市販品の技術をレースに投入? フォーミュラEの“溝つきタイヤ”に求められる特殊性【MF的フォーミュラEひとくち解説 その7】

FIAフォーミュラE世界選手権の第5戦東京E-Prixはいよいよ今週末に開催される。東京ビッグサイトの敷地内と周辺の公道が舞台となるが、そこを走るマシンのタイヤはどのようなものなのか?

フォーミュラEではモーターやインバーター、ギヤボックスなど、リヤのパワートレイン周りを除いて全チームが同じシャシーを使用するワンメイク形式が採られている。使用されるタイヤもまた、2014年のシリーズ発足から一貫してワンメイクとされており、昨シーズンからはハンコックがサプライヤーを務めている。

一般的にレースで用いられるタイヤとしてイメージされるのは、溝のないいわゆるスリックタイヤだろう。しかし、フォーミュラEのタイヤは市販車向けのように溝が掘られている。これはサステナビリティの観点から、ドライとウェットの両方を一種類のタイヤで対応するためで、オールウェザータイヤと呼ばれている。
現行の第3世代マシン「Gen3」に使用されるタイヤのサイズは、フロントが255/40 R18、315/40 R18と、比較的市販車に近い大きさだ。

年間カレンダーにおける市街地レースの比率が高いフォーミュラEでは、通常の競技用スリックタイヤとは求められる性能がやや異なる。パーマネントサーキットとは違い、市街地では凹凸があったり、白線など滑りやすい路面があったりするため、あらゆるコンディションにしっかりと対応し、なおかつイベントを確実に走り切ることが求められる。そこで現在のサプライヤーであるハンコックは、トレッドコンパウンドやパターンなど、市販車用タイヤで実績のある技術を投入したという。「レースで培った技術を市販領域に」というのはよく聞くことだが、それとは逆のパターンである。

またタイヤの30%を天然ゴムと再生繊維が占めており、すべてのタイヤはレース後に完全にリサイクルされるのも、現在のフォーミュラEのタイヤが持つ大きな特徴のひとつと言える。

ちなみに、各レースで使用できるタイヤはフロント4本、リヤ4本まで。また、週末に2レースが行われる“ダブルヘッダー”においては、フロント6本、リヤ6本までとされており、週末を通してのタイヤの使い方も勝負を分けるポイントのひとつになる。

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