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昔と今では、AMGのレースからのフィードバックは異なっている!?
9年ぶりにフルモデルチェンジを受けた新型「メルセデス AMG GTクーペ」が2024年4月2日に発表、同日から予約注文を開始した。2022年10月に発表された「メルセデス AMG SL」とプラットフォームを共用する。新型メルセデス AMG GTクーペは、超一級のスポーツ性能を備えながらも優れた快適性を確保し、ラグジュアリーモデルとしての顔も併せ持っている。ここでは、六本木の「Mercedes Me Tokyo」で行われたプレスカンファレンスの様子をお届けする。
メルセデス・ベンツ日本の上野金太郎社長は、「1967年に設立されたAMGは、現在、カスタマーレーシング向けとしてGT3、GT4を購入していただき、グローバルで300を超えるレースに参戦しています。日本ではスーパーGT、スーパー耐久シリーズでも活躍しています。デイトナ24時間やセブリング12時間レースでもクラス優勝をしていて、市販車にもその技術をフィードバックしています。
今では、サーキットのノウハウを取り入れているAMGですが、以前は、メルセデス・ベンツの市販車をベースに、パワートレーンの高性能化、スポーティなエクステリア、ラグジュアリーなインテリアなどに仕立ててきました。転機となりましたのは、2015年に発表しましたAMG初の独自開発スポーツカーであるSLS AMGです。ガルウイングドア、 ロングノーズ&ショートデッキによるデザインは美しく、圧倒的な存在感のスタイリングの中にスポーツカーのパフォーマンスを備えるモデルで、クーペとロードスターを揃え、後にハイパフォーマンスのSLS AMG GTを加えました。
2015年には、SLS AMGの後継モデルとして、初代メルセデス AMG GTを発表。メルセデスAMGのスピリットを備え、多くの方に愛されてきました。世界各地のスーパーGT、スーパー耐久レースやF1のセーフティカートしても活躍しています」と歴史を振り返った。
日本でのAMG人気は世界でも5本の指に入る
続けて、上野社長は「AMGの販売に目を向けると、日本での人気は高く、年々販売台数が伸びています。コンパクトな35モデル、2.0L最強エンジンを搭載する45モデル、日常での使用やワインディングでのスポーティな走行もこなす43モデルや53モデルの追加により、新たなファンを獲得しているのが要因です。全世界で日本市場は常に5番以内に入っていて、メルセデスAMG本社でも重要なマーケットとして位置づけしています」と日本におけるAMGモデルの人気、定着ぶりを紹介。
最後に「そして、新型メルセデス AMG GTクーペは、先代よりも性能がさらに向上し、2+2シートとトランクスルー機能を備え、利便性も向上させました。サーキットを速く走る性能を落とすことなく、とくにワインディングでの走りの楽しさを追求しました」と締めくくった。
■2+2のリヤシートは、身長150cmまでに対応
新型メルセデス AMG GTクーペは、先代の2シーターから、オプションで「2+2」シーターも選択できるようになったのがトピックス。リヤシートは、身長150cmまで(チャイルドシート装着時は135cmまで)で、なお、身長171cmの筆者もトライしたが、当然ながらまともに着座することはできなかった。なお、荷室容量もスーパーラグジュアリースポーツとしては大容量で、2シーター仕様は321L、オプションの可倒式リヤシート装着時は、後席を前倒しすることで675Lを確保。さらに、荷室下にもサブトランクまで備えている。
また、駆動方式では初代のFRから4WDに変更された。新型は、トルク配分を「50:50〜0:100」まで連続可変させることが可能で、4WDにもFRにも切り替わる。ドリフトモードにすると、「0:100」に固定されるという。
搭載されるパワートレーンは、改良版の4.0L V8ツインターボで、最高出力は585PS(430kW)、最大トルクは800Nm。先代よりも最高出力は55PS、最大トルクも130Nmも増強した。なお、「Mercedes-AMG SL 63 4MATIC+」と同様に、BSG(ISGも)は組み合わされておらず、純ガソリンエンジン車となっている。トルコンの代わりに湿式多板クラッチを使う「AMG スピードシフト MCT 9速トランスミッション」が組み合わされ、0-100km/h加速を3.2秒でクリアする(欧州仕様値)。スポーツカートしても一級の性能を備えている。
エクステリアは、ロングノーズ&ショートデッキによるシルエットはそのままに、洗練されたエッジのない面による、抑揚の効いた美しさが際立っている。ワイドで低く構えたフロントグリルやファストバックのように美しい弧を描くリヤビューが印象的だ。ディテールでは、最近のメルセデスお馴染みのシームレスドアハンドルがサイドの美しさに寄与し、足元では21インチの鍛造アルミホイールが迫力あるスタイリングを強調している。
インテリアは、航空機からインスパイアされたという左右対称のダッシュボードをはじめ、大型の11.9インチ縦型メディアディスプレイ、12.3インチのデジタルコクピットディスプレイ(メーターパネル)が配置され、「ハイパーアナログ」を謳っている。
ステアリング位置は、先代は左右ともに設定されていたが(タイプによる)、導入時の「メルセデス AMG GT 63 4MATIC+ クーペ」は左ハンドルのみで、価格は2750万円となっている。
なお、メルセデス ミー 東京では、2024年4月3日〜ゴールデンウィーク明け(予定)まで「IWC AMG ヒストリカルウォッチコレクション」の特別展示や「F1 2024 最新コレクション」の限定販売、AMG Driving Catcherやスロットカーなど、新型AMG GTクーペに合わせたイベントが開催される。また、メルセデス ミー 大阪でも5月2日〜6日まで新型AMG GTクーペの展示やメルセデスAMG EQモデルを含めた最新メルセデスAMG車両の展示が行われる予定になっている。