【新型メルセデス・ベンツEクラスを○△✕で判定】○は静粛性と走りの良さ!×は乗り心地か…?

SUV全盛の時代にあってもメルセデス・ベンツにとってミディアムクラスから続くEクラスは、同社の屋台骨を支える基幹モデルだ。「東京オートサロン2024」で発表された6代目の新型は、セダンとステーションワゴンを設定し、全車電動化(マイルドハイブリッドのISG、プラグインハイブリッドのPHEV)された。メルセデス・ベンツ最新のセダン、ステーションワゴンの○、△、×を判定してみた。

TEXT&PHOTO:塚田勝弘(TSUKADA Katsuhiro)

全車電動化でマイルドハイブリッドとPHEVを設定

「東京オートサロン2024」で発表された6代目となる新型Eクラス

Eクラスが採用するプラットフォーム「MRA2(Modular Rear Architecture)」は、現行Cクラス、Sクラスと同じ。筆者が試乗したのは2モデル。まず、ベーシックな「E 200(AVANTGARDE)」は、新開発の2.0L直列4気筒ガソリンターボに、マイルドハイブリッドの「ISG(Integrated Starter Generator)」が組み合わされている。エンジン単体で最高出力204PS(150kW)、最大トルク320Nmを発揮し、ISGにより短時間だが最大で23PS(17kW)、205Nmを加勢される。なお、WLTCモード燃費は14.3km/L。

もう1台は、プラグインハイブリッドの「E 350 e Sports Edition Star」で、「E 200」と同様に、150kW(204PS)/320Nmを発揮する2.0L直列4気筒ガソリンターボに、95kW(129PS)/440Nmのモーターが組み合わされ、システムトータルでの出力は、312PS(230kW)に達している。なお、WLTCモード燃費は12.7km/Lで、EV航続距離(EV走行換算距離)は112km、140km/hまでのモーター走行に対応。

そのほか、今回は試乗できなかったが、197PS(145kW)、440Nmの2.0L直列4気筒ディーゼルターボを積む「E 200 d」も用意している。WLTCモード燃費は18.5km/L。

「 新型Eクラスの○」走りで選ぶなら「リヤ・アクスルステアリング」装着車が欲しい!

アッパーミドルサイズ(ワゴン)に求められるのは、内外装の見た目や質感はもちろん、居住性や積載性、走りの良さなどだろう。まず○は、PHEVの「E 350 e Sports Edition Star」の洗練された走りっぷりだ。同グレードでは、「ドライバーズ・パッケージ(40万9000円)」を選択すると、「リヤ・アクスルステアリング」が含まれる。

こちらは、セダンの最小回転半径5.0mという小回り性能の高さがもちろん美点だ。極低速域から60km/h以下での逆位相域で勝手に内に内に切れていくような、違和感はほとんど抱かせない。さらに、パワステの重さも4WSにありがちな、やたらと軽く感じさせることもない。60km/h以上になると、同位相になるが、「リヤ・アクスルステアリング」なしと比べると、高速道路でのレーンチェンジなどの大きな動きだけでなく、コーナーでの姿勢も安定している。無意識に修正舵を当てるようなシーンも減っているように感じられた。全体的にしなやかで、ハンドリングの良さを重視するのであれば、「リヤ・アクスルステアリング」が標準になる「E 300 エクスクルーシブ」もしくは、オプションで選べるこのPHEV仕様がベストチョイスになりそうだ。

「 新型Eクラスの○」PHEVモデルの際立つ静粛性も高評価!

また、Cクラスに対して優位性を実感させるのは、静粛性の高さ。周波数が高く耳につく風切り音対策として、ドアやサイドウインドウ、ドアミラーのシールに対策を施したとするが、高速域でも静かななのはもちろん、吸音材が多用された際の副作用、耳が詰まるような違和感も抱かせない。

なお、モーターアシストや静粛性の高さでも際立っているのは、PHEVの「E 350 e Sports Edition Star」だ。ロードノイズの遮断も含めて「E 200」よりも静か。もちろん、エンジンが掛からずに走行できる利点も大きい。先述したように、EV走行換算距離は、112kmと短めなので、油断しているとあっという間に減ってくるものの、高速道路も含めて街中での大半をモーター走行でクリアする。低速域からスムーズで力強く、2.2t級の重さを感じさせないほどの冴えを披露する。

そのほか、後席レッグスペースにも必要十分な余裕がある。身長171cmの筆者が運転姿勢を決めた後ろ(後席)には、こぶしが縦に3つ分、頭上には1つ分の空間が残っていた。前席下への足入れ性も良好そのもの。時間が限られていたため、細かな計測やチェックはできなかったが、少なくても2960mmのロングホイールベースに期待される後席居住性は担保されていた。

「 新型Eクラスの△」PHEV化による荷室容量の減少が顕著に…。

新型Eクラスの△は、PHEVのこうした利点をもたらす電動化とトレードオフになっているトランク容量への影響だ。「E 200」は、540Lという文句なしの容量だが、「E 350 e」は床下に駆動用バッテリーを積むため、370Lまで減ってしまう点。そのほか、筆者と相性があまり良くないのか、最近お馴染みのシームレスドアハンドルが一度では反応せずに、何度かやり直さないとドアハンドルが展開されず乗り込めなかったこと。

350eの通常時トランク

また、あまりにも多機能過ぎてセンターディスプレイで使いたい機能を容易に呼び出せないことも挙げられる。最新バージョンの「MBUX」は、数年単位でアップデートされているようだが、慣れれば音声対話型インフォテイメントシステムとしては、トップクラスではあるものの、対話(発話)に慣れが必要なのは間違いなく、花粉症でマスクをしているとマイクが反応しないことも度々あった。

「 新型Eクラスの×」低速域での揺すぶられるような乗り心地はなぜ?

×は「E 200」、「E 350 e」ともに、低速域での乗り心地だ。装着タイヤを問わず、左右に揺すぶられるような乗り味で、40km/hくらい以上になると落ち着いてくるものの、ストップ&ゴーの多い街中ではこの速度域が多く、Cクラスでも感じられた。Sクラスになると、重厚感があり、よりフラットライドを享受できるため、EクラスとSクラスとの差は小さくない。

なお、装着タイヤは、両モデルともにミシュラン・eプライマシーで、「E 200」は245/40R20、「E 350 e」は245/45R19。eプライマシーを履いた他のモデルには何度も乗ったことがあるものの、低速域での渋さはあまり感じたことはなく、「MO」タイヤということもあり、メルセデスの意向が盛り込まれていることもあるのかもしれない。

そのほか、筆者は慣れてしまったが、お馴染みのステアリング右側にあるシフトレバーなども初めてメルセデス・ベンツに乗る人は、ウインカーと間違えないように注意する必要がある。シームレスドアハンドル、「MBUX」と機能が多彩過ぎて、階層も深くなりがちなセンターディスプレイなど、ユーザーインターフェイス全般に慣れが必要なのも惜しい点だ。

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9年ぶりフルモデルチェンジの新型「メルセデス AMG GTクーペ」が国内登場!585psの4WDで「2+2」シートも設定し使い勝手が向上!

メルセデス・ベンツ日本は、2024年4月2日に新型「メルセデス AMG GTクーペ」を発表した。じつに9年ぶりのフルモデルチェンジとなる。2022年10月に発表された「メルセデス AMG SL」とプラットフォームを共用する新型メルセデス AMG GTクーペは、超一級のスポーツ性能を備えながらも、ラグジュアリーモデルとしての顔も併せ持っている。

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著者プロフィール

塚田 勝弘 近影

塚田 勝弘

中古車の広告代理店に数ヵ月勤務した後、自動車雑誌2誌の編集者、モノ系雑誌の編集者を経て、新車やカー…