国市場を席巻するまでに成長した。

シビック
1972年に誕生した初代「シビック」、翌年マスキー法をクリアしたCVCCエンジンを搭載

日本車の高い人気は“日米貿易摩擦”にまで発展し、日本メーカーは輸出自主規制に追い込まれるが、その対応として米国での現地生産をスタートさせ、ホンダ「アコード」やトヨタ「カムリ」はベストセラーとなり、現在も好調を続けている。

しかし、好調の日本車にとって手つかずのカテゴリーがあった。それは、米国のリンカーンやキャデラック、欧州のメルセデス・ベンツ、BMWが席巻していた高級車市場だ。日本車は、あくまで庶民派の小型車のリーダーであり、高級車のイメージは皆無だった。
米国進出と米国での現地生産のパイオニアとして成功したホンダは、次のターゲットとしてこの未開拓の高級車市場への挑戦を決断したのだ。

高級ブランド設立も日本メーカー初

ホンダは1986年、日本メーカーとして初の海外向け高級車ブランド“アキュラ”を立ち上げた。高級車でも比較的若い30歳~40歳代をターゲットに、既存の伝統的な高級車にはないホンダらしさを強調すれば勝算があると考えたのだ。

アキュラ・インテグラ
1986年にアキュラ立ち上げとともに米国デビューした「アキュラ・インテグラ」

開業とともに全米60店舗のディーラーを通して、「アキュラ・レジェンド」と「アキュラ・インテグラ」の販売を開始。当初は、車名に“アキュラ・(+日本車名)”のようなネーミングを使っていたが、その後RLXなどの英文字表記に変更。
現在のアキュラブランドは、セダンとSUVが中心だが、スーパースポーツ「NSX」はアキュラでもフラッグシップとして君臨。
最近の人気モデルは、2022年にデビューし日本でも話題を集めたスポーツコンパクトセダン「インテグラ」、プレミアムスポーツセダン「TLX」、ミドルサイズのSUV「RDX」とフラッグシップSUV「MDX」、世界的なSUVブームのなか、やはり高級セダンより高級SUVが人気のようだ。

RDX
2007年にデビューしたアキュラ「RDX」

レクサスとインフィニティが追走

アキュラに続いて、1989年にトヨタがレクサス、同じく日産がインフィニティと名付けた高級ブランドを立ち上げた。

LS400(セルシオ)
1989年にレクサス立ち上げとともにデビューしたLS400(セルシオ)

・レクサス
最初のモデルは、大型セダンの「LS400(日本名:セルシオ)」。レクサスは、1999年から2011年まで高級車ブランド販売で連続トップになる評価を獲得。2005年から日本でもレクサスを開業したが、日本では欧州高級車の人気にやや押されぎみである。

・インフィニティ
最初のモデルは、「レクサスLS400」に対抗して投入された「Q45」。「スカイライン」や「セフィーロ」などもインフィニティブランドで販売され、現在は高級SUVが世界で人気を獲得している。

アキュラブランドの日本投入も計画されていたが、2008年のリーマンショック等の影響もあり、立ち消えになった。現在のホンダは、日本市場では軽自動車と小型車にシフト、だからアキュラの日本投入は難しいのではないか?ではなく、だからこそアキュラのプレミアムモデルを投入するという一手はないのだろうか。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。

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著者プロフィール

竹村 純 近影

竹村 純

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までを…