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車重や重心高に合わせたホイールが標準装着タイヤの性能を引き出す
1994年、ホンダ・ビガーの純正アルミホイールとして誕生したのが「Modulo(モデューロ)」ブランド。つまり2024年はモデューロ30周年の記念すべき年だ。
というわけで、ホンダの純正アルミホイールを担うホンダアクセスが『Modulo 30th Anniversary EXPO』なるメディア向けのイベントを開催した。モデューロの歴史を知ることのできる懐かしいデモカーや、モデューロの走りを支える重要なファクターである「実効空力」の開発フローを疑似体験できるアトラクションの用意などあったが、やはり注目なのはモデューロの未来を示す新作アルミホイールの比較試乗だろう。
2024年春にマイナーチェンジを控えるヴェゼル、そのために開発されたモデューロの新作アルミホイール「MS-050 」をひと足早くテストドライブする機会を与えられた。
比較に使われたのはハイブリッドAWDパワートレインのヴェゼルでともに2021年式。ホンダアクセスが純正アクセサリーとして用意するエアロパーツを装着、どちらもミシュラン製の標準装着タイヤを履いているなど、ホイール以外はイコールコンディションでの試乗となった。
結論をいえば、新作アルミホイール「MS-050」を履いたマシンは、明らかにグリップ力が高まっていた。もともとミシュランのタイヤはサイドウォールをしならせてトレッド面をしっかり接地させる傾向にあるが、そうした特性がより引き出され、ステアリングをグイグイ切り込んでいっても、しっかりとタイヤが接地している感覚が味わえた。
誤解を恐れずにいうながら、まるでタイヤ銘柄が違っているようなレベルでコーナリング性能、コントロール性が異なっていた。
剛性バランスを考慮したホイール設計はModuloの伝統でもある
これまでもS660やフィットをベースにホンダアクセスの知見を盛り込んだコンプリートカー「Modulo X」に試乗した経験からすると、アルミホイールによるフィーリングやパフォーマンスの違いは驚くことではないとも思う。
近年のホンダアクセスは「ホイールもサスペンションの一部」という設計思想から、適度にしなるホイールを設計しているからだ。スポークの形状やリム厚などを最適化するというのが、その具体的な手法となっている。
もっとも、ホイールのしならせ具合というのは車重やタイヤグリップによって異なってくるし、動的な荷重移動まで考慮すると重心高も影響してくる。つまり車種ごとに専用設計としなければ理想的な「しなり」を持つアルミホイールを実現することはできない。
ホンダアクセスは純正アクセサリーを企画・設計する企業であり、車種ごとに専用ホイールをラインナップすることはビジネスモデルとして難しくない。だからこそ、サスペンションの一部として適度にしなるアルミホイールを生み出すことができるのだ。
そうはいっても、これほどの効果があるというのは想像の範囲を超えていた。少なくとも標準装着のサスペンションやタイヤとの組み合わせを前提とするのであれば、ホンダアクセスのアルミホイールはベストチョイスとなるだろう。
モデューロの伝統を受け継ぐ、新作ホイール恐るべしである。
ヴェゼルのマイナーチェンジで「スポーツスタイル」を新設定
この新作アルミホイール「MS-050」は、ヴェゼル専用に開発されているという。そして、ご存知のようにヴェゼルは2024年春にマイナーチェンジを控えている。「MS-050」は、そのマイナーチェンジに合わせた純正アクセサリー・チューニングの目玉となるわけだ。
同時に、ホンダアクセスは「Sports Style(スポーツスタイル)」と名付けたコーディネートを追加するという。このコーディネートに含まれるアイテムとしては、上部に突起を持つテールゲートスポイラーの実効空力性能も気になるところだ。
ちなみに、新作アルミホイール「MS-050」も、車両全体に合わせたしなりだけでなく、空力を考慮したデザインにもなっているという。剛性コントロールと実効空力によって4輪の接地フィーリングを高めたヴェゼルが、どんな走りを見せてくれるのかも楽しみだ。